ハープには憧れたけれど、生まれ変わっても選ばないぞ!
先日、TV番組「月曜日から夜更かし」を見ていた。
すると
「オーケストラの方々に聞いた・生まれ変わったら演奏したい楽器」と言うのをやっていた。
オーケストラのあらゆる楽器奏者に「生まれ変わったら演奏したい楽器」として圧倒的多数(?)で選ばれたのはハープだった。
へえ〜ハープなんだ。ちょっと意外な気もした。
ハープに憧れたこともあった
確かにハープはかっこいい!いやエレガントだ。特に女性が憧れる楽器No.1ではなかろうかとも思う。
かく言う私も若い頃にはハープに憧れた。
高校生の時、友人と音楽の話をしていて、ハープの話になった。
友人のCちゃんが言った。「ハープ、素敵だよね〜でも私には無理かな」
「そんなことないよ。Cちゃんはピアノがすごく上手じゃん。ハープもやったらすぐに弾けるようになるよ〜」
その時、私もハープに憧れていたのだ。ところがある本で「ハープはピアノが上手に弾ける人だとすぐに弾けるようになる」とかなんとか、そんなことが書かれていた。
当時、やっとの思いでピアノのレッスンを受け始めたばかりの私である。「ピアノのレイトスターターにはハープは無理かあ」と諦めていた。
(私はピアノ教師なんぞしているけれど、ピアノをはじめたのは16歳なのだ)
いや、大体、ハープなんぞ買ってもらえないし、レッスンにつくなんて夢のまた夢だったが。
ハープ奏者の友人ができて
その後は大学でピアノやらフルートをせっせと練習する毎日を送っていたのでハープのことは考えることもなく時間が過ぎていった。
大学を卒業して、ドイツに来てフルートを教えるようになったある日、とあるプロオケのハープ奏者と知り合った。
ハープとフルートと言うのは相性がとても良い。ハーピストの彼女が「一緒にデュオをしましょう!」と誘ってくれた。
おかげでハープのことを色々と知るチャンスに恵まれたのだ。
そして思った。「ハープ奏者は大変だ!」
女ひとり、重いハープを運ぶ
私の友人ハーピストさんは前述の通りプロオケの団員である。
オーケストラでは練習場にオケの楽器が置いてあり、ツアーなどでは団が楽器を運んでくれる。自分が楽器を持ち運ぶ必要性は全くない。
だが、オケの団員というもの、活動がオケの演奏会だけ、という人は少なく、音楽教室や他のオケのエキストラ、個人的な演奏会などでも活動している人が多い。
友人のハーピストさんもそうで、よくパーティーなどのBGM演奏を引き受けていた。
ハープのメリットといえば、ピアノとは違って持ち運びできること。しかもピアノのようにひとりで「メロディーと伴奏」を奏でることができるのだ。
見かけはエレガントだ。パーティーでハープの演奏があるとオシャレではないか!
そんなパーティーでの演奏仕事に時々私も誘ってくれるようになった。そう、フルートとハープのデュエットを演奏するというわけだ。
パーティー会場まではハープを自分で車に乗せて運ぶ。だから友人はいつもミニバンやワゴン車に乗っていた。
ハープの運搬のため、一人暮らしでも車のサイズだけは小さくできなかった。
住居探しも大変そうだった。階段があるとハープの運搬が大変になる。集合住宅の1階か、または大きめのエレベーターのある物件にしか住むことができない。
演奏会場まで車でハープを運搬したところで、会場の駐車場からハープをカートに乗せて運ばなくてはならない。
ここで階段があろうものなら大変だ。古城でのコンサートで演奏した時は演奏会場まで古い狭い階段しかなく、会場の男性スタッフ2人にチップを払って楽器を運んでもらっていた。
とあるホームコンサートで演奏した際は、家の中の階段をひとりでハープを持って登ったのはよかったが、その後、腰痛になり苦しかった、と言っていた。
演奏会場に無事到着しても、楽器のセッティングが終わったら今度は全ての弦をチューニングしなくてはならない。
ピアノならピアノ調律師が、弦楽器なら4本の弦だけチューニングすれば良いわけだが、ハープは47本もあるのだ。その47本の弦全てのチューニングが必要になる。
ハープ奏者の彼女と一緒にパーティー演奏をする時は演奏前の彼女はとても忙しそうだったのだ。
知り合いの子供がハープを習っていたが、これも大変そうだった。子供にハープを習わせようものなら、親は常に「ハープ運送業者」になってしまう。
演奏中だって忙しい
演奏準備が整ったところで、演奏している様子を見ると、それもエレガントとはいえない。
足は7本のペダルをあちこち行き来し、バタバタしてるのだ。ピアノのペダルだけでも苦労するのに、7本も付き合っていられない!
友人のハーピストさんは、ペダル操作のために演奏前には楽譜をチェックしてペダルを踏む場所、どのペダルを踏むかを楽譜に書き込んでいる。
楽譜はピアノと同様2段あるし、大抵の曲の弾いている音の量はフルートより多い。(演奏する音符の量で難易度が決まるわけではないけれど)
暇な時は暇すぎる
ところがオーケストラで演奏する時は結構暇なハープだ。
友人は読書が大好きなので、オケのリハーサルにはいつも本を数冊バッグに入れて、そのバッグを楽器の横に置いて、暇すぎてたまらない時は読書をしているらしい。
長〜い曲だって、ハープのでてくる箇所はほんの数分だったりする。で、私が一番「これ、いやだな」と思うのが、
暇な時(休み)が多いのに、いざ自分の出番が来ると、曲は静か(他の楽器はお休み)になりハープばかりが目立つ!
ということだ。
いや〜あれはプレッシャー大きいよね。
フルートもそんな面がある(静かな曲でソロ)から、もうそんな「お上品なイメージで音量のない楽器」はごめんだ。
生まれ変わったら…持ち運びに便利な大きさの楽器で、あまりメロディーがこない楽器、ソロのない楽器がいいな〜オケのパートだったらセカンドヴァイオリンとか?
本当は低音楽器、と思ったけれど、楽器が大きすぎる!
上品に見える楽器は上品ではない、と思ったりして
ハープは本当に上品に見える。実際のところはそうでもない気がするし、私の友人も「上品」とは縁遠いところにいる気がする(いや〜悪口ではないのよ)
女性奏者が圧倒的に多いハープだが、私はハープやピアノは男性が弾くと「やっぱり筋肉の量が違って、音がいいなあ」と思う。
(ジェンダーレスの現代で何を言ってるか、と言われそうだが、男性、女性といわれなくても演奏を聴いて「いいな〜」と思うのは音楽性もだけど、無理のない豊かな音を作り出す人の演奏だ。その点が男性の方が有利なのは仕方ない)
最近の(と言っても数年前から)お気に入りハーピストはこのグザヴィエ・ドゥ・メストレ。
友人に勧められて聴いたのが始まり。コンサートに行った友人も絶賛していた。なのに、私はいまだに彼のコンサートに行けずにいる。
どこか近くのコンサートホールでマチネ(お昼の公演)をしてくれないかな?夜に出かけるのが辛くなったから。
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