「お客様」

お師匠様は、たまに「お客様」という言葉を使う。

勉強会のメンバー「〇〇が痛いんです」

お師匠様「…(目を閉じて頷きながら悪い所を特定中)」

お師匠様「(目を開けて)あー、お客様だ」

自分「(お客様ってなんだ??)」

ちょっと会話を盗み聞きしてみる。

 

お師匠様「治療は残り〇回。早めに治そう」

勉強会のメンバー「分かりました。また電話します」

お師匠様「うん、早めがいいよ」

自分「(お客様は早急に治すもの?)」

 

お師匠様は治療の時は集中しているので、途中で質問をするのはちょっと憚られる。(怒るから怖い)

こういう時は、機嫌のいい時を見計らって質問するか、お師匠様が説明してくれる機会を待つかのどちらか。

そしたら、意外にも早く「お客様」の説明の機会は来てくれた。

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【お客様とは】

「お客様っていうのは、まだよく分かってないんだけど、多分病気の元になるもの」

「俺が見ると、お客様がいるところは冷たく感じる」

「冷たくなると、入り込むんだ」

「治療回数を全てこなすと、温かくなるから出ていく」

「だからお客様の治療は早めにね」

 

説明はそこで終わった。

勉強会のメンバーさん達はうんうんと頷いていたけど、自分は何が何だか分からなかった。

あまり説明になってない。

肝心なことを言ってない。

結局、お客様の正体って何なの?

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自分「お客様って何なんですか?」

思いきって質問すると、お師匠様は怒ったりはせず、ただすごい嫌な顔をした。

すると、勉強会のメンバーの一人が小さな声で答えてくれた。

「お客様っていうのは、霊のことよ」

背筋が凍った。

頭や顔に流れている血が、さーっと下に向かって降りていく、あの嫌な感じになった。

 

…人間の病気には、色んな要素が関わっているのだなぁと思った。

そして、お師匠様はオバケが怖いんじゃなく、余計な情報を入れて、治療に支障をきたしたくないからこういう話は極力避けていることも知った。

 

勉強にはなったけど、知らない方がよかったかもしれない。

例によって信じるか信じないかは自由意思です。