法律の学習のしかた

 京都産業大学法学部一回生の皆さん、そろそろ大学生活にも慣れたと思います。

 今日から法学部の新入生のためになる情報やノウハウを書いていこうと思います。備忘録みたいに使ってもらえたら嬉しいです。

 さて、今回は法律の勉強の仕方です。中の人は法律学科なので、記述に法政策学科と些細な違いがあるかもしれませんが、学習法自体は学科関係なく役立つ内容なのでご安心ください。

 入学してから、とりあえずMoodleで出された課題をこなしているけど、いままでの授業の内容を説明しろと言われてもできないという人は多いと思います。講義によっては定期試験がありますので、単位をしっかり取るためには定期試験までに復習を終えておく必要があります。
 以下では、テスト前4週間で復習を完璧にするための勉強法を簡潔にまとめたので、どう勉強したらいいか分からなくなったらこれを読んで参考にしてください。

1.講義範囲を振り返る


 15回の講義で何を扱ったかを振り返りましょう。六法、教科書、レジュメ、スライド、担当教員が付けた各回の題名などを参考に、各回で大切な内容を自分でまとめてみてください。メモするところは各自の好みですが、すぐに閲覧できて、散らばらないようなものが使いやすいです。
 私のお勧めは薄い大学ノートです。ルーズリーフも使えないことはありませんが、どうせ後でファイルに綴じるなら最初から綴じてあるノートの方がよいと思います。

 例えば民法概論のある回は、売買契約がどのような性質の契約で、買主と売主それぞれの権利・義務は何かという講義をしているとしましょう。それではその回の大事な内容をまとめるとこんな感じになります。

民法概論 第n回 売買契約の性質と、買主・売主の権利義務
売買契約……典型・不要式・諾成・双務・有償契約
 ・典型……民法典に記載されている契約類型
 ・不要式……
 〈以下略〉
売買契約における当事者の権利義務
・買主
 ・権利
 ・義務
・売主
〈以下略〉

 さて、このように講義内容をまとめたら、再読し、すべての内容を思い出せるようになるまで(「先生こんなん説明してたっけ?」と引っかからなくなるまで)教科書や講義資料、講義動画などを参考に確かめていきましょう。これができればその回は復習完了です。

2.法律の構造を理解する

 いうまでもありませんが、そのまま暗記しただけでは忘れやすく意味がありません。やはり「理解」が必要になります。ここからは講義に出てきた事柄どうしを関連付けていきましょう。(なによりその方が面白いです)

 例えば、売買契約では、買主は代金支払義務を負い、売主は代金支払請求権を持ちますが、この二つは何の関係もないのでしょうか。
 もちろんそういうことはありません。そもそも売買契約とは、要するに「お金と財産権を交換する」約束です。買う側→売る側にお金が移り、売る側→買う側に財産権が移る。二人は当事者として、この二つの移転をセットで実現することに合意したわけです。

 このとき、「お金の移転」を、「買主」からみれば「代金支払義務」となり、「売主」からみれば「代金支払請求権」となるわけです。言い換えれば、買主の「代金支払義務」と、売主の「代金支払請求権」は、「お金の移転」という作業を根っこにしてつながっているわけです。
 同じように、買主の「目的物引渡請求権」と、売主の「目的物引渡義務」は、「財産権の移転」という作業を根っこにしてつながっています。
 さらに、「お金の移転」と「財産権の移転」は「売買」という作業を根っこにしてつながっています。

 このようにして、事柄どうしを関連付けて理解すれば、そのまま丸暗記しようとするより格段に身に付きやすくなります。
 例えば試験のとき、もし細部を忘れてしまっていても、「売買=お金と財産権の交換(移転)」という大枠を理解していればそこからそれぞれの権利義務を導き出せるようになります。

 以上、法律を勉強するときは教員が説明する何らかの法的な仕組みの「前提となる構造」(隠された構造)に気付けるように考えをめぐらしてください。そうすればより質の高い学びを得られるでしょう。

3.先生に質問する

「自分で理解したことが合っているか確認したい」、「ここの語句や法律が理解できないので説明してほしい」などの場合は、授業の担当教員にメールやオフィスアワーを利用して質問しましょう。分からない所をそのままにせず、ちゃんと知っていそうな人に聞く技術と勇気は卒業後も役に立つので練習だと思ってやりましょう。

補足「e-Govより六法」

 できるだけ条文そのものを読むようにするのはとても大事ですが、どの媒体で読むかも大事です。法律の条文を確認する方法はいくつかありますが、私は断然六法をおすすめします。
 あなたの六法には条文のすぐ後ろに関連条文が付いていますよね。これを見ることでその条文に関連する条文を一目で確認することができます。これはe-Govにはない機能で、法律の専門家である編修者が予め調べた結果を載せてくれているというわけです。
 例えば売買契約(民法555条)の条文を見ると、「商事売買⇒商五二四ー五二八」のような表記があるはずです。e-Govで民法555条だけを読んでも、民法555条と商法524条~528条が関連しているなんて分かるはずもないので、特に私たち初学者は六法の方が学習しやすいのです。
 また、法律の条文は長いこともあるので、一覧できる条文数が多い六法の方が使い勝手がよいと個人的には思います。

 という訳で法律の学習をするときは六法を使うことをおすすめします。重いし太いから持って来たくねえ

最後に

 法律の勉強をする理由は人それぞれだと思いますが、ここで説明した三点を参考に頑張ってみてください。
 それではまた次回!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?