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交番・駐在所の統廃合について
元警察官で、数回の転職を得て、現在は鉄道会社に勤務している傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。
最近、交番や駐在所の統廃合が話題になっていると思います。
警察がコスト削減や効率化を目指して、交番や駐在所の統廃合を進めているケースが多いです。
これにより、一部の交番や駐在所が閉鎖され、近隣の交番や駐在所が担当範囲を広げることになります。
この統廃合によって、地域住民の安全や安心感にどのような影響があるのか、様々な意見があります。
例えば、交番や駐在所の数が減ることで、緊急時に対応が遅れる可能性がある一方で、警察のリソースをより効果的に使うことができるという意見もあります。
なぜ統廃合になってしまうのか!?
高齢化が進んでいるにつれて、人口が減少している地域が当然あります。
人口が減るということは、人の往来も減ることになると思うので、事件事故の発生も減少していると、と言う数字的な側面があると言えます。
人口減少は少子化問題もあり、民間企業にも通じますが、警察官のなり手となる若者の減少も影響しています。
ましてや最近は、警察官より民間企業の方が給料や待遇がよく、また働き方等の点からも、若手は民間企業に流れる傾向にあり、警察官になる人も減ってきているのも事実です。
警察官採用試験の数字を見ると分かると思います。
警察官採用試験の受験者数や競争倍率等
警視庁の男性警察官第1回(大学卒)の採用試験の数は…
年度 受験者 最終合格者 競争倍率
2024年度 3,241人 1,010人 3.2倍
2023年度 3,934人 756人 5.2倍
2022年度 4,152人 836人 5.0倍
2021年度 3,945人 894人 4.4倍
となっています。
大阪府警の男性警察官A第1回(大学卒)の採用試験の数は…
年度 受験者 最終合格者 競争倍率
2024年度 960人 373人 2.6倍
2023年度 1,163人 440人 2.6倍
2022年度 1,413人 356人 4.0倍
2021年度 1,543人 330人 4.7倍
となっています。
数字を見てをご覧の通り、警察官のなり手は年々減少しており、また定年退職等で退職する人数も多くなっているので、警察官の数が少なくなっているのは事実です。人口減少や警察官の減少に対応するためには、当然効率化が必要です。
以下のような点で、交番・駐在所の統廃合が効果的な場合もあります。
効率的なリソース利用とテクノロジーの活用
1警察官の配置
警察官をより必要な場所に集中配置することで、限られた人員を最大限に活用できます。
2コスト削減
統廃合により、施設の維持管理費用を削減し、その分を他の治安対策に充てることができます。
3デジタル相談窓口
オンラインでの相談窓口を設けることで、住民が気軽に警察にアクセスできるようにする取り組みも進んでいます。
4地域パトロール
住民自らが行うパトロール活動を警察が支援し、地域の安全を守るための協力関係を強化します。
5情報共有
地域コミュニティと警察が連携し、不審者情報や犯罪情報を迅速に共有する体制を整えます。
交番・駐在所が統廃合されると、住民にとっては不便な面も発生しますが、統廃合を機に、住民の方の意識改革も必要だと思います。
意識改革のポイント
住民の意識改革は、安全なコミュニティを作るために欠かせません。
以下のようなポイントが重要です
1防犯意識の向上
○教育と啓発活動
学校や地域コミュニティで防犯教育を実施し、日常生活の中で防犯意識 を高める啓発活動を行います。
○情報共有
住民同士で不審者や不審な出来事について情報を共有することで、地域全体の防犯意識を高めます。
2積極的な参加
○地域活動への参加
地域の防犯パトロールやイベントに積極的に参加することで、地域の連帯感を強化し、犯罪を抑止します。
○防犯対策の実践
個々の家庭でも防犯カメラの設置や施錠の徹底などの基本的な防犯対策を実践します。
3信頼と協力
○警察との連携
定期的に警察と情報交換し、地域の防犯状況を共有することで、効果的な対策を講じます。
○住民間の協力
お互いに助け合い、不審なことがあればすぐに連絡を取り合う体制を整えます。
4テクノロジーの活用
○防犯アプリの利用
防犯アプリを活用して、不審者情報や防犯アラートを迅速に受け取れるようにします。
○オンラインコミュニティ
SNSや地域のオンラインフォーラムを利用して、防犯に関する情報を共有しやすくします。
意識改革は一朝一夕では難しいですが、継続的な取り組みと地域全体の協力によって、安全で安心な環境を作り出すことができます。
最後に…
交番・駐在所が統廃合により、自分の地域から無くなるのに反対する方が多いと思います。
しかし事件事故の発生件数の減少や警察官の採用試験から見る様に、警察官の数の減少等から、警察組織も効率化が求められています。
効率化の一環として、交番・駐在所の統廃合が行われていますが、警察もただ統廃合するのではなく、近隣の交番等へ統合して、警察官が効率よく事件事故へ対応できる様にしていたり、交番・駐在所等の跡地を「防犯ステーション」として地域住民に開放し、警察との情報交換や、地域住民の防犯パトロールの拠点になったりしている所もあります。
警視庁は「防犯ステーション」に、定年退職した警察OBを配置し、地域住民への防犯アドバイスをしたり、通学路警戒等もしているので、この様な活用が他の自治体でも必要であり、積極的な運用が求められてくるかと思います。
警察だけではなく、住民と一体となり、「自分達の街は自分達で守る」と言う意識を改めて持つことで、特殊詐欺や闇バイトによる事件等を防ぐ街づくりが必要かと思います。
これを読んで、講演等に興味を持っていただいた方は、お気軽に「日本刑事技術協会」にお問い合わせください。お待ちしています!
自分達の地域の交番・駐在所等が統廃合でなくなったので、現地を見て欲しいと言う方がいらっしゃいましたら、お気軽に「日本刑事技術協会」にお問い合わせください!
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