人前に立つことの恐怖を克服する方法

人前に立つのが怖いのは、理屈じゃないんだと思う。

頭では分かっている。聴衆は自分に興味なんかないし、何とも思っていない。自分の話の粗を批判的に探そうとしていないどころか、話の内容すら聞いていないものが大半だろう。

そんなことはわかっているのだ。だけど、人前に立ち皆の方を向くと、一人一人の視線が攻撃性をはらんでいる。皆、心のなかで私を嘲り笑っているように感じてしまう。

そうやって、私は萎縮し、頭の中が真っ白になり、話したいことを忘れ、しどろもどろな文章が出来上がる。

話し終えたあとは、あぁ今回も言いたいことが言えなかったな、と思いながら皆の視界から去る。

本当に、切実な悩みである。単に、経験不足かと言われたら、違うと断言するほどの経験は積んではいないが、違うような気がする。

多分、過去の心理的なトラウマが今もなお自分の心に影を落としている。

それは別の機会に考えるとして、今日は、その由々しい悩みに対処するための、私なりの解決策を思いついたから、それを紹介したい。

その前に、人から賛同を得るようなものではない、とだけ断っておく。

解決策は簡単だ。人前に立ち、話し始める前に、「私は話すのが苦手です。」という旨を一言添えればいい。それで良い。

なぜこれが有効か。私の場合に限ることかもしれないが、常に完璧を求めるあまり、他人からも完璧に見られたい、と思ってしまう。言い換えれば、絶対に自分の弱みを見せたくない。絶対に知られてはならない。。

その“完璧さ”への異常な執念、すなわち自分の弱みを知られることの恐怖が、人前での過度の緊張を招いているのではないか。（私の場合）

だからこう思った。自分の弱みを隠そうとしなければいい。それを隠すのに必死ならば、またバレることを常に恐れているのならば、最初に明かしてしまえばいい。そうすればきっと、その後、完璧な自分を取り繕うとするストレスから解放される。

これからは試してみようと思う。簡単なことではなさそうだが、やらなきゃいけない。

将来私が就きたい職業では、人前で臆せず話す能力が強く求められる。私に今できることは、その夢の実現に向かって、怯むことなく邁進するのみである。

皆、人前で話すことが苦手な人は、それぞれ違う原因を持っていると思う。原因が違うのだから、解決策は一つではない。

私はだめな人間だ、などと思わずに、いろいろ試行錯誤して、それぞれがそれぞれの解決策を見つけられたらいいなと思う。