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眠たい子犬の幸せ
思わず微笑んでしまう。
目の前で子犬が必死で眠気と戦っている。
何度か頭を振り長い耳をばたつかせて目を覚まそうとしたが、すぐ
目の焦点はずれ、瞼が落ち始める。
だんだん小さな頭が下がり、かわいい前足の間にコトンと落ちる。
それでも、また顔を上げ、むにゃむにゃと口を動かす。
馬鹿だなあ。そんなに眠けりゃ寝ればいいのに。
これが気持ちいいの。と言っているようだ。
たしかに午後の暖かくなった窓辺はぽかぽか。
笑顔のまま、子犬の近くに横になると本当に気持ちよかった。
手足を大の字に伸ばし、明るい外を眺めると空の雲ものんびりと流れていく。
世の中、コロナだ紛争だとうるさいのに、ここには確かにのんびりした幸せがあった。
このちびに教えてもらった。
絵 マシュー・カサイ「眠たい子犬」油彩 F3