憧れのお姉さん (ショート)
# 青ブラ文学部
山根あきらさんの企画に参加させて頂きます。
宜しくお願い致します。
お題I# 憧れのお姉さん
形式自由・800字前後・〜12/8まで
(本文約860字)
桃李、高校2年生の女の子。
部屋が荒れ放題。
母親から呼ばれて、仕方なく桃李は片付ける。
洋服を洗濯場に持っていきたたんで直し、それだけで飽いてきた。
ベッドに寝転がって、天井見てた。
リビングで声が聞こえてきた。
姉が帰ってきた。
姉とは比べようもない。
姉妹なのにね。
姉は優等生だ、妹の私が言うのも変だが
同じ学校で、ひとつ上の姉は生徒にも先生にも人気がある。
いわゆる、憧れのお姉さん。
憧れのお姉さんは、演じるものよね。
強く、厳しく、優しく、凛として。
色々あるけど、内に秘めて絶対見せないように頑張ってる。
小さな頃から見てるけど。
周りに何を求められてるか知ってる人だ。
ずっと演じてる姉。
「疲れないのかね」と桃李はため息をつく。
リビングに降りて行った。
両親の前でも、姉は利口に振る舞ってる。
私にも優しい。
綺麗に手入れされた黒髪。
綺麗に切り揃えた爪。
ソックスも両方同じ位置で止まって。
私なんて、いつの間にか片方下にずり落ちてるよ。
まあ、私は気楽なもんだね。
ソファに寝転がってスナック菓子を食べてたら母親から嫌な顔された。
さて、続きの片付けしよおっと。
さて、この洋服はどこの引き出しだっけ?
何だろ?この紙袋は?
開けてみた。50点以下の答案ばかり、丸めて
突っ込んでる。
「大変だね、姉ちゃん。私なんて当たり前なのに…」
桃李は、見なかった事にして隅に置いた。
そう、ここは姉の部屋だ。
忙しい姉に代わって、部屋を片付けたら母親からお小遣いもらえる。
憧れのお姉さんは、お姉さん自身だけでなく、
周りも一緒に作りあげていくものだ。
【自己暗示】のお手伝いをしてあげる。
姉が部屋に入ってきた。
「ありがとね、桃李」
「ごめん、塾に行ってくるから」
その綺麗な笑顔を見ると、
憧れのお姉さんになれる人となれない人は
最初から決まってるんじゃないかと思う。
私は、端からなれないよ。
面倒くさいし窮屈!
強い人じゃないと無理。
さっ、私は母親にお小遣いもらいに行こう。
出来の悪い妹役が楽チンと。
桃李は笑いかけてくれる「憧れのお姉さん」の肩をぽんとたたき、心の中で「頑張れよ」と
つぶやいた。
フィクションです
FIN
山根あきらさんの公募です
サブリナ