造影CTのとき
いよいよCT を撮りに行く。
でっかいレシートみたいな紙に書かれた番号の受付を探しながら通路を進む。
ありました。廊下も壁も天井も何故かややグレーの何だか気分が沈むようなまるでトンネルのように続く廊下。
左側に重苦しいドアがいつくもあり、所々に放射能☢️マークがついている。さらに進むと受付の小窓があり、ここは自動受付機ではなく職員のおばちゃんがおられた。
流れ作業的に説明と確認があり、呼び出し機が鳴るから待つように言われた。
長く続く廊下にはいくつものベンチソファがあり、すでになん組か(ほぼ付き添いの方がいる)が座っている。
その前を歩くのは嫌だった。ほとんどの方が僕の親世代の方々。本当はそんなことはないのだろうけど、すごく見られている感じがした。
でも僕だって、周りの患者さんたちを見てるよな。いろんな想像しちゃうよなと思った。
しばらく待っていると次々と呼び出し音が鳴る。みんな同じメロディだ。当たり前か。
ただねぇ、呼び出し音が聞こえない人が多くいる。「あのぅ、鳴ってますよ。」と言いたくなる。他の人が自分の呼び出し機をみたり鞄のなかをみたりしている。
お年寄りには馴染めないアイテムだな。音も小さめだしな、とか。
そんなこんなで待っていると僕の呼び出し音が鳴った。いよいよ来た!ちょっと怖い。何故なら造影剤、苦手なんだ。
扉を開けて中に入るとカウンターがあり再度本人確認があり、診察券を首からぶら下げる名札を渡されぶら下げ、検査着を渡される。
おばちゃんに案内されフィッティングルームみたいのが左右に5個ずつ位並んだところで個室番号を示され「この中で着替えて着替えが終わったら診察券と呼び出し機をもってカウンターの前の椅子に座って待っていてください。」といわれる。
着替え終わりフィッティングルームみたいのに鍵を掛け指定された椅子に座る。検査着の前が割れてパンツが見えそうだなとか、つまらないことを考えた。
看護師さんが来て、がんセンターでは初めてのCT なので細かい説明があった。
しばらく待つと名前を呼ばれ、おいおい、初診の受付からはついここまで個人情報なのかなんなのか名前を言うことはあっても呼ばれなかったのに、大きな声で呼ばれた。
ついに来た。
CT の機械のある部屋に通され診察券と呼び出し機を棚に置く。要らんのんやん、と思った。
機械のベッドに端坐位になり名前の確認をされ、所定の位置に臥床する。
採血したのとは反対の腕に造影剤の注射をされる。看護師さんが何度も声をかけてくれる。
一番嫌な瞬間がやって来た。
からだが熱い🔥これが嫌だ❗
機械の指示に従い呼吸をする。撮影は思ったより長い。
こいつが僕の体の中の癌を写し出してくれるのだから、ちゃんとしないとと頑張る。
撮影が終わって「起き上がって」と言われ再び端坐位になる。「大丈夫?」とため口で聞かれる。「大丈夫です」と丁寧に答える。「これで終わりやから着替えて帰って良いよ」なんて言われる。「ありがとうございました」と頭を下げ退出した。
少しふらついたけど問題はなかった。
CT の受付に検査着と名札入れを返し、会計行きのファイルをもらって会計へ向かった。
僕の両手は明らかにCT しましたって言うようにベージュのストレッチの効いた包帯が巻かれている。どこからみたって付き添いではなく、僕が癌患者だ。
自覚、僕はもう癌患者だ。
嬉しくもない。自慢にもならない。
会計にファイルを出して待ち合いに座る。周りは老人たちであふれかえっている。まるで職場の老人ホームだ。この人たち、長い時間待ったり遠くから来てたり、ホントに大変だろうなぁと思ったりする。そしてたくさんに見えるのは付き添いの方が多いのもある。患者ひとりにつき1~2名はいるようだ。
あちこちで呼び出し音が鳴っているけど気づかない人がまぁまぁいる。
そしてついには名前を呼ばれているよ。
CT の結果は予約されている次の診察日に。