【舞台】「銀牙-流れ星 銀-」~牙城決戦編~
2020.10.31(Sat)マチソワ観劇 @ 銀河劇場
銀河劇場に初めて入りましたが、3階席でも思った以上に近く感じて見やすかったです。千鳥配置で前の人の頭も被ることが無かったからかな。でも1列目だと視界に手すり入ってきそう。
▮STORY(公式HPより)
最強の熊犬リキの息子として生まれた秋田犬の銀。奥羽軍の一員となった銀は、人間ですら歯が立たない凶暴な殺人熊・赤カブトを倒すため、更なる仲間を求めて四国へ渡った。
各地の犬(おとこ)たちとの壮絶な戦いを経て、数千匹に膨れ上がった奥羽軍一行は、満月の夜、総大将リキのもとに集結。ついに、赤カブトとの死闘に挑む!!
▮感想とか
これは闘いの物語
闘う男たちの物語
冒頭、絆編と同じく生まれたての銀が登場。
ここの銀、表情も幼くてあどけないし、後ろ脚をぴょんとあげて宙でパタパタする動きや、後ろ脚で耳をかく仕草とか、とっても子どもっぽくて好きです。
絆編のダイジェスト(甲斐、モス、赤目が仲間になる)を挟み、いよいよ最強の男たちがいるという四国へ。
土佐弁がツボということをおいといても、土佐の闘犬・武蔵と("元"闘犬ではあるけど)紅桜がかっこよくて好きでした。ドシッとした安定感のある佇まい、それでいて銀や奥羽軍の男たちの思いを受け入れて仲間になる柔軟性。憧れる大人の男像。
また、前作でもそうだったんですが、こうやって仲間が一人一人増えていく構造がすごく少年漫画っぽくてわくわくします。(ぽいと言うか少年漫画なんですけどね、王道って感じがします)
四国に着いた時点で、既に銀はある程度のリーダー権を任されているので、凛々しくなってきた表情も見せるのですが、武蔵が仲間になったときに一緒に歌う「走れ走れ」の曲のよさいこいバージョン、すごくあどけなく軽やかな、「子どもだな」とわかる声で歌っているのが上手だなぁと思いました。
この「牙城決戦編」においてはまだまだ序盤であるここから終盤にかけて、銀がどんどん表情も声色も成長していくので、対比として最初にこれだけ「子ども感」を出されると変化がわかりやすい。
あとは踊り方とかも。
銀役である佐奈くんの元々の特性もあるのかもしれませんが、全員で踊っているシーン、銀は1人だけ抜群に全身いっぱい使って踊るので、他の犬に比べて「子どもっぽさ」を感じたりします。最終決戦時でも1歳とかですもんね。
土佐で武蔵・ビル・紅桜を仲間にした銀たち奥羽軍一斑は、モスの軍を助けるために陸奥へ。陸奥の四天王・如月・卯月・葉月・水無月(だったかな…)の配下に入っていたのは、奥羽軍第5班のリーダだったテリーだった。
裏切り者に見せかけて、正義の心を失っていなかったテリー、かっこよかったですね。はるきくんは前回に引き続き今回もアンサンブルと言いながら良い役をやられていて嬉しかったです(某所でよく拝見していたので)
熊たちとの戦闘で、闘うべきは犬同士ではなく熊なのだと悟った如月たち四天王も奥羽軍に加入。
そしてついに訪れた約束の満月の夜。いよいよ最終決戦へ。
13人の決死隊の曲、すごくかっこよくて好きでした。
3階席なのもあって、劇場で観る前に先に配信で解像度を上げておこうと思って初日の配信を購入したのですが(元々リアルタイムでは見れなかったので、トラブルのおかげで私は逆に良いタイミングで見れました)、映像で見たときもかっこいい曲だと思っていましたが、踏み鳴らす足の響きや振動、そして何よりこれから決戦を迎えるというエネルギーがものすごく伝わってきて、劇場で観た方が100倍かっこよかったです。
結局、どんどん配信がメジャーになって便利になっても、観劇が好きな人はこういう肌で感じる感覚を求めて劇場に行ってしまうんだろうな。中毒。
ステージ前方に降りたスクリーンを使った犬側と熊側が交互に鮮明に見える演出、視点が切り替わる気分になっておもしろかったです。
次々に繰り広げられる熊との戦闘。
熊の名前が度々呼ばれていたのですが舞台版では赤カブト以外の熊の区別がそれほど取り上げられていなかったので、原作を読むとこの辺りもわかるのかなぁと思いながら名前を聞いていました。熊側にも、それぞれのキャラクターや性格があるんでしょうね。あくまで舞台は犬側からの視点での闘い。
紅桜を失ったときの銀の悲痛な表情、赤虎を失ったときに体に縋り付いて泣き崩れる中虎・黒虎、この2シーンは特にマスクの中がべしょべしょになりました。それでも二人が、苦痛に満ちた死ではなく、自分にできることをやりきって最期を迎えていたのが救いでもありました。しかし辛い…。
赤カブトとの最終対決で繰り出された「絶・天狼抜刀牙」
リキはスクリーンに映し出した映像を用いて、銀は佐奈くんのロンダートからの回し飛び蹴り(?)アクロバットで。THE必殺技は、いかにも王道っぽくてテンション上がりますね。
リキと銀、2人の絶・天狼抜刀牙や五兵衛の銃弾を受け、一度は倒れた赤カブト。それでも、再度立ち上がった赤カブトの攻撃で致命傷を負ったリキ。
リキの最後の思いを託されて、再び絶・天狼抜刀牙を繰り出した銀によって、赤カブトは最期を迎えた。
赤カブトが倒されたときの言葉。
「なぜ俺だけを目の敵にする。
俺は誰の心にもいる。
本当に恐ろしいのは、心なんじゃないのか」
問いかけるように呟き倒れた赤カブトに、奥羽軍の勝利を喜びきれない、複雑な思いを感じた方も多かったのではないでしょうか。赤カブトはこの前にも、人間に倒された同胞たちを差し「罪なきものたちの叫び。親を奪われた子どもたちの慟哭」と述べています。赤カブトも、ただ安心して仲間たちが暮らせる場所を守りたかっただけなのかもなぁ。
これはあくまで、人間と犬側から見た「正義」
銀が奥羽軍の長となる、また、なるべき時にもその「正義」に触れられていましたし、最後のシーンでも「支配者にふさわしい正義感」と形容されています。
「正義」とは、なんなんでしょうね。なんて。
あと「支配者」という表現にも、銀は果たして仲間たちを「支配」するのだろうか…という疑問が残ったりもしました。
まぁしかし!
王道の少年漫画らしい仲間との絆!勇気!闘い!勝利!というわかりやすい展開の中、ハラハラしたり切なくなったり、銀たちと一緒に旅をし、闘いに臨むことで、たくさん感情が揺り動かされた作品でした。
おもしろかったなぁ。
初めて佐奈くんを観たとき、そのキラキラ感に「主人公だなぁ」って思ったんです。そういう、真ん中に立つべき子なんだろうなって。
でもそこからいろんな作品を観る中でいろいろと印象も変わり、今作改めて「主人公で居て欲しい」と強く思いました。持って生まれたものだけじゃなく、そこが似合うと思わせるぐらいまで、絶対に努力をされる人なんだと知ったから。
前作も稽古中に「(ハードすぎて)靴がすぐ壊れる」なんて話をSNSでされていた気がしますが、今回も前作をしのぐほどのハードさ。普段「人」としてはとらない体勢であれだけ動き回って叫んで踊って歌って…しかもこのご時世でのマウスシールド(使われていたマウスシールド、最初気づかなかったぐらい、透明感が高くて違和感が無かったです、すごい)見ているだけで、どれだけ体力があっても足りなくなりそうなパワーでした。
絆編を見たときもジャンプしたあと軽やかに前脚から着地する姿に驚きましたが、今回も佐奈くんの身体の使い方がすごく好きでした。登場シーンの後ろ脚を宙でパタパタする姿からずっと、前脚を軸に動く形がまさに犬。重心が前脚にあって、後ろ脚は滑らせているだけの動作がすごく良かったです。
もちろん、佐奈くんだけでなく他のキャストのみなさんも!四足歩行をされているとき、みなさんの背中から腰にかけてのラインがすごくしなやかに動くので、私はそこに一番「犬っぽさ」を感じていました。
このご時世に、これだけのハードな舞台。
「満月の夜に会おう」という歌詞通り、満月の夜に最終決戦を迎えられたキャスト・スタッフの皆様の闘いが、無事に終結して良かった。
体力的にはもちろん、精神的にも、本当にお疲れ様でした。
▮日替わりシーン
一幕ではモスとハイエナ(傍観者としてクロス)のシーン。
ハイエナがモスをいじるのが定番だったのかなと思いますが、私が見た回では一度、モスが打合せと違うことをしたのちにステージから捌けてしまう回があり、残されたハイエナがクロスに助けを求めるも、クロスの冷たい視線を浴びて退散する、という流れがありました。笑
今回、絆編に比べてモスとハイエナへの愛しさが格段に増しました。
ハイエナ、ベンを助けたあと登場しなかったですが、無事…ですよ…ね…?
二幕ではリキのもとに男たちが集結した場面でのベンの日替わり。
10/31マチネ。
べン:新入りもいるようだな、名前は?
アンサンブル:土佐刀陸奥吉(とさがたなむつよし)です!
全員:wwwwwwww
ベン:赤目、なんて目をしてるんだ。なんだそのきょとんとした顔は…!
(ひたすらきょとん顔の赤目さん)
ベン:大丈夫か、これは、ギリギリ…?闘う犬の男の子なんだな…??!!
アンサンブル:はい!
ベン:あだ名があった方がいいな、、、
なぁ、如月、お前があだ名をつけてやれ!
如月:………!!!(俺かーっ?!って顔の如月)
(下手端でクロスと並んで安全地帯から楽しそうに見守る銀)
(如月にウンウンってアイコンタクト)
如月:………むっちゃん(言わざるをえない)
ベン:むっちゃん!むっちゃんか!みんなで呼んでみよう!
「「「「「 むっちゃーーーん 」」」」」
ベン:闘犬男s……これはダメだ……!!!
まさか二子峠でむっちゃんの名前を呼ぶ日が来るとは思いませんでした。
大体ベンがリキに怒られて(「お前はしつけがなってないな!」「おすわり!」「ふせ!」など)終了。
ベン、だいぶコミカルになってるけどいいんかな。笑
でもさすがでした(拍手)
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