ゴールデンカムイ展の感想と写真

おすすめしたい見どころは、登場人物の実在する所持品と、
"すけべ過ぎるマタギ"こと谷垣源次郎の水彩画です。


実在する登場人物の所持品


実在した人々の遺品を展示する特別展、博物館と言っても差し支えないかもしれません。


例えば不死身の杉元の三十年式歩兵銃、土方歳三のウィンチェスターM1892ライフル、鯉登少尉のサーベル、鶴見中尉の軍服(肋骨服)などなど、多くのゆかりの品が展示してあります。

そしてアイヌ民族が持っているマキリと呼ばれる小刀に関しては、一人一人の登場人物ごとに展示されています。一人一人に作ったんですか?と思いました。
木製の鞘や柄に入っているこの小刀は紋様の細工がなされていますが、その装飾は家紋のように一族特有のものです。
一つ一つのマキリには作家さんの名前も付記されているとともに、"長年使い込んでいるから手垢や汚れで黒ずんでいる"や、"色が白いのはキロランケが最近新しく作ったから"、という野田先生のコメントもありました。


現物の資料を使ってマンガを書くことについて、"連載前のお金がない時には費用的に辛いこともあったが、絵のクオリティを上げるための必要投資。後から修正したくなってもできない。"という内容のコメントがありました。
この志を持って連載開始されていることと、ゴールデンカムイの描写の凄さと繋がりました。


連載当初から絵が変わらないことについては今回の展示を見て改めて思いましたが、マンガではなく一枚の絵として見ると、緻密な自然描写、野生の脅威を感じる動物描写、躍動感ある格闘シーンなどを感じます。

連載前、恐らく前作以前から"リアリティの追求"という思想や信念で書き続けて身についた、高い作画技術によって生み出されたものがわかります。

土方歳三のライフル
鶴見中尉の軍服


谷垣源次郎の水彩画

「け」いうタイトルの、何かを2つに割っている谷垣の絵です。
原作にあった、杉元にカネ餅を分け与えるシーンが思い出させました。

この手で割っているものは秋田マタギの携行食であるカネ餅なんでしょう。"ほら、食べなさい"と分け与えているシーンなのですが、原作と違って暖かそうなセーターを着てますますムチムチの谷垣、柔らかい表情の谷垣。

奥さんのインカラマッさんと幸せに暮らしていることを思わせるこの絵は、読者が見たいその後の暮らしです。

野田先生のコメントとして、"原稿はデジタル作画だから、来てくれたお客さんのために手書きの作品を展示したかった"という内容でした。デジタル作画なのは確かにそうですが、それでも迫力のある原稿でした。

そこにこの手書きの谷垣。
最終巻収録予定の原稿と共に撮影禁止コーナーにあったので写真は撮れませんでしたが、確かに手書きの良さや味、あたたかみがありました。

ロシアのボクシング編でのこのシーン
よく見るとヒグマの顔が松田平太なのが怖すぎます

今回の展示会は野田先生の制作秘話だけでなく、創作現場を知る展示会でもあり、本当に来て良かったです。展示会の随所にも先生のこだわりを感じました。

今まで "ストーリーやギャグが面白い!"と読んでいましたが、もう一度読み返してみようと思いました。


その他の写真

絵が上手いし、デザインセンスが凄すぎます!
映画オマージュの一枚絵もたくさんあるようで、展示会公式図録のインタビューでも、"連載中は見る余裕がなかったから、連載が終わったら映画をたくさん見たい"という旨のお話をされていました。

なお展示会で販売されている公式図録は、展示会ほぼ全てが詰まっている内容と言えるもので、本当に本当に買って良かったです。

刺青の脱獄囚の中でも、ここだけ特別扱いの江波貝くん
チタタプもありました
入場前の注意事項  こんなところに二階堂が

#ゴールデンカムイ展  #ゴールデンカムイ #マンガ

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