追加検査の結果
追加検査をサードオピニオンの小児科で受けて来た。検査結果の診断書を持ってファーストへ。
タナー段階、4期。骨端線、閉じかけている。
結論。リュープリン治療には遅かった。
意見書を委員会に提出するまでもなく、シンヤはリュープリンの効果が得られない状態になっていた。まだ中学1年。なのにすでにリュープリン治療には手遅れだった。
(成長には個人差があるため、中学2年生以上でもリュープリン治療が可能な場合もある)
シンヤは落胆してはいたものの、もう次を見据えて前進する気でいた。「背が高くなりたかった。でもしょうがない。次はホルモン剤治療が早くできるかもしれないから、それに賭ける。」
無理やりリュープリンの注射を打っても副作用で鼻が大きくなったり顎が長くなったりするんじゃイケメン台無しだもんな。
パパに報告。
「なんだよ、まだ中1だろ?なのに手遅れって、じゃあその治療、誰ができるんだよ!今まで遠いのに何回も何回も通院してたの無駄じゃん。金返せって怒ってこい!」
初めの頃、治療を渋っていたなんて思えない程1番怒り狂っていたのはパパだった。なんだかんだ言ってシンヤの事を親身になって考えてくれていたんだ。思いがけない言葉にシンヤもまんざらでもなさそうだった。
まぁまぁ。3万円×〇回分のお金が浮いたんだしさ。シンヤは仕方ないってわかってくれてるし。次行こ、次。
リュープリンは体の成長度合いが原因で使えないが、条件が揃えば本来18歳から開始するホルモン剤治療が15歳から開始できる可能性がある。シンヤはもうソレを狙っていた。
15歳から開始できれば高校入学前にヒゲが生えたり声変わりするだろう。学校や外出先で女の子と間違われても低音ボイスで「違います。男です。」と言えたらどんなに良いか。
18歳からと15歳から、このたった3年が大変大きい。当事者以外から見ればたった3年待てば良いだけかもしれないが、多感な時期の3年は長い。
15歳から治療開始するには、ガイドラインに定められた条件をクリアした上で、2か月くらい前までに委員会に意見書や検査結果を揃えて提出し、治療開始の承認を得て、どこで注射を打ち続けるのかを決めておかなければならない。
ホルモン剤の注射はリュープリンよりさらに間隔が短い。2週間おきに筋肉注射をしなければならない。あまり遠方だと通うのも大変だ。学生なら2週間に1度、欠席や早退するのも出席日数や授業の理解が遅れたりと影響がある。
ファーストの話だと我が家から車で2時間半ほどの場所が1番近いようだ。そこにずっと通うのは非現実的。総合病院であるサードオピニオンでその治療ができるようにならないか掛け合ってみよう。
委員会は色んな地域で開催されているらしい。ファーストとセカンドでは所属する委員会が違う地域だそうだ。どちらに提出するかも検討する。
ここでまた新たな壁が立ちはだかる。ガイドラインによると、専門医(精神科医)に2年以上診察を受けている事。これが精神科医であるファーストとセカンドの受診歴ではほんの少し足りない。でもサード(小児科医)の受診歴が認められれば2年以上になる。セカンドオピニオンになれなかった小児科医は小児精神の分野を得意としている医師だが専門医の受診に含まれるのかどうか。議論が分かれる所だろう。
ファーストの話だと15歳の時点でクリアしなかった場合、次のホルモン剤治療開始のチャンスは18歳になる、と私は解釈している。
数ヶ月受診歴が足りないから数ヶ月後に受診歴2年になった所で委員会にかければいいという単純な話でもなさそうだ。
もうシンヤを落胆させたくないがタイムマシーンで過去に戻るわけにもいかない。出された結論に従うしかないのがもどかしい。
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