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#28 医師と上手く働くための話のしかた

 看護師が、医師に意見を言うとき、相手によってアプローチ方法を変える必要があります。
 なかなか耳を貸さない医師に意見を伝えるときは、特に注意が必要です。

 医師とのやりとりについて、まとめました。

1.なぜ耳を傾けないのかを考える

 医師が看護師側の話を聞いてくれないとき、なぜかを考えたことはありますか?
 理由は、看護師たちが、信用できないから聞かないとか、自分の考えや知識を強く信じるあまり、他を受け付けないこともあるでしょう。また、看護師の言い方が気に入らないくて耳を貸さないなど、医師の考え方や、その時の話し合いの状況によっても変わります。

 その理由を考えることで、ご機嫌をとりながら話を進める、お互いの妥協点を探る、他のコメディカルも巻き込んで話しをしてみる…など、いろいろあるアプローチ方法の中から、何が適切かを検討することができます。

2.忘れてはいけない大前提

 ⅰ.看護師は医師ではないことを自覚する

 看護師は、医師ではありません。医師の指示のもと医療行為を行うのが看護師です。
 どんなに医師がポンコツで頼りなくても、どんなに看護師が、医師に劣らないほどの知識を持っていても、持っている免許によって、できることは制限されています。そして、免許の違いは、責任の重さにも差があることを示しています。

 医師と看護師の意見交換がうまくいかない理由のほとんどが、看護師が「こうしたほうがいい」という強い思いを主張するあまり、その医師や、治療方針をバカにしたような物言いになっているからです。
 正直、同じ看護師として側で聞いていても、そんな言い方したら、医師は臍を曲げるだろうな、と思うような発言が平然と行われています。

 医師と看護師は、求められる業務内容も、視点も異なります。確かに私たち看護師には医学的知識を用いて、アセスメントし、判断することも求められていますが、看護的視点と、医師の視点は重なる部分もありつつ、異なっていることを忘れてはいけません。
 私たちが看護師独自の視点で物事を見ているように、医師たちも独自の視点で物事をみて、判断をしています。

 ⅱ.戦いを挑むな

 医師と対等に話そうとすると、ぶつかって失敗しまいます。話し合いは、お互いの知識のぶつけ合いではなく、患者さんにとってより良い治療が提供できるようにするためのものです。

 とかく、知識や経験に自信を持っている看護師は、自分のアセスメントや、考えを主張し、医師と戦ってしまいがちなので、注意が必要です。

 戦ったところで、得られるものは、歪んだわずかな自己満足と、看護師全体と医師との関係性の悪化です。後者は後々の業務に響くため、いいことは何一つありません。
 戦うことで得られる自己満足より、話を通したあとの大きな満足感、達成感、周囲からの承認を感じるほうがよほど幸せだと思います。

3.意見をいうときの注意点

 ⅰ.看護師の口調、言葉の選び方

 ここを誤ると、「医師は喧嘩を売られている」「馬鹿にされている」という印象を与えてしまい、医師の耳を塞いでしまうことになります。

 当たり前ですが、明らかなバカにした口調で話を進めようとしたらそこで終了になります。嫌味などを含まず、相手が気に触ると思われる言葉は使わず、冷静に意見しましょう。感情的で客観性を欠く主張は、相手にされません。

 ⅱ.ご機嫌とりもときには必要

 医師のご機嫌をとるなんてイヤだと思う方もいるかもしれません。しかし、本来の目的を達成するための手段として、ある程度のご機嫌とりは致し方がないですし、効果もあります。

 「ご機嫌とり」に嫌悪感を抱くなら、「掌で転がしてる」と思うと受け入れやすいかもしれませんね。

まとめ

 医師に意見を聞いてもらえないときはその理由を考え、それに合わせたアプローチ方法を検討しましょう。
 意見をするときは、看護師と医師との違いを念頭におき、バカにした表現を使ったり、戦うことは避けましょう。主張するためではなく、より良いケアのために意見することが目的です。感情的にならず、ときにはご機嫌をとりながら、話を進めていきましょう。
 

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