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26 勉強熱心とは言えない留学生


留学生に貿易実務、英語などを2年生に専門学校で教えていました。

先日後期試験が終わりましたが、貿易の問題は例えば次のような出題で構成されていました。

問題 1


日本輸入社は、ベトナム ドンホイのドンホイ カシューナッツ社から、

カシューナッツ1,000kg を輸入する。

ドンホイ カシューナッツ社が出してきた価格は、

FOB Da Nang 450,000,000 Viet Nam Don 
CIP Kobe 560,000,000 Viet Nam Don 

のふたつであった。

日本輸入社が調べたところ、ベトナム Da Nangと神戸との間の

船の海上運賃+海上保険料金 が¥500,000 であった。

FOB Da NangとCIP Kobeのどちらが、日本輸入社にとって安いか、

答えなさい。換算レートは 1¥= 160 Viet Nam Donを用いなさい。

¥で考えても、Viet Nam Donで考えてもよい。

解答

FOB Da Nang 450,000,000 Viet Nam Don +500,000×160
=530,000,000Viet Nam Don
530,000,000Viet Nam Don<560,000,000 Viet Nam Don
FOB Da Nang の方が安い。


問題 2
荷為替手形(輸入地の信用状発行銀行を支払人として輸出者が振出した

為替手形に、B/Lなどの船積書類が組み合わされたもの)の場合、

次の3つについて、お金の支払いを、

初めに起こることから順に並び替えなさい。

ア 輸出地の買取銀行が輸出者に輸出代金支払い

イ 輸入地の信用状発行銀行が買輸出地取銀行に送金(立替金決済)

ウ 輸入者が信用状発行銀行に輸入代金支払い


解答

ア →  ウ → イ  の順になる。

信用状発行があれば、輸出者は、

貨物を輸出地で出荷してB/L(船荷証券)を入手したら、

それらの書面を輸出地の買取銀行に持ち込むことにより、

すぐに輸出代金を受け取れるので、非常に有利である。

輸出者は、貨物が、輸入者に到着する前に輸出代金を受け取れる、

ことになっていることの理解を問う出題でした。

その後、輸入者は貨物引取りに必要なB/L受取のために、信用状発行銀行に

輸入代金を支払う。

クラスは、日本語能力別に編成されており、N3取得済みでN2を目指すクラストとN3未取得のクラストに分かれています。

18名と16名のクラスです。

N3取得済みクラスは賑やかでした。
日本語に自信ができてきたのか、ネパール学生とスリランカ学生とが日本語で話し合って笑い転げたりしています。

そのどちらのクラスでも、1年間、夏休み、冬休み、年4回行われる遠足などの行事を除いて毎週1回授業行ってました。

どちらのクラスでも、とても勉強熱心といえるのは、一人だけでした。

そこまでいかないけれど、かなり聞いてくれているが、やはり一人、

こちらが注意を向けるとやっと勉強モードに入るのが、5,6人、

という感じでした。

あまり聞いてくれていない学生が半数は、いることになります。

それなら、おまえは何をしてたのか?

半分くらいしか勉強していないんじゃないか、とご批判を受けそうです。

いやいや、そうはおっしゃらないでください。

日本人の社会人向け資格取得学校で教えたこともあります。

数十万円に及ぶ相当多額の受講料を自分の意志で払っているのだから、

みんな授業中、真剣に勉強するのかと思いきや、

そうでもなかった、という記憶があります。

折角、日本に来てくれたアジアの留学生があまり勉強熱心とは言えない

実体をどう考えるか?

日本語で授業をするので、日本語が十分、分からない聞き取れない

ということもある程度はあります。

留学生たちは、日本に留学して、留学生ビザの期間内に、

できるだけアルバイトをして少しでもお金を貯めることが、

私の勤める専門学校に来てくれた主な理由である。

いわば、時間稼ぎのために学校に来ている、

だから、勉強には無関心、と聞いたこともあります。

それも、ある側面かも知れません。

最近ある方と話していて、この問題について、

少し整理ができたように思えたので

それを以下に述べさせていただきます。

留学たちは、約100万円の大金を工面して来日し、

日本語学校で2年間日本語を勉強した後、

私の勤めていた専門学校(2年生、4年生)に来てくれています。

この間(合計4年か6年)にアルバイトで稼いで

数百万の学費を払ってくれていることになります。

専門学校では、引き続き日本語の勉強と、就職のためのパソコン、

貿易実務、会計、英語などのスキルを勉強してくれています。

多数は2年間のコースで終えて、日本での就職することを目指します。

技術人文知識国際業務ビザと言われる就労ビザが出る、

フルタイムの正社員としての就職を留学生は

目指しますが

簡単ではありません。


まず、

日本語の壁

です。

アルバイトでは、コンビニ、弁当工場、宅急便の荷物仕分け等で大活躍でき

ている留学生ですが、

フルタイムの正社員となると、

格段に高い日本語能力を要求される

からです。

最低でも日本語能力検定上から2番目のN2レベルは必要とされていますが、

在学中にN2を取る学生は限られています。

インバウンド需要激減でホテル等観光関連セクターの求人が減っていること

も就職が進まない理由です。

彼らは、日本企業研究をする能力は備えていないので、
どのような会社があるのかはよく分かっていません。学校がある程度はサポートしていますが、・・

その結果、派遣会社に就職することになる者が多くなります。

驚くことに、

どうも彼らは、日本での生活や就職事情等について、

あまり調査をせずに日本留学を決めてくれているようなのです。

そんな彼ですから、来日時点で、学業を終えたら、

自分が日本でどのような仕事に携わっているのか

といったビジョンのようなものを持ってはいなかった

と思われます。

かなり、

ああ、あなたも日本へ留学するの?それじゃあ私もそうするわ。


というに近い軽い気持ちで日本に来てくれているのが多数のように思われます。


留学生があまり勉強熱心とは言えないのはなぜか?

私の得た結論は、

今、自分が通う日本の専門学校で、今この勉強

たとえば貿易を勉強したら、卒業後、あるいは、

1年後、数年後に自分はどのような職業についているのか、といった

彼ら(留学生)自身のキャリアパスを 

描くことができない。

からではないか? です。


自分のキャリアパスをどう描くか?

これは、難しい問題です。

勉強に熱心とは言えず、授業中にぼやーとしているようにも見える
留学生だけを非難できない問題です。

私も、父親がサラリーマンで、家族と離れて遠方で暮らしていた、という
家庭に育ったこともあり、とりあえず、ある企業に拾っていただいたけれど、大学卒業時点でも、自分のキャリアパスなど皆無だったと思います。

日本に、こんなにもたくさんの資格取得学校があるのも、

皆さん、自分のキャリアパスを悩み、その突破口を求めようとしてのこと

だと思います。

キャリアパスが描けたとしても、人生はその通りには行かないのが一般的です。
常に見直して調整をしていく必要があります。

留学生たちをもっと活き活きさせてあげるには、

要所要所、例えば、日本能力の進捗状況に応じて、

君は、どのような仕事をしていきたいのか、そのために、

どのような努力が必要か、

といったキャリアパス相談に乗ってあげる伴走者が求められる

のではないか

これが、今考えることです。

留学生は、平和の使徒である

という言葉があるそうです。

留学生をどんどん送ってくれている国との戦争はあり得ない

ミサイルで防備したり、軍事同盟を強化しなくても、

いつも留学生であふれている国にすることが

日本が誇れる世界に冠たる平和主義を発展させられる

そう感謝の気持ちを持って留学生に接してきたつもりです。

1,2度、時間をかけて教材を作っているのに(作る教材の漢字には

ルビを振る必要があります。専門用語や難しい概念には英語訳も要りま

す。)勉強しない学生に少々腹が立って大きな声をあげてしまったこ

ともあります。

ごめんね!

でも、その後は、言われた驚いていた学生とも仲良くなっています。


私も、4年間大変お世話になった専門学校をこの3月で終えることになります。
留学生のことを何も知らなかった私をここまで導いてくれた

専門学校の理事長先生や教職員の方に感謝の念でいっぱいです

写真の花は、教職員の方が下さったものです。

これから、準備に時間がかかりますが、

(元)留学生たちと事業創造を模索していきたいと考えています。

留学生は、平和の使徒 である。

私の気持ちとしては、留学生は、国賓である。

お読みいただき、おおきに!














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