ネパール留学生の日本人観
ネパールとベトナムからの留学生が9割、残りはスリランカとバングラデッシュの留学生という専門学校で講師をしています。
昨年の授業中の2年生ネパール留学生との会話
ネパール留学生:
先生、日本人は、まるでロボットか機械みたいに働く。
ネパールでは年中いろんな民族のお祭りがあるうえに、お祭りとなれば、
1週間から10日続いて楽しむ。
10月のダサイン祭りなら10日続いてみんなで食べて、飲んでダンスします。
でも日本のお祭りは、1日だけでしょ。
日本人は働くだけで楽しみが少ないように見えるけれどだいじょうぶなの?
私:
面白い見方を教えてくれたね。でも日本人はロボットか機械みたいに正確に働くから、世界中で評価を受ける車やバイクを生産できるね。
さらに、先日、4年生のクラスで、就職活動を頑張っているネパール留学生からこんな日本人観が出てきました。
4年生は日本に5年以上(日本語学校2年プラス当校3年)いるので、
アルバイト経験も豊富で、日本語もかなり自然になり、
日本についてはかなり詳しくなっている学生です。
ネパール留学生:
日本は、本当に働くことがきつい(厳しい)ところ。世界一厳しいと思う。
ネパールでは給料は1年で30%くらい上がる。しかし、日本では給料はほんの僅かしか上がらないでしょ。
日本に来る前は、このような事実は知らなかった。このことを知っていたら、考えが違っていたかもしれない。
私の解説:
ネパールは山国であり、道路網も未整備であり、例えば、天気が悪かったら始業時間を遅らせるとか、遅刻などもある程度は問題ないとか、緩やかな労働環境下にあるものと考えられます。
彼の発言は、アルバイトであっても、ち密さや几帳面さが求められ、
時間通りの出社・出勤は厳格に守る日本流の仕事のやり方についての経験値
から出たものだと思います。
また、上司を忖度したり、同僚を気にしてさっさと帰宅しないなどの雰囲気もネパールではないものと思います。
そうすると、彼は、留学先を日本に選んだことを後悔しているのかというと、そうではないようです。
ネパール留学生:
しかし、ネパールでは、物価も30%上がるから、貯金はできない。
日本の店、レストラン、空港、鉄道案内所などのサービスがいいところは認めます。
またネパールでは法の支配が確立していなくて、情実で政府の許認可行政が行われている。日本には、政府の腐敗はない。
私の解説:
彼は、ちょっと不安そうな言い方ながら、「腐敗」という難しい単語を使ってくれました。腐敗=corruption
幸いなことに、日本では、交通違反を、おまわりさんにいくらか渡して見逃してもらうことは行われていませんね。
在留ネパール人が日本で、ネパール レストランを開業することが多いように思います。
私の住んでいる阪神間でも、ネパール・インド レストランと銘打っている店が多く見かけられます。
卒業生の中にもレストラン事業をしたい者が何人かいます。
これも、母国でレストランを開業するよりも日本で開業の方が手続きが明瞭である、
ということに一因があるのかも知れません(推測ではありますが)。
就職先探しに苦闘している彼はこうも言いました。
先生の友人で、就職させてくれるところはありませんか?
私なら、ネパールに友達は100人はいるから、こんな時、誰かが助けてくれるんだけれど。