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風そよぐほうへ

昨夜の雨は、
じっとしてなどいられない
たくさんの雷の子供たちを連れて
なだめすかしながら
先を急いだ
西から東へ

雷の子供たちよ
はぐれないで
ちゃんと、ついておいで

雨粒の小言を聞きながら
雷の子供たちも、私も
同じ夜空の下

紫陽花の花が、
少しくすんでしまったのは、
昨日の夜の雨粒に
濡れたせいではありません
私の目尻の湿っているのも、
君のせいではありません

未来からやってくる『今』は、刻々と
やるかたなく通りすぎて
一瞬にして、過去になってしまう
気が遠くなって、覚えず叫ぶ
『今』とは、どこですか

それでも、
今、ここで想っている
抱き続けている
記憶のカケラに
君とともに生きた時間に
『永遠』と名付けてもいいですか

今日の空の雲は、早足で
西から東へ駈けてゆく
迷子にならないで、
みなそろって来てますか
草々の、風にそよぐ方へ

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