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「麻薬カッコいい?カッコ悪い?」麻薬の持つ感性的価値を考える

先週末の4月4日(木)夜、コカインを使用したとして麻薬取締法違反の罪で起訴された、俳優でミュージシャンのピエール瀧、本名・瀧正則被告(51)が勾留されていた警察署から保釈されたというニュースが話題になっていました。

ピエール瀧被告を保釈 保証金400万円納付

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43349930U9A400C1000000/ )

以下転載。
コカインを摂取したとして、麻薬取締法違反の罪で起訴されたピエール瀧(本名・瀧正則)被告(51)が4日、勾留先の警視庁東京湾岸署から保釈された。東京地裁がこの日、保釈を認める決定をして、保釈保証金400万円を納付した。

東京地検は2日に起訴。弁護人が3日に保釈を請求していた。

瀧被告は4日夜、黒っぽいスーツ姿で署の正面玄関から姿を現し「反社会的行為で迷惑と心配を掛けた。誠に申し訳ない」と話し、約30秒間にわたり頭を下げた。…


私は電気グルーヴ世代と言われる世代にあたるのでしょうが、電気グルーヴについてはあまり詳しくありません。記憶を振り返りますと高校時代などにはDJブームが訪れ、同世代の中にはリアルのレコード集めをしている人たちや実際に電気グルーヴにハマっている人たちもちらほらといた事を覚えています。しかし私の場合は、バラエティ番組での活躍の方が知っている感じですので、申し訳ありませんが殆どないと言っていい程に思い入れがありません。電気グルーヴと電撃ネットワークが時折ごっちゃになり、どちらかというと電撃ネットワークの方が詳しいと言えます。それ故に、今回の事件に対する認識は、電気グルーヴを知らない世間一般の認識と然程変わりないのかもしれません。

今回の事件を通して麻薬というものに関して改めて考察しますと、麻薬使用の中には「見えない世界への入り口」のような好奇心に似た感性的価値を持っているということへの理解は出来るところがありますが、麻薬の持つ依存性の高さから考えれば、タバコもやめられない人が麻薬をやめられるはずがなく、一度でも手を出してしまえばやめられなくなる、というロジックを簡単に理解できます。加えて、一度でもタバコをやめたことがある人ならば、タバコをやめるまでに費やした自分自身の苦労を考えると、そう簡単にやめられるものではないという理解も可能であると言えます。

麻薬に手を出してしまうタイプの人の特徴としては、「俺はいつでもタバコなんてやめられる」と言いつつ、ずっとタバコがやめられないタイプの人ではないかと推測出来ます。事実として、このタイプの人が潜在的な依存体質傾向が高く最もタバコをやめられない人であるとされます。目の前にある「事実」と「事実に対する認識」に大きなズレがあり、更には、自己正当化に繋がる解釈をする傾向が強い人とも言えます。具体的には、「自らの依存耐性の低さの誤認」と、「依存性のあるものへの理解の浅さ」が原因であると考えられます。これらが欠落しているために、安易に麻薬に手を出してしまうということです。

麻薬に継続して手を出してしまうのは、「依存症」という病気によるものだとする医学的な見方もありますが、そもそも論として、最初に麻薬に手を出さなければ依存症になる事はありません。念の為の補足ですが、麻薬は継続使用することが違法ではなく、使用する事自体が違法です。最初に使用した時点で、違法行為を犯している訳であり、時効がこない限りはいつ逮捕されても文句は言えません。逮捕されるかされないかは、そこに逮捕の根拠となる物的証拠があるかないかの違いでしかありません。 継続使用の方が、本人のガードが甘くなり、物的証拠を見つけやすくなるというだけの話です。


これらのことを改めて考えてみますと、「麻薬に手を出す人間」とは、とても頭が悪い人間であり、結果的には人間としてとてもカッコ悪く私には見えます。麻薬を使用することが、反社会的行動であり、社会に反する行動をすることの中に、カッコよさというものを感じる人もいるのかもしれませんが、麻薬を使用する目的は、社会制度などに対して不満があるから抗議し改善を求めるという訳ではなく、単なる自分自身の頭の悪さと、自制心のなさに起因するところが大きいと言えます。麻薬使用の合法化を訴えることが目的であれば、警察署の前で堂々と麻薬を使用すれば、ある意味カッコ良さも伴います。警察の目を逃れ、コソコソと使用する必要はありません。「麻薬に手を出す人間」=「頭が悪く、カッコ悪い」という認識が必要であると私は考えます。


「依存症に関して」の追記。

今回の事件に対するSNS上でのいくつかのコメント欄をざっと拝見する限り、以前と比べると世の中の「依存症」に関する認知度が随分と高まってきたように感じます。ピエールさんのように、20年も継続してコカインを使用していれば依存症そのものです。依存症になっていなければ、継続利用することはありません。

コメント欄に寄せられていたコメントの中には、20年間コカインを使用していてこれまで普通に生活していたのだから、依存症にはなっていないという安直で都合のいい思い込みも、まだ一部には残っているようですが、それは「依存症」に対する理解が浅い証拠であると言えます。こういう思い込みが強いご都合主義の人の場合は、アルコールだって20年間継続して飲んでいる人は多くいるが、依存症になっていない人が殆どじゃないかというかも知れません。医学的にはアルコールも20年間継続して飲んでいれば、十分に「依存症」であると言えます。 治療が必要な依存症か、治療の必要ない軽度の依存症であるかの違いでしかありません。

現在、日本ではアルコール依存症として実際に病院で治療を受けている人は4~5万人と言われています。しかし、病院で治療が必要にもかかわらず治療を受けていない潜在的なアルコール依存症患者は82万人いると言われています。本人が依存症である事に気付かなかったり、依存症であることを認めないだけで普通に生活をしているように見えるだけという事です。実際には、本人だけの問題や悩みでは収まらなくなり、周囲の人間たちに迷惑がかかり始めた頃に露呈することになります。

アルコールやコカインを含めた依存性のある物質には耐性がありますから、継続した利用をすればするほど、アルコールですと抑制作用、コカインですと興奮作用が同じ量の服用でも得られる作用がどんどん薄れていきます。依存性物質を使用する人たちの多くは、自分自身に耐性ができる事で、自分は依存性物質に強くなり依存症にはなっていないという認識に繋がるのではないでしょうか?
その分、依存性物質の摂取量は次第に増えていき依存症も進行していく事になります。

補足を加えるのであれば、アルコールの場合は、「今から1年間のアルコールは禁止です!」と言われて、全く苦痛にすら感じない人は、依存性ではないと言えます。それ以外の人は、依存性の傾向が少なからずある可能性が高いと言えます。 そう言われると「イヤ、そんなはずはない。私も当てはまるが私は依存症などになっていない。」と、納得いかない人が殆どではないかと思われますが、仮に、「今から1年間のコカイン使用は禁止です!」と言われて、全く苦痛にすら感じない人は、コカインに対する依存性ではないと言えますとお伝えすると納得出来るのではないでしょうか。アルコールも同じ事です。とても簡単な事です。

(参考: 2012年12月13日付、「アルコール依存症への対応にみるストレス回避方法」 https://ameblo.jp/naka-yan/entry-11426411867.html )



※こちらは2019年4月4日(木)~4月5日(金)のnakayanさんの連続ツイートを読みやすいように補足・修正を加え再編集したものです。


中山兮智是(なかやま・ともゆき) / nakayanさん
JDMRI 日本経営デザイン研究所CEO兼MBAデザイナー1978年東京都生まれ。建築設計事務所にてデザインの基礎を学んだ後、05年からフリーランスデザイナーとして活動。大学には行かず16年大学院にてMBA取得。これまでに100社以上での実務経験を持つ。
お問合せ先 : nakayama@jdmri.jp

記事:MBAデザイナーnakayanさんのアメブロ 2019年4月8日付

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