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何処かで

パリの街角を舞台に
アメリカの作家が描く物語を
日本に暮らすわたしが手に取る

笑ったり、
反論したり、
涙しながら愉しみ
ふりかえる
自らの愛しい時間

魂は、きっと
生命には相容れない
時を忘れるほどの愛しさに
取り憑かれた
幸福な生命からの
溢れる想いが
集まり、留まったもの
それを、魂と呼ぶ

生命は
自ら魂を宿せない
生命からの愛を
たっぷり受け取ったものに
魂が宿る

愛をたっぷり受け取った生命は
魂を宿すだろうか

かつて、側にあった
わたしの古びたピアノは
今も、
何処かで、誰かが
憂いを、泰らぎを
奏でているだろうか

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