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22 留学生たちの7月
4月新学年から約3か月、夏休み前の留学生クラスルームは、例年のように
勉強熱心な少数派と授業についてこない多数派に分かれます。
私は授業がうまくないことをちょっと度外視させて頂いて、
留学生がなぜ勉強しないのかの原因はつぎのとおりと思われます。
1
多くの学生は、卒業後日本で就職することを考えていますが、
いまこの勉強が、就職に結びつくとか、将来に役立つとかの展望が
描けないのではないかと思われること。
2
授業中に声をかけても反応が乏しく、
なんとなくぼやーとして何も考えていないような状態にあるのではないかと
思われる者がかなりいること。
3
語学の授業で一部英語や、その他の言語が用いられること以外は、
ほとんどすべて日本語で授業が行われるので、日本語能力が低い学生
には、日本語が分からないので授業が分からない、になること。
2については私にも思い当たる節があります。
私のときは、受験といえば1発勝負で終わりという冷酷な競争でしたので、
厳しい競争を通過した後は、大学の授業が全くつまらないこともあり、
人生の「モラトリアム(猶予期間)」をのんびり行こうや、ということで、
人生の方向を決めるまでは、何も考えないような状態の期間が相当ありました。
留学生特にベトナムの学生については、社会主義の国では国民が何も
考えない方が統治しやすいのでそうなっているのと違う?
と言っていた同僚の講師もいました。これは言い過ぎだとは思いますが。
1については、夏休み前最後の授業中の4年生のあるネパール学生の発言で
勉強に熱が入らない理由が少しわかったような気がします。
4年生男子学生:私たちは1年で70万円、4年間にすると280万円もの大金
を学校に払う。それなのに、まだ就職が決まらない。
それだけの金を有料職業紹介会社に払えば、確実に就職が決まっていたは
ずですよ!
私:あなたの言い分はわかるけれど、この学校で日本語もうまくなっているし、勉強したことは日本にいる今後いつかは役に立つはずだよ。
4年生男子学生:私がこの学校を選ぶときに、リクルートのため
説明に来たこの学校の先生は、就職はできるようにするということをいって
いた。
これは非常に難しい問題で、2年間日本語学校での日本語勉強した留学生に
できるだけ当専門学校に来てもらいたいので、ある程度のsales pitch(購入の
誘因となような言動) は行使せざるえないと思います。
これは、あたかも、ジャケットを試着中のお客様に、店員は、たいてい、
「お客様とてもお似合いですよ」と声をかけるのと同様であり、問題はない
ようにも思えます。
留学生は、学校が就職できる会社を紹介してくれることを期待して私の勤める学校に入ってきてくれる。
週28時間という留学生に認められたアルバイトで得た所得で学費を支弁して
くれている。それが私たちの給料になっている。
私の勤める学校では、就職担当の先生が非常な努力を傾注して留学生が就職
できる機会を探索しておらるが、
そんなに簡単に、あるいはそんなに多数の就職先紹介を、学校が学生にできるわけではない。
また、留学生たちにも、日本人学生が敬遠する職種は、やはり行きたくない、という えり好みがある。外で働く仕事はいや、介護職はいや。
ここに大きな期待ギャップ(expectation gap)が生まれていて、留学生の勉学意欲がかなり乏しいことになっている、
これが、かなり真実であるように思われます。