自己紹介①(難病発症〜東洋医学に出会うまで)
皆様、はじめまして。
小児漢方医・鈴村水鳥です。
東洋医学との出会い
私が東洋医学に出会ったきっかけは、医学部の2年生の時に尋常性天疱瘡という難病になったことがきっかけでした。
天疱瘡とは、自己免疫疾患の1つです。
私の場合は、口の中にびらんが出来たり、体全身に水疱ができたり、少しの刺激で皮膚がめくれていく症状がありました。
病名を告げられた時は、5年後の自分が想像できず、医師になるという夢も結婚して母になる希望も途絶えたような気がしました。
2ヶ月間の入院で、ステロイドの内服や血漿交換を行いました。
治療を経て、何とか退院することはできたけれども、
ステロイドの内服量を減らすごとに、検査数値が目に見えて悪くなっていきます。
そして徐々に症状も出やすくなった時に、「このままでは再発するのは時間の問題」だと思いました。
何か根本的な治療がないかと模索していたときに出会ったのが、「鍼灸と漢方薬」でした。
鍼灸との出会い
大学の東洋医学研究会の顧問の先生からのご紹介により
奈良県で開業されている鍼灸師・藤本蓮風先生のもとを訪れました。
初診では、2時間以上かけて問診をとってもらい、丁寧に脈・舌・お腹・背中を診察してもらいました。
西洋医学の診察とは異なり、血液検査も画像検査もない。
でも、温かい手でゆっくりと丁寧に診察を受ける時間こそが、固まっていた心と体をほぐすような時間でした。
北辰会方式では、1回について1本の鍼しか刺さないため、なんとなくこれでいいのかな?と不思議な感覚でした。
しかし、その日の夜に(天疱瘡とは違う湿疹が出たこと・眠くて仕方がなくなり身体がリラックスした経験)から、鍼治療を継続して受けてみようと思いました。
次第に変化していく身体と心
鍼灸治療を始めて、並行して漢方薬を飲み始めました。
最初に飲んだ漢方薬は、柴胡加竜骨牡蛎湯と清心連子飲です。
もともと漢方薬には興味がありましたが、初めて見た名前で「こんな漢方薬があるのか」とびっくりしました。
漢方薬って効果が出るまでに時間がかかると、なんとなく聞いていたので、最初は飲んでもあまり変化がないような気がしていました。
しかし、飲み始めて1週間ほどで、涙が出続け、止まらない時がしばらく続きました。
これがまさに、漢方薬が体だけではなく心にも効果があると実感した経験でした。
漢方薬と鍼灸。これまでとは違った治療を踏み出したことで、「未来への希望」を抱くことができるようになりました。
「絶対に治らない」と言われた病気だけど、「もしかしたら治るかもしれない」その希望が、患者としてどれほど日々の生活を勇気づけ、治療に向かう力になるかを患者として知りました。
病気を治すとは、薬を飲んで、ただ治ればいいというものではなかったのです。
ここから、病気と向き合いながら心身を整えていく時間が始まりました。
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