無題
のびちゃんは、私がいなくなったら悲しい?
偶然なんだろうけど猫は小さく頷いて、それだけで私は涙が止まらなくて、生きなくてはならない。
ビー玉のような目をした横顔がとても強く見える。
ベランダに飛ぶ飛行機。いつもは大きいのに今日は小さく映るものばかり。
たったそれだけのこと。
大丈夫。
のび、夕焼けが綺麗だね。
もうここの暮らしには慣れたかい?
来年の二月で一年経つよ。
もうあの日から、一年。一年。
死んだように生きている。
そんなことない、ってするのに精一杯。
でもやっぱり、死んでいる。
車の走る音が聞こえる。
人は流れていき、みな、生きている。
わたしはその流れの渦の中心で、台風の目の静けさの中、全てが怖くて出てこれない。
耳にうるさいほど、静かだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?