アニソン野外フェスでの殺傷事件について

元警察官で、数回の転職を得て、現在は鉄道会社に勤務している傍ら、講演講師として活動をしている者が、思ったことを書くつぶやきです。
私個人の見解であることをご理解の上、読んでいただけると幸いです。

9月22日、長野県佐久市で行われていたアニメソングイベント「ナガノアニエラフェスタ」において殺傷事件が発生し、38歳のアルバイト従業員の男性が逮捕されました。
以下ニュースURL
「殺すつもりで刺した」 “アニソン”野外フェスで男性が胸など刺され重傷 神奈川の38歳の男を殺人未遂の疑いで逮捕 「ナガノアニエラフェスタ」は急きょ中止に(NBS長野放送) - Yahoo!ニュース

まずはケガをされた方が、1日でも早く回復されることを祈ります。
犯行動機等の捜査は、これから行われるので、ここでは詳しく書きません。

イベントのホームページを拝見したところ、2017年から毎年開催されていたみたいで、イベントを通じてアニメの普及と地域振興があったと思います。
個人的には、長野県の佐久地域に居住・勤務していたことがあるので、ファンの希望や地域振興等の点から見て、今回の事件に屈することなく、来年以降も開催して欲しいと思っています。


事件防止のために…

この様な事件が起きないためにも、主催者に強くお願いしたいのは、「持ち物検査」を実施、強化することだと思います。
今回のイベントにおいては、特にこれと言った持ち物検査が行われていなかったようです。
野外フェスだから難しいのではないか、と言う意見があるかと思います。
ジャンルは違うかもしれませんが、安倍元総理が襲撃された事件から、選挙等での政治家の街頭演説においては、持ち物検査が強化されるようになりました。
政治家の街頭演説でも持ち物検査が実施できる様になったので、野外フェス等のイベントにおいても、持ち物検査の実施・強化は必須になると思います。
また世界的にみて野外フェス等のイベントにおいてテロ事件等も発生しているので、テロ防止の観点からも、持ち物検査の実施・強化は必要だと思います。
それに伴い警備員の数を増やし、警備の強化を見せ、事件を起こさせない・テロを起こさせない、と言った強い姿勢を見せても良いかと思います。

今回のイベントにおいては、出入り口は1か所だけだったと思うので、持ち物検査は十分に実施可能だと思います。

この様なイベントでは、警察も現地に「警備本部」が設置され、事件事故の警戒や迷子や落とし物対策等のために、警察官は常駐しています。
今回の事件では、刺股(さすまた)を持った警察官がいた、と言う目撃証言があったことから、現地の警備本部から警察官が駆け付け、素早く被疑者の逮捕につながったと思います。
今後の捜査は、刑事訴訟法に基づき、被疑者を検察庁に送致、裁判官へ勾留請求が行われます。

今回の事件は…

佐久警察署が管轄・事件処理をすることになります。
犯人の身柄は佐久警察署にあるかと思います。場合によっては佐久署以外の可能性もありますが…。
この地域で、刑事収容施設(昔の留置場)がある警察署は佐久警察署か上田警察署の2署だけになります。
送致・勾留請求等は、おそらく長野地検上田支部・長野地裁上田支部に行われると思います。
佐久市にも地検・裁判所の佐久支部がありますが、規模が小さく、副検事しかいないので、今回の様な事件は上田支部で対応することになります。
しかし場合によっては、長野市の長野地検・長野地裁で対応する可能性もあるかと思います。
簡単に言うと、勾留請求が認められた場合は、最大で20日間身柄を拘束することが可能になります。
必要によっては精神鑑定等も行われる可能性もあるかと思います。
この辺は先の話になるので分かりませんが、最終的には検事が犯人を起訴するかどうか判断することになります。

警察の対応は!?

報道の映像をみると、鑑識作業も本部の鑑識課も入り行われています。
良く画像をみると、制服を着た警察官が鑑識作業をしている姿を見えたかも知れませんが、この方がおそらく佐久警察署の当直の鑑識係の方で、作業服の方が本部の鑑識課の方だと思われます。
長野県警の場合は、警察署の刑事課や生活安全課の刑事でも、当直勤務の際は制服を着用することが決まっているので、鑑識作業をしていた制服姿の警察官は、警察署の方だと思われます。
また映像に映っていませんが、本部の捜査一課をはじめ鑑識課や機動捜査隊等が早期に現場に投入されていると思うので、警察の体制・対応は問題ないかと思います。

地域的にみると…

佐久地域の有志の方は、地検の佐久支部の規模拡充を訴え、副検事ではなく検事の配置を求める運動もあるみたいです。
検察庁や裁判所の佐久支部の管轄は、佐久市・御代田町・小諸市・軽井沢町等と言った佐久地域全般の広範囲になるので、今回の様な事件が起きてしまった場合には、検事の配置の必要性があるのは理解できます。
警察署も私が在職中の間に警察署を統廃合した経緯があり、警察署の管轄範囲が広くなったので、それに伴い検察庁の体制強化も必要あるかと思います。
この件に関しては、最終的に法務省や裁判所が判断することになるので、何とも言えませんが、地域の実情に応じて、検事の配置等も国で検討する必要性があるかと思います。

最後に…

野外フェス等のイベントにおいても、これからは持ち物検査の実施・強化をする必要があると思います。
それに伴い警備員の増員をはじめ、警察・消防等の連携、イベント開催前の訓練の実施(通報体制や避難誘導等の確認、意思疎通等)が必要になると思います。
今年は今までが酷暑だったので、これから秋にかけて陽気も良くなることが予想されるので、野外フェス等イベントが多くなると思います。
イベント関係者の方には、今回の事件を機に、持ち物検査の実施や警備員の再配置、警察・消防等の連携を再度確認し、ファンや地域住民が楽しめるイベントを開催して欲しいと思っています。

これを読んで、講演等に興味を持っていただいた方は、お気軽に「日本刑事技術協会」にお問い合わせください。お待ちしています!
HOME - 一般社団法人日本刑事技術協会 (j-keiji.org)
河野博紀 自己紹介
河野 博紀 - 一般社団法人日本刑事技術協会 (j-keiji.org)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?