#8 看護師の転職:新職場でのNG行為
前回(#7)で転職して信頼関係を築くためのヒントをお伝えしました。
今回は、もう少し深掘りし、新しい職場で余計な衝突をしないためにも、避けた方がいい行為についてをお伝えします。
*#7を違う視点から掘り下げているので、内容が被ります。
ご了承ください。
1.避けるべき行為
転職後、人間関係がスムーズに構築できないのは以下のような人たちです。
・なんでも前職場と比べて文句を言う、馬鹿にする
・口の割に業務が伴っていない
これをする人が、どんな人で、なぜ問題になるのか、そして、このような人にならないための対策をお伝えします。
ⅰ.なんでも前職場と比べて文句を言う人
どんな人
業務内容、職場の方針、人間関係…ありとあらゆる事象を前職場と比べる材料にしています。そして、劣っていることを見つけては、文句を並べ、バカにします。最終的に、自分の知っているやり方、考えるやり方に変えていこうとする人です。
例えば「前のところは〇〇だったのに、ここは遅れてる」「前のところは△△でやりやすかったのに、こんなやり方はよくない」「ここのスタッフみんなわかってない。レベルが低い」といった発言をします。
度が過ぎると、自己判断で方法をどんどん変えてしまい、既存のスタッフを困惑させる強者もいます。
これは、周りを見ることも、自分を客観視することもできていない、独りよがりの正義感を持った人です。
なぜダメなのか
施設が違えば、職場風土・求められる業務・人間関係、特に看護師の意欲やレベルなど、全てにおいて異なるのが当たり前です。
つまり、前職場と比べること自体が無意味だということを理解していないこと、既存の状態を否定される人たち(新しい同僚)への配慮がないということが問題です。
これは、真冬の北海道のジャガイモ畑で、新参者が土地に合うかどうかを全く調査せず、現地の人にトロピカルフルーツを作るよう要請しているようなものです。
既にそこに適した作物があるのに、「ジャガイモなんて遅れてる!今時の新しいのに変えた方がいいでしょ」「私が変えてあげる」という勝手な思い込みで、自分の中の正解である、新しいものに変えようとしているのです。
これ、現地の人たちにとって、不快で迷惑なことだと思いませんか?
「自分たちはジャガイモを作るから、他所でやってくれ」と思いますよね。
既存スタッフも同じです。
今までの状況を知らない、入職したばかりの人に、他と比べられてバカにされたら、「じゃあ、前のとこに戻ればいいでしょ」と思うのは当然です。
そして、自分たちのことをバカにした人の提案を聞こうと思いますか?
当然Noですよね。
ただ、その提案は、独りよがりのものもあれば、有益なものもあるかもしれません。突っ走ったが故に、実践したら改善につながった提案がスルーされてしまうのは、提案した側も、受け入れない側も、双方にとってもったいないことですよね。
対策
職場の状況を知り理解することと、自分が既存のスタッフだったらどう思うかを考え、行動することです。
「なんで、こうやってるのかな?」「意味があるのかな?」と違和感があったら、リーダー以上のスタッフに理由を確認しましょう。
意見や提案をする時、「こう言ったらみんなどう思うかな?」と考え、言葉や態度、タイミングを選びましょう。
このように、一旦立ち止まって考えるだけでも、否定的な言葉や、攻撃的な言葉は発しにくくなります。
ⅱ.口の割に業務が伴っていない
どんな人
意見や主張、文句はすごく言うけど、一般業務ができていない、もしくは不十分で、いちスタッフとしてカウントできない人です。
例えば、「みんな病態生理、全然わかってない!もっと勉強してレベル上げた方がいい」というけれど、日常の記録物の抜けが多すぎて、指摘すると顕著に不機嫌になります。また、今までの入職者全員がこなしてきた業務を覚えようとせず、そのやり方を変えるべきだという主張を繰り返したりします。
なぜダメなのか
仕事、できていないからですよね。
仕事が一人前でないのに意見をしても、インシデントなどのイレギュラーな場合でない限り、耳を貸す人はいません。
自分の足元もおぼつかないのに、よそ見をして、他のことを非難してる場合ではありません。
みんなが思っています。「文句を言う前に、文句を言われない程度の仕事をしてくれ」と。
対策
周りを見て、自分を客観視することです。
このタイプの方は、自分の知識や経験に、かなりの自信を持っています。きっと、自信を得るにふさわしい努力をしてきたのでしょう。でも残念なことに、自分自身を客観的に見ることができていません。
もし、客観視できていたら、仕事が不十分なのに人を非難をしている自分に、目も当てられないはずです。
自分を客観視するためには、周りの状況を観察すること、そして、理解することが必要です。
このタイプの方は、自分の得意分野でしか物事を見れていません。
例えば、得意なことが病態生理だとしたら、そこの知識が浅いスタッフを認められませんし、そのスタッフの持っている、他の魅力には気づいていません。
つまりこのタイプの方は自分の得意分野ができている人は、仕事ができる人、できてなければダメな人という考えのもと、人を判断してしまっているのです。
仕事をする上で必要となる要素はいくつもあります。医学的な知識、看護的な知識、観察力、知識と状況をつなぐアセスメント能力、技術、調整力、礼儀正しさ、相手に対する敬愛など、あげたらキリがありません。
そして、人はそれぞれ得意な要素は異なります。
自分の得意なことに自信を持つことは大切ですが、自分の不得意な部分を得意としている誰かが直接的・間接的に自分のフォローをしてくれているという事実に気づきましょう。
まとめ
新職場で避けた方がいい行動は、前職と比べて新職場のことを悪くいうこと、仕事が不十分なのに人を非難することです。
理由として、前者は、状況が違う2カ所を比べることに意味はなく、新しい同僚達への配慮が足りないからで、後者は、自分自身を客観視できず、周りも自分も見えていない状態です。
そうならない対策として、ひとつめは、新しい職場事情を知り、同僚の気持ちを考えて発言すること、ふたつめは、周囲を観察し、自分を客観視することで、著しいNG行為を防ぐことができます。
転職後の平和な日々をお祈りしています。
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