みっきーのリアル登山者の端書き#865『山と比べて自分はちっぽけなのか』
「山に登ることによって、自分がいかにちっぽけな存在かを感じました」というフレーズがあります。
これに続く意味は、自身の悩みや問題は相対的に大きなものでなく、気が楽になったというものです。
これについては、単純に山が広くて広大だから自分が小さく感じるというよりも、関係性の繋がりに意識を向けてもらいたいと思っています。
山というものは、自然物のつながりで構成されています。
その山頂から麓まで、目に見えるものから見えないものまで、多くの存在によって成立している自然環です。
一方、「ちっぽけな自分」というのは、自分の存在を「個」で留めている状態です。
無限ともいえる繋がりがあるものと、周りと区分されている「個」では、そのスケールの差は歴然ですね。
なので山という自然環に触れることで、自分も本来は大きな繋がりの中にいるということを自覚することが、自分の変化のきっかけになりえると考えています。
自分という存在が生まれるために、どれだけの過程があったのか、今生きるためにどれだけの人に支えられているのか、そうした関係を認識すると、山の自然環にも劣らない広大な繋がりが一人の人間にもあることが見えてくるはずです。
なので「山に登ることによって、自分がいかにちっぽけな存在かを感じました」という言葉は、山という存在に対して人間がいかに卑小であるかを感じることではなく、「個」としての視座から抜け出して、山と同じくらい広大な繋がりの中にいることを自覚することであると、そう感じています。