弁護士逮捕と詐欺被害の回復について

元警察官で、数回の転職を得て、現在はバス運転手をしている傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。

先日(2024年6月13日)、元衆議院議員で現役の弁護士が弁護士法違反で逮捕される事件がありました。
今野智博元衆院議員ら11人逮捕 弁護士かたる着手金ビジネス 警視庁(産経新聞) - Yahoo!ニュース

昨年の下半期から急激にSNS投資詐欺やロマンス詐欺の被害が急激に増え、今年に入っても被害が増加傾向にある状況です。
警察は、全国的に検挙・摘発等に向けて捜査しているところです。

今回の事件は、話題になっているSNS投資詐欺やロマンス詐欺の被害に遭った人をターゲットに、インターネットのホームページで、「被害金返します」「犯人の口座凍結をします」等と言って、被害者から着手金を取って、実際は犯人側と被害金を返すことを全くしていなかったようです。
現役の弁護士が名義を貸し、別のアジトで実働部隊が被害者から話を聞いたり等をしていたみたいです。
被害者の弱みに漬け込んだ悪質な犯罪です。


結論を先に言うと…

この種の事件の被害に遭わないための対策として先に言うと、
メールやLINEだけで契約するのではなく、ちゃんと会って話を聞き、契約・依頼することです。

この先詳細は長くなるので、時間のある時にじっくり読んでください。
何回も読み返して、被害に遭わない様に気を付けて下さい!!

SNS投資詐欺やロマンス詐欺の被害に遭わないことが一番ですが、もし仮に被害に遭ってしまった時は、心理としてお金を取り返したいと思います(思うはずです)。
どうすれば、今回みたいな被害に遭わないかということです。
まずは「冷静になること」です。
冷静になったうえで、警察に届出をすることです。
警察に届出をしたうえで、振り込め詐欺救済法を使って、被害回復をしてみたり、複雑で分からないと言う時は、弁護士に相談するのもひとつかと思います。

振り込め詐欺救済法とは…

平成20年から「振り込め詐欺救済法」が施行され、銀行振込を利用した詐欺の被害回復のために、詐欺に利用された口座に振り込まれた残高がある場合、犯罪被害金として被害者に返金することを定めた法律です。

警察に被害届を出した後、金融機関が調査して詐欺に利用されたとわかった口座を凍結し、お金の入出金を不可能にします。

その口座を預金保険機構のホームページで公告し、同じ口座に入金した被害者がいれば返金が申請できます。

申請窓口は振込先の金融機関で、申請期間終了後に被害者に対する被害金支払の手続が行われます。

銀行振込後詐欺に気づいた時点で警察と銀行に届け出て、残高があれば返金の可能性があるものの、同じ口座に振り込んだ詐欺被害者がいた場合は、被害者の人数とそれぞれの振込み金額に応じて残高を分配して返金されると言う法律です。

振り込め詐欺救済法の返金率は?

平成22年に金融庁が行ったサンプル調査では、失権預金累計額上位15行を対象に、各銀行から振り込め詐欺に使われた10口座をランダムに抽出し返金率を公開しています。

この時の調査では、失権時点での口座残高が1万円以下が過半数で、平均¥89,377だったということから詐欺被害に遭い銀行振込してしまうと、すぐに犯人がお金を移動させていることがわかります。

全体の返金率を見ると、振り込め詐欺では48%となっており、約半数が返金を受けていることがわかります。

しかし、これはあくまでも口座残高の返金率のため、被害金額が全額返金されているわけではありませんし、ひとつの口座に対し振り込んだ人数が多いほど返金率が下がっており、1口座に51人以上が振り込んでいて返金請求した場合は、返金¥0の割合が73%にものぼっています。

以上から、振り込め詐欺救済法により返金は約半数が受けられているが、被害金額全額が返金されるわけではないことがわかります。

詐欺の被害に遭って振込みしたお金が返ってくる可能性は低い

警察や国民生活センターが大々的に注意喚起していますが、詐欺師の手口はどんどん巧妙化しておりイタチごっこを繰り返してなかなか詐欺がなくならない現状です。
「振り込め詐欺救済法」によって、銀行振込を利用した詐欺被害の回復の可能性が出てきましたが、全てのケースで適応されるわけではなく返金率はかなり低いのが現状です。

弁護士に相談する際は…

ネットが発達した今日では、「ロマンス詐欺 お金を返す」と入れただけで、弁護士事務所等がたくさん出てきます。
無料相談やLINEで相談受付等とうたっています。
弁護士に依頼する際は、LINEやメールだけのやり取りで依頼をするのではなく、最終的にはちゃんと会って話をし、着手金や成功報酬等の話を聞いて、納得した上で、契約書をかわし、依頼をするべきです

弁護士会では、トラブル回避のために、着手金・相談料・成功報酬等と言ったことのガイドラインを定めています。

私の経験を言うと…

私は民事(詐欺ではありません)で弁護士にお世話になったことがありましたので、その時の実体験の話をします。
当時はコロナウイルスが流行し始めた時で、弁護士の先生も感染に敏感になっていました。
裁判所等は感染対策をしているとはいえ、開廷しているので、最終的には会わなければならない状況でした。
なので相談も面前でちゃんとし、着手金や成功報酬のことについてもちゃんと説明がありました。
当時の説明で行くと、着手金は20~50万円の間で、案件の難易度によって値段が変わってきて、難しくなるほど高くなるみたいです。
成功報酬は、取れた額の20%と決まっているとのことです。
相談料は1時間1万1千円(税込み)とのことです。

着手金・成功報酬・相談料等については、都道府県の弁護士会のガイドラインで決められている、と先生から説明がありました。

私がお願いした弁護士の先生は、ホームページ等のネット活動はしていない方で、ネット活動をしていない理由を聞いたところ、広告料等のお金の問題もある様ですが、弁護士として堂々と仕事をするなら、ネットに頼らずちゃんと仕事をしていれば、口コミや紹介等で仕事は来るし、それらの方がお客の質が良いと言っていました。
この弁護士の先生には非常にお世話になり、とても素晴らしい先生だったので、弁護士を介在しなければ困っている友人を紹介し、友人の案件も無事に成功しました。

弁護士(事務所)へのアプローチ方法は!?

先ほども述べましたが、最近はネットから弁護士事務所にアクセスする方が多くいるかと思います。
しかしネットやSNSだけのやり取りだけで着手金等を入金することなく、必ず面前で会って、案件の難易度や着手金の算定根拠、成功報酬等をしっかり聞いて、納得したら書面を交わして契約をし、着手金を入金してから案件を依頼してもらう様にしましょう。

弁護士の知り合いがいないと言う方は、最初は自治体で行われている無料法律相談であったりとか、法テラスから弁護士にアクセスするのが一番良いかと思います。
最近は過払い金請求やB型肝炎の給付金等と言ったうたい文句のCM等を見る方が多いかと思います。
全てが悪いのではありませんが、自分が該当するのか、金額は妥当なのか等をよく確認し、一つだけではなくいくつかの弁護士事務所と比べてから、最終的に決めた方が良いかと思います。

ネットからのアクセスも良いですが、最終的には実際に会って、話を聞くことをお薦めします。

何か不明点があったら、各都道府県の弁護士会事務所に連絡をして、今回の事件の様な弁護士に遭わない様に気を付けて下さい!

今回の事件は、社会的に信用ある職業である「弁護士」の信用に掛かってくる問題でもあります。
しかしこのような悪徳な弁護士はごく一部で、大半の弁護士は、国民・市民のために日々汗水流して働いていることは理解してもらいたいです。

これを読んで、講演等に興味を持っていただいた方は、お気軽に「日本刑事技術協会」にお問い合わせください。お待ちしています!
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河野博紀 自己紹介
河野 博紀 - 一般社団法人日本刑事技術協会 (j-keiji.org)

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