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グリーンティー(ショート)



#青ブラ文学部 Iお題 I「世の中に片付くものなんてほとんどありゃしない」のニュアンスの言葉をストーリーに含める。
山根あきらさんの企画に参加させて頂きます。

夏目漱石  世の中に片付くものなんてほとんどありゃしない。いっぺん起こったことはいつまでも続くのさ。ただ色々な形に変わるからほかにも自分にも解らぬことになるだけさ

夏目漱石「道草」より


            (本文約1000字)



グリーンティー


カラカラとグリーンティーをかき混ぜながら
あゆみは喫茶店で親友のまち子をずっと待つ。
今まで遅れる事なんてなかったまち子。
今日はあゆみの彼氏の愚痴を聞いてもらうはずだった👒



まち子が謝りながら、汗をふきふき真向かいの席に座った。「私もグリーンティーで」
どこかうわの空のまち子🧢
話しを聞いてもらいたいばかりのあゆみは段々イライラしてきた。
「ねーまち子、何かあったの?」👒




申し訳なさそうにまち子が語る「最近身体の調子がおかしくて病院に行ったら妊娠してたの」
「すぐ幸男(まち子の彼)に連絡したら結婚しようって。何だかこれから先が心配で」🧢

あゆみはザワザワする。
あゆみの彼は結婚の事になると話しを逸らす。
言い訳なら、なんとでも言えるはずなのに。
まち子の彼は歳下で昨年大学卒業して働きだしたばかりだ。

あゆみは「生活やってけるの?妊娠して、まち子すぐに働けなくなるじゃない。彼就職仕立てでしょう」なぜか上から目線になってしまう👒

まち子は一緒懸命に応える。
「大丈夫だとおもう。産休も育休もあるし
両親を説得さえできれば」すこし汗ばんだ
顔で応える🧢

「でも実際出産したら、、」あゆみは言うのをやめた。
まち子の問題だ。私の問題じゃない。
これ以上言うと惨めだ。
それに「おめでとう」を言ってない。
彼と別れよう。あゆみは心底そう思った👒





今から「挑む」事があるまち子が羨ましい。
新しい生活が始まる家族が増える。
きっと片付かない日常が続く生活となるのだろう。
「挑む」ものがあゆみには無い。
新生活でなくても、仕事に対してでも何でも形を変えて取り組めば良いはずだが「挑めない」
あゆみの心の問題だ👒



片付けられる問題は早めに片付けなきゃ。
あゆみは彼と別れようと心から思った。
「ごめんね、まち子少しダルそうだから
グリーンティー飲み終わったら帰ろうか」👒

まち子は悪戯っぽく笑って言った。
「嘘だよ今の話し」
「でもあゆみ彼と別れようと思ったでしょう」🧢

あゆみは唖然としてまち子をしばらく睨みつけた。なぜだかおかしくなってきた。
グリーンティーにのっかるバニラアイスがぷるんと揺れた🕊️






 ブルーの海でも見て道草して帰ろうか?

あゆみとまち子


ブルーのまち子が言う
人生なんて最初から片付かない問題ばかりよ。
もし片付いたと思ったら問題が入れ替わっただけ
🧢

グリーンのあゆみは答える。
うん落ち着いてきた。バニラアイスがぷるんと揺れたから白はリセットよね。確かに気持ち入れ替わったわ。OK  まち子👒


人生色々
時に歩み(あゆみ)
時に待って(まち子)
の繰り返し。


          FIN



✴︎各色の裏の意味より表の意味にスライドさせながらストーリー展開してみました。

ブルー🧢(裏・冷静/表・広大、誠実)
グリーン👒(裏・優柔不断/表・成長、自由)


最後までお読みくださりありがとうございます。🙏

            





   山根あきらさんの公募記事です

     よろしくお願い致します。



                 サブリナ