私の特技はハエ叩き(だった)
先日、このnoteを書いていた時、私の背後では1匹の大きなハエがぶんぶんと羽音を立てながら飛んでいた。
「あ〜もう、うるさいなあ。そういえば「うるさい」って漢字は「五月蝿い」だなあ。まさしくそうじゃん」
元々は旧暦の5月で現在の6月のことらしい。梅雨はハエが好む時期なのだそうだ。が、温暖化だ。今の5月は昔の6月みたいなものだ。と言ったところで、私がこれを書いているのは日本ではなくてドイツだ。ドイツの6月と日本の6月は気候が違う。梅雨はない。
とは言え、ドイツにもハエはいるのだ。たくさんいるのだ。五月蝿いのだ。
ブンブンブン…
ああ、五月蝿いなあ。ハエよ、だがあんたはラッキーだよ。3ヶ月前までの私だったらどんなに夢中でブログを書いていたとしても、どんなに夢中でピアノを弾いている最中だったとしても
「ハエだ!!!」
と即座に立ち上がり、家中に置いてあるハエ叩きで
「ハエめ、これでもくらえ〜!」
と心の中で叫びつつ、そ〜っとハエに近寄り、息を殺して
バシン!
「ふっふっふ、私のことを甘く見たな。油断したな。こう見えても私はハエ叩きのプロなんだぞ!」
そう言いつつ、これも常備してある「天国に逝ってしまったハエのご遺体を包んで捨てる紙」を取り出し、あのうるさかったハエを包んでゴミ箱に捨てる、という一連の行事を執り行ったのだ。
そして、「ふう、これでまたウサギの敵、にっくきハエをやっつけたぞ!」と満足顔で仕事に戻ったのだ。
ハエを叩くコツをブログで記事にしたことがある。ハエにはゆっくりと近づくのだ。
初代ウサギを飼い始めた19年前、私はウサギに関する知識は1mgも持っていなかった。
ある日、真っ白な初代ウサギが赤いおしっこをした。びっくりした。病気かと思った。
血相を変えて、大慌てで白いウサギを抱え(キャリーに入れ)、動物病院の戸を叩いた。
優しそうな女性のお医者様が対応してくれた。
「多分、人参を食べたからだと思うわよ。念のために尿検査をしておきましょう。そうそう、予防接種は受けさせましたか?」
え?ウサギに予防接種?
「それから、夏はハエに気をつけてくださいね。ウサギのお尻が汚いとハエがウサギのお尻に卵を産みつけることがありますから」
え?ええ?ハエが卵を??
ウサギは綺麗好きだ。病気やシニアのウサギなら話は別だが、元気な若いウサギのお尻は綺麗だ。綺麗なお尻のウサギにはハエは卵を産みつけない。
それほど心配することはないのかもしれない。
だが、私はネットで検索して見てしまったのだ。ハエに卵を産みつけられたウサギの姿を。
悲惨だった。
それ以来、ハエを見ると「ウサギの敵だ!」と即座にハエ退治にかかるようになった。
最初はウスノロなこの私が、あのすばしこいハエをやっつけることなど不可能ではないかと思った。
しかも、だ。ウサギが家の中にいるのだ。放し飼いだ。フマ○ラーなどの殺虫剤は使いたくない。
ハエを叩いてあの世に旅立ってもらうしかない。早速プラスチックのハエ叩きを買った。
ウサギの部屋の窓にはできるだけハエが入ってこないように「虫除けの網」(日本なら網戸)を貼り付けた。
私は家中のどの部屋であろうと、ハエが入ってきたら即座にハエ叩きを持ってハエを追うハエ狩人となった。
毎日のようにハエを追っているうちに、私はどうやったらハエをあの世に送れるのかを習得したのだ。
何事も練習だ。ドイツ語の諺にもある。
Übung macht den Meister(練習は名人を作る)
これはドイツの子供でも知っている諺だ。私の生徒で知らなかった子はいなかった。
全くの余談だが、ドイツに「Übung macht den Meister 」というピアノ教本がある。私も数人の生徒に使った。子供用の有名な教本だ。少々古臭いのが欠点。
関係のないことでスペースを使ってしまった。申し訳ない。話をハエ退治に戻そう。
私は、ウサギと共に過ごした19年間で一体何匹のハエをあの世に送り届けたことだろうか。
ハエの世界では「あの家に入ると即座に殺される」と噂が立っていたかも知れぬ。
だが、そんなハエにとって恐ろしい我が家は…ハエにとって平和な家と変わりつつある。
・・・いや、違う!違う!
叩くよ!
私の作文の邪魔をするこのにっくきハエめ。油断しているがいい。すぐにあの世に送ってやる!
・・・
あれ?常備しているはずのハエ叩き、どこだ?どこに置いたんだ?
(なんと、この記事にピッタリのイラストを見つけました。nishia2222様、ありがとうございます!)