2024球春に思う
プロ野球が始まるよりも一足先に春の選抜高校野球が始まる。
それとともに、“あぁ、春が来る…”と感じる、自分にとっての心象風物詩。
2024年、今年も球春を迎えた。
ふと、そして、しみじみと、ありがたいと思う。
一昨年の今頃、無理やり退院しておきながら、日常生活がままならない現実を前になす術も無く、ほとんどの時間をベッドの上で過ごした。
当たり前の生活を支えていた健康を当たり前だと思っていたことに気付いて、健康の大切さを痛感している一方で、一日も早く社会復帰したいという焦燥感に苛まれ、止め処ない負の思いに翻弄されて、高校野球が始まったかどうかにも気が回らなかった。
昨年の今頃、意地と根性だけでは乗り越えられないものがあると思い知らされ、再び病院に舞い戻り、虚ろで打ちのめされた日々を送っていた。
体調が悪いと、情報を処理するエネルギーが欠如する。本を読むどころかテレビを見ることも出来なくなる。あんなに好きな野球でさえ、展開を追ったり、駆け引きを楽しんだりも出来なくて、結局一人の病室で天井を見つめて過ごした。
今日、開会式を見た。何年振りだろう。
社会人なら当たり前だが、仕事をしていると開会式を見ることは難しい。
画面に映る選手たちの思い、送り出している親の思い、見守り育てて来た関係者の思い。今年は被災地から見守る人たちの思い。
選手たちの入場を見て、色々な思いに寄り添っている自分に微笑む。
野球を見られるのは、本当にありがたいことだったんだ_。
日々の感謝を忘れている訳ではない。
けれど、立ち止まって丁寧に感謝する感覚。
野球が好き。チームスポーツが好き。仲間と頑張る直向きさが好き。
好きなものがあるって、好きだったって思い出せるって、...幸せ。
闘病生活33ヶ月。
何となくまだ大丈夫と思えた球春の訪れ_