性自認の曖昧さ

1.誤解

ここ数年で、「性的マイノリティー」という層への理解が進んだ。
性的マイノリティーとひとくちに言っても様々な種類があるが、最も代表的な定義は
レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った「LGBT」である。そしてそこへクエスチョン(Q)という用語が加わる場合もある。
周知の通り、レズビアン、ゲイ、バイセクシャルは性的指向を示すものである。そして、トランスジェンダーやクエスチョンは性自認を示しているものだ。
誤解されやすいが、トランスジェンダーやクエスチョンに関しては性的指向が異性であるか同性であるか、もしくは両方であるかどうかは関係がない。

著者自身は女であるが、数年前に心療内科へ行って「自分の性自認の曖昧さ」について相談した際に医者から「恋愛や性的な対象は男女どちらか?」と尋ねられたのだが、非常に驚いた。
私は「生まれつきの性別は女だけど、自分は男でも女でもないし、逆にそのどちらでもあるように思う」と話したところ、医者からそう尋ねられたのであった。
私の性的な対象や恋愛対象は基本的には男性であるが、女性に興味を持つこともある。
もし仮に私がその医者の質問に対して、
「そうですか。私は男性が好きなので性自認は女なのですね。」と言ったらそれで解決なのだろうか。
それは違うと思う

その心療内科の医者は、「恋愛対象や性的指向が男だとしたらあなたの性自認は女だ。」と言おうとしたのだろうが、その考えは完全に間違っているといえる。これは素人から見ても間違いであると言い切ることができる。

もし仮にこの医者の考えが正しいのだとすれば、それこそゲイやレズビアンの方々はどうなるのか。
生まれつきの性別も性自認も男だけど、恋愛対象や性的な対象も男だ
という人物がいた場合、それについてはどのように説明するのかという話になってしまう。男性が恋愛や性的な対象ならその人は女性になってしまうのだろうか。
そもそも、性自認と性的指向もしくは恋愛対象を結びつけることが間違いであり、性自認と性的指向は結びつけて考えるべきではない。

もちろんその心療内科は性別認識等に特化した病院ではなかったため誤解が生じたのは仕方のないことだったともいえるが、その問診を機に通うのをやめたのであった。




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