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S-300/400をどれだけ移動させたのか?(修正版)

ロシアは既存の基地からS-300/400をどれだけ移動させたのか? GoogleEarthとESRI|World Imagery Waybackを使って数えてみたところ、50近くのS-300/400大隊が移動したことがわかった。
以下にTELと92N6E/96L6E 40V6M(レーダーの種類判別が難しいためマストで集計)の日本語と英語版の集計表。
この投稿は以下のスレッドの表を修正したものである。

東部軍管区

東部軍管区ではアメリカとの国境を守る部隊(上から1532連隊まで)が一個大隊規模や一個中隊規模で移動しているのに対し、内陸部の部隊は大隊以上や連隊規模での移動が行われているようだ。
また、ロシアはこの地域からウクライナへS-300/400を移動させたことをアメリカなどに知られないようにするためにウラジオストクのルースキー島の1533rd Guards Anti-Aircraft Missile Regiment基地にデコイを置いた可能性がある。

TEL
レーダー
デコイ

中央軍管区

中央軍管区ではミサイルサイロを守る第388連隊とエンゲリス空軍基地を守る511連隊の一部以外のほぼ全ての部隊が移動しているようだ。

TEL
レーダー

南部軍管区

南部軍管区ではS-300/400TELの移動がばらけていて傾向がつかみにくい。 クリミア(18連隊から下)の部隊で見られる減少は、基地の外での活動のための移動ではないかと考える。 また、アドレルではBukからS-300への変更、ノヴォロシスクではS-400からS-300への変更が見られた。(どちらも5P85T TEL)

TEL
レーダー

モスクワ軍管区

モスクワ軍管区ではほとんど移動は見られていない。606連隊と614連隊で移動が見られるがこの二つの連隊ではTELが頻繁に移動しているので実際は数に変更がないのかもしれない。

TEL
レーダー

レニングラード軍管区

レニングラード軍管区ではサンクトペテルブルク付近の大隊から中隊規模のTELが移動していることが多かった。 一方、元々の配属数が多かった北側の部隊からは必要最低数以外のTELが移動していることが多かった。

TEL
レーダー

新規陣地

戦争が始まった後にできた新しい陣地には主に大隊規模の部隊配備されている。これらの新しい陣地は主にクリミアや重要な軍事施設ががある場所に多く作られている。

TEL
レーダー

合計

全ての軍管区の集計表 破壊、損傷したTELとレーダーの数は11月20日頃のOryxのデータより。

TEL
レーダー
新規陣地

最後に

減少量に対して増加量の数が合わないのは、画像のような小さな新しい陣地を発見するのが難しいことが主な原因であり、実際には今回見つけた16カ所以外にも多くの新しい陣地が作られている可能性が高い。 また、陣地外で活動しているS-300/400をピンポイントで見る事が難しいことも原因であると考える。

最後に、この集計は演習などによる一時的な移動や撮影された衛星画像の時間による数の重複、見間違いなどの様々な可能性を持った数であるため実態に近しい数であると考えることを勧める。

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