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ドラゴンタトゥーのダニエル・グレイブ

 「ドラゴンタトゥーの女」の映画をひさしぶりに視聴しました。
 監督はデヴィッド・フィンチャーです。
 原作の小説は読んでは、いないのですが、北欧のドラマシリーズ「ミレニアム」は見ていて、そちらのイメージがあまりにも強いので、最初はなかなか物語に入り込めなかったです。
 映画も後半になり、自分の目が慣れてきたのもあるのですが、役者たちもよりそれらしく見えるようにはなりました。しかし、自分のなかのイメージでは、リスベットはもっと汚いし、身体的にもそれほど魅力的ではないイメージでした。なので北欧のドラマ「ミレニアム」のなかでは、どうして保護管が彼女を襲うのか、その意味がわからなかったのですが、雑誌ミレニアムの看板記者がダニエル・グレイブだったので、また慣れるのに時間がかかりました。
 ここからはネタばれになります。

 雑誌「ミレニアム」の共同創業者にして、有名な記者でもあるダニエル・グレイブ扮するミカエル・ヴルムクヴィストはある事件の捜査依頼を受けます。表向きは、ノルウェーでも有名な実業家の伝記を書くという設定です。
 事件を捜査するなかで、あまりにも闇が深く、奥が深いと思ったミカエルは、優秀な助手としてリスベットを雇います。ドラマでは、リスベットがミカエルのパソコンにメールを出して捜査を協力したのですが、映画の方がより自然なので、こっちが原作に近いのかもしれない。原作は読んでいないので、詳しいことはわかりません。
 捜査が核心に迫ると、ミカエルは銃で撃たれたり、家の戸の前に首のない飼い猫の死体が置かれたりします。明らかに、犯人からのメッセージですよね? この捜査から手を引け、という。
 そんななか、ダニエル・グレイブ扮するミカエルは、犯人の家に侵入します。
 しかし、犯人はミカエルたちが捜査の拠点としている家を訪れていました。おそらく猟銃を所持していたので、殺しに来たのでしょう。しかし、誰もいなかったので、山の上の自宅に戻ってきました。
 なんとか、その家から脱出したミカエルでしたが、犯人に見つかってしまいます。
 「よかったら家に上がって一杯やらないか? 報告もあるし」
 そこで直感というか、かなり危ないと察知すれば、その誘いにはのらないのですが、その犯人にはその家で夕食をご馳走になっている恩義や、社会的な生き物として断ることが失礼にあたるので、家に上がります。
 ミカエルもその家から拝借した包丁をポケットに入れていたのですが、犯人は引き出しから拳銃を取り出します。
 その後、眠らされて吊されて、殺されかけるのですが、駆けつけたリスベットによって助けられます。
 昨夜、眠る前に回想していて思ったのは、もしミカエルがジェームス・ボンドだとしたら? でした。
 007のダニエル・グレイブです。
 スパイであり、殺しのライセンスを持つ男です。
 その場合のシミュレーションをしてみました。
 犯人は猟銃の腕も超一流で、かなり危険な男です。
 しかし007ならば、家に侵入したあとも逃げないです。
 待ち伏せして、姿を隠したまま犯人を気絶させて、拘束するでしょう。
 さらに犯人には目隠しをして、どこかの尋問室に閉じ込めて、声を変えて尋問するのではないのか?
 連続殺人の証拠を突きつけ、自白させるでしょう。
 その後のことは、わからないです。
 
 しかし、それではドラゴンタトゥーの女の活躍が見られない。
 物語も成立しない。

 007の映画を見ると、物語の最初からカーチェイスがはじまっています。
 マシンガンを撃たれるアストンマーチン。
 いい大人が、昼間っからカーチェイスですよ。
 アストンマーチンのドアがとれて、逆にマシンガンで相手の車が崖下へと落ちていきます。
 007のダニエル・グレイブは、ボロボロのアストンマーチンをイタリアの秘密基地に入れる。
 とても高価なスーツを着ていて、高級車はボロボロ。
 その合間に演じていたのが、雑誌「ミレニアム」の記者でした。

 異常連続殺人犯。ドラゴンタトゥーの女のハッカー。雑誌「ミレニアム」の共同創業者にして有名な敏腕記者。殺しのライセンスを持つスパイ。
 私たちは、こういうものを見て、娯楽としているのです。
 普通の主婦や、会社員では、なかなか車が爆発して燃えたりはしないからです。
 そして、おそらくこれらにも何か意味があるのかもしれないです。
 それは、私たちが求めるから、見たいから存在します。
 小説では、部数を伸ばすため。
 ドラマでは、視聴率を上げるため。
 映画では、劇場公開でヒットさせるためです。
 
 そして、ここが一番、云いたいことです。
 潜在意識は、嘘と本当の見分けがつかない部分もあるということです。
 表層意識では、嘘だとわかっていても、身体は反応してしまう場合もあるからです。
 そういう意味で言えば、この映画の連続殺人犯はハンターであることが窺えます。
 獲物を捕らえて、殺しています。
 狩猟民族だった頃の人類の記憶と、ある意味共通しているのです。
 スパイもそうでしょう。
 忍者のように昔から、存在しています。
 ハッカーにしても、これは現代的なのですが、ある意味スパイ活動とか、情報操作に通じているので、昔から存在しているのでしょう。
 どこにも、新しいものは、存在していないのです。
 ただ、それが形を変えて存在しているだけ。
 それらが、私たちの古い記憶に語りかけ、なにかを呼び起こすのかもしれないです。

 前回投稿の左脳の話では、肉体を通して潜在意識に語りかけ、左脳のおしゃべりを止めることが覚醒の手がかりらしいのですが、まだあまりこの情報は一般化されておりません。
 私自身も、もう少し、この件に関しては調べていきます。

 それでは、本日はこれで失礼いたします。

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夏野 まどか
ありがとうございました。生きている間は、書くことはやめないつもりです。