フォルダリターンはなぜ害悪か1
エグゼ3の環境破壊チップとして、まず名前が上がるのがフォルダリターンだ。
本題に入る前にどうしても書いておきたいのが、エグゼ3BLACK発売当時の環境の話だ。
BLACK版は後から発売したため、ホワイト版(ノーマル版などとも言う)が発売した頃は、フォルダリターンが存在しなかったため、それなりに良好な対戦バランスだった。
が、遅れてBLACK版が発売され、フォルダリターンによって3の対戦環境は破壊された。
エグゼ5のカーネル版のように、事前に2バージョン出すというアナウンスはなかった。
その上で、後発版であるBLACK版には露骨に強いギガチップを複数実装されており、あたかも「勝ちたければBLACK版も買え」と言われているようだった。当時からこのBLACK版を腹黒版と揶揄する人は少なくない。フォルダリターンはリアルダークチップだと言う人もいる。
なにより、開発者が自ら楽しいゲームを破壊してしまった事実がただただ悲しい。
自分は当時から今まで、そしてこのままだとこれからも、一生この事にキレ続けていくと思う。
本題に入ろう。
なぜフォルダリターンが害悪なのか?
まず、ホワイト版との格差が酷い。
ホワイト版は30枚のチップで戦わなければならないのに、BLACK版はチップを無限に使える。
つまり長期戦ではBLACK版が圧倒的に有利だ。
ホワイト版で勝とうと思ったら、圧倒的な火力で瞬殺するしかない。
しかしBLACK版にはレギュラーチップに指定できて、フォルダリターンのたびに手元に戻ってくるダークネスオーラがあるのでそれも厳しい。
また、数ターンに一回飛んでくるジェラシーでメイン火力チップを破壊されると敗北が確定するので、チップ破壊を回避できるカゲブンシンの常用を強いられる。
正直な所、ガチ勢が使うBLACK版をホワイト版で負かすのは基本的に無理だ。
ホワイト版でBLACK版に勝てたとしたら、それは極端に運が良かったか、相手が油断していたか、相手が極端に下手だったかのどれかに過ぎない。
さて、当たり前のことではあるが、ホワイト版が30枚のチップで戦わなければいけないのに対して、BLACK版がチップを無限に使えるから強いわけだが、どはそれがなぜ強いのかを改めて考えてみよう。
エグゼ3では、使うだけで無条件に場全体に影響を及ぼし、対策されない限りは効果が永続的に続くチップが存在する。
クイックゲージ、ヘビーゲージ、各種ステージ系チップ、デスマッチ3、サンクチュアリ、ナビスカウト、シラハドリなどが主力どころだ。
これらを仮に環境制圧力の高いチップと定義する。
ちなみに、時間経過で解消されるが、制圧時間が長い、オーラ系やルーク、エリアスチール系のチップなどを準環境制圧チップと考えている。
これらのチップを相手に使われた場合、こちらもそれらを打ち消す効果を持ったチップを使わない限りは相手の使った効果が永続的に持続する。
普通こういった環境制圧力の高いチップは、場を自分に有利にするために使う。
例えば、ウッドスタイルなのにマグマステージを使う人はほとんどいない。自分に有利な場を作りたいからクサムラステージを使ったり、サンクチュアリを使ったりする。
要するに相手が使ってくるという事は、そのチップを使う事で環境が相手に有利に働くから使ってくるわけだ。
この場合、その使われたチップが、自分にも有利に働く場合を除いて、必ずこちらもチップを使用して効果を打ち消すなり上書きするなりしないと、相手にとって有利な状態が続く事になる。
今回例に挙げたゲージ系とパネル書き換え系のチップは、打ち消すというよりは、同系統の別のチップで上書きするのが対策となるわけだが、それはつまり後出し有利という事である。
最後に上書きした側にとって有利な状態が続く。
そりゃあ無限にチップ使える方が強いわけだ。
ホワイト側が環境制圧力の高いチップを使ったのを見てから毎回上書きしていけば、必ずホワイト側が先にチップを切らすので、最終的にBLACK版に有利な場が出来上がり、試合終了までその状態が続く。
特に致命的なのがクイックゲージだ。
パネル書き換え系のチップは、パネルを書き換える効果を持ったチップ自体が多いので、まだ対応しやすい。だから短期決戦で勝負を仕掛ける事はできるかもしれない。(現実的にはそれでも無理なレベルだが)
だがクイックゲージを上書きできるのはヘビーゲージだけだ。頑張ってもフォルダに4枚しか入れることができない。
BLACK側からすれば、相手のヘビーゲージを見てから4回潰せばそれだけで圧倒的に有利な状況を作れる。というよりほぼ勝利が確定する。
フォルダリターンがある環境では、一般的にPハメやA逃げが強いと言われている。その内容に関してはここでは細かくは触れない。こんな記事をここまで読む人には今さら説明不要であろう。
これらの戦い方の強さを支えているのがクイックゲージだ。
クイックゲージで1ターンの時間を短くし、隙間なく防御チップを使い続けて逃げる、もしくは相手を拘束するチップを使い続けてハメる。
どちらもクイックゲージ環境でなければ成立しにくい。
ホワイト版はチップが有限である以上、持久戦になると不利であるため、どこかで相手の防御を崩して、強力な一撃を叩き込み、確実に倒しきる必要があるのだが、クイックゲージ環境下では、相手の防御は途切れない。
だからホワイト側はヘビーゲージを使う必要がある。ヘビーゲージ環境では、防御チップの効果が1ターン持続しにくくなるので、防御の切れ目が生まれやすい。(もちろんそれはホワイト版にも言えることだが)そこで大きな一撃を叩きこむわけだが、BLACK版はヘビーゲージを使われ次第即座にクイックゲージで上書きしてくる。
つまり、自分がヘビーゲージを使ってから、相手にクイックゲージを使われるまでのわずかな時間で、尚且つ相手の防御が切れた瞬間しか攻撃チャンスがなく、そのチャンスも1試合中に最大で4回くるかどうかという話だ。
実際には数ターンに一度ジェラシーでチップを破壊される危険があるので遥かに難しい。というより現実的ではない。
パネル系も似たようなもので、こちらがパネルを書き換えることができるチップが尽きるまで、BLACK版はサンクチュアリを使い続けるだけで、実質的にHPが2倍だ。BLACK版側にリスクなんかない。
クサムラステージもえげつなく、ウッドスタイルでクサムラパネルの上に立たれると、延々とHPが回復していくため、一部の多段ヒットするチップでしか倒しきれなくなる。
多段ヒットするチップがない場合は、何らかの手段でクサムラパネルを取り除かなければ、物理的に勝てなくなる。
極端な話、フォルダリターンを連打しながら毎ターンクサムラステージを使うだけで、フォルダによってはホワイト版は詰まされる。
また、相手のダークネスオーラやドリームオーラを剥がす際に、クサムラ+マグナムやクサムラ+エレメントソニックという手段が有効になる可能性があるため、クサムラステージは使った時点で警戒されて防御を固められてしまう。
話はそれだけではない。
フォルダリターンによって数ターンに一度ダークネスオーラが上書きされる。
ちなみに、ダークネスオーラはヘビーゲージ環境ですら約3ターン持続する。クイックゲージ環境では10ターン程だ。どうやってもダークネスオーラが自然に消える前に再使用されるに決まっている。
エグゼ3において、ダークネスオーラを安定して突き破れるチップはパンクやフォルテGSくらいのものだ。(クサムラ+マグナムやエレメントソニックなどでも突き破れるが、ブレイク性能がないので安定はしない)
3のスーパーキタカゼはシールドやインビジブル、カゲブンシンなどと併用されると無効化されてしまい、オーラを剥がすことができない。
つまりクイックゲージ環境ではスーパーキタカゼは一切機能しない。
フォルテGSはコードがXなので、他のチップと組み合わせるのも難しく、フォルテGSでダークネスオーラを剥がしたところで、本命の攻撃が後に続かない。数少ない手立てとして、フォルテGSをナビリサイクルするという手もあるが、そもそもナビスカウトを使われたら終わりである。
一応、BLACK版側からすると、思わぬ形でダークネスオーラが解けてしまうこともあるため、ドリームオーラで更新して、次のダークネスオーラへの中継ぎにすることがある。
ドリームオーラであればブルースV3でも剥がせるので、そこが付け入る隙となるが…
ナビスカウトも凶悪な環境制圧チップと言える。
3では罠を解除する手段が、罠に引っかかる以外にない。つまり、ナビスカウトを使われた時代で、無条件にこちらのナビチップが1枚失われる。
ジェラシーを防げるという理由でカワリミを採用する人がいるのが救いといえば救いかもしれないが、ホワイト版からするとナビスカウトを使われる方がキツイかもしれない。
主力たりうるダブルヒーローがナビスカウトに引っかからないのは救いだが、シラハドリには防がれるので、徹底的にメタられると本当に何もさせてもらえない。
他にも、無限に使えるパネルスチールで最奥マスを取られて、100秒間消えないオウエンカを置かれる事にも対処しなければならない。というよりできるわけがない。100秒がどれくらいかというと、クイックゲージ環境だと試合開始から試合終了までの時間より長い。
ノーマルゲージ環境でも13ターン目に消えてくれるレベルだ。
つまり最奥マスに置かれた置物を取り除くチップも用意しなければならない。
まぁ逃げのメイン火力がポイズンファラオな時点でどっちにしろ対策は必要だが…。
更に、ジェラシー対策も考えなければいけない。
対BLACK版では数ターンに1度はジェラシーが飛んでくる訳だが、ジェラシーを確実に防ぐにはカゲブンシンを使うしかない。カワリミでも防げるが、反撃直後に隙があるので信用はならないし、オウエンカ無敵も頼りにはならない。
しかしカゲブンシンは4枚しかフォルダに入らない。基本的にはターンの終わり側にカゲブンシンを使って、次のターンの開幕ジェラシーを回避しつつ攻勢に転じるわけだが、その性質上、カゲブンシンを選んだターンにジェラシーを使われたらカゲブンシンが消滅するので、4回しかないチャンスが1回分消滅する。
その上で、ターンの終わり側にカゲブンシンを使うと、BLACK版側からすると「お?次のターンで攻勢に出るつもりだな?」と警戒されるので、次のターンは防御チップを手厚く仕込んで対応する。
ヘビーゲージを使えば防御チップで凌ぐことができなくなるので攻撃チャンスができるとは書いたが、防御チップを複数枚選ばれたら普通に逃げ切られてしまうので、攻勢に出るターンを警戒されただけでアウトな訳だ。
なにせBLACK側は防御チップを出し惜しみなく使えるのだから、防御チップを使う事に何のリスクもない。
結局カゲブンシンでジェラシーを防いだところで攻撃チャンスなんて来ない。
以上の事から、ホワイト版でBLACK版に勝とうと思ったら、あらかじめナビスカウトやシラハドリなどの罠を必要に応じて解除しておき、相手がドリームオーラを張っている時に、相手のサンクチュアリを上書きできるチップ(主にクサムラステージ)と、ヘビーゲージ+スーパーキタカゼ、あるいはヘビーゲージ+マグナム、ブルースやエレメントソニック(相手がカゲブンシンで逃げている場合に限る)などを同一ターンで選んで、その上で一度に選べる残りのチップで相手を倒し切る必要がある。
ジェラシーを警戒してカゲブンシンを使う人が多いので、本命の火力はダブルヒーローだが、キタカゼにBコードはないから、ブルースV3以上や草焼きでドリームオーラを剥がす事になるだろう。
ヒートバグスタイルが人気であることを考えれば、当てる自信があるなら火力はダブルヒーローよりも強化したバブルマンが良いかもしれない。
なんにせよ、そうなるとナビスカウトが怖いので、事前に確実に罠を解除しておく必要がある。
しかし、そもそもブルースV3やマグナムはちゃんと当たったところで、成否が完全に相手依存となるタイミングガードでダメージ半減される可能性もある。オーラ剥がしのつもりで使ったブルースやマグナムを半減されてドリームオーラを剥がせなければ終わりだ。
ブルースに限らず、暗転するチップは全て半減されうるので、クサムラ+マグナム2でも同じ事である。
クサムラ+エレメントソニックで剥がすプランの場合はシラハドリが怖い。仕掛けられた罠がナビスカウトかシラハドリかは見分けがつきにくいもつらい。
エレメントソニックでオーラを剥がすプランは比較的現実味があるが、コマンドを必要とするのが弱点で、警戒されるとかなり通りにくくなる。使った表示を見てから暗転チップを使ってやるだけでタイミングが狂うので、コマンドを成立させるのがほぼ不可能になる。
また、ブルースで剥がすにしろ、マグナムでも剥がすにしろ、エレメントソニックで剥がすにしろ、いずれもブレイク性能がないので、相手がシールド持ちだと終わる。(シールドを使う人はあまりいないが)
そもそもクサムラステージを使った時点で警戒されるのでそんなに簡単にマグナムやエレメントソニックは通らない。相手によってはギガ+1をエクストラコードで組み込んでいるため、移動で毒沼バグが発生している可能性もある。その場合、クサムラステージを使っても一瞬でパネルを書き換えられてしまう。
攻勢に出たターンでジェラシーを使われても終わり。ドリームオーラを剥がした瞬間に再びダークネスオーラやドリームオーラを使われても終わり。シラハドリやカワリミを使われても終わり。サンクチュアリを使われても終わり。フォルダリターンを使われた時点でターンを跨ぐので終わり。可能性なんてないよ。
これでもホワイト版でガチのBLACK版にある程度以上安定して勝てると思う人がいるなら勝ち筋を証明してほしい。
また、よく見かける意見として、エグゼ3公式大会当時のルールを持ち出して、フォルダリターンを1回しか使用できない制限をつければいいという案もあるが、1回だけでも余裕で破綻している事は十分に伝わったかと思う。
後出し有利な環境制圧力の高いチップが複数ある時点で詰んでいる。
時間が経過するだけで、相手が使ったサンクチュアリやクイックゲージを上書きできない状態が確実に作られる状況でどうやって勝てと?
長期戦になるだけでBLACK版が有利になる以上、ホワイト版はBLACK版を倒し切る以外に勝ち筋がない。なので、BLACK版が本気でホワイト版対策をし始めたら、HPを盛られるだけでも倒しきれなくなって終わりだ。
まぁ、そこまでしなくてもBLACK版からすればホワイト版なんて敵ではないので、わざわざ専用の対策なんてしてこない。そこにつけ込むしか勝ち筋がないなんて虚しすぎるが…。
全く、ホワイト版にしかない魅力的なギガクラスチップがフォルダリターンのせいで全面的に死んでいるのが残念でならない。
思ったより記事が長くなってしまってnoteの処理が重いので記事を分ける事にする。