白衣の天使と痛みの悪魔
何がなんだか分からないけど、これらが僕に繋がっているものたち↓
さて、夜が来たようだ。
じんわりと痛みというものを感じ始めてはいたけど、それはきっと「カロナール飲んだら大丈夫だよねぇ~」みたいに思ったり、「背中に麻酔入ってんだぜ~大丈夫じゃね?」とか思ったり、まだ僕は未知の世界を甘くみていた。
眠れずにいると、ナースさんがやってきた。「担当の○○です。」と。
担当が多すぎて誰ひとりお名前を覚えられない(笑)
周りはかなり静かになっていて、人の息が聞こえそうなぐらいだ。あとは機器の音が相変わらず鳴っている。壁やガラスなどはなく全てカーテンで仕切られているから音は良く聞こえる。
ナースさんがベッドサイドの椅子に座っている。
どのナースさんも患者のアセスメントをしっかり読み込んでいる。当然僕の職業も知っている。ナースさんからするとどうやら介護士というのはちょっぴり興味有るみたいだ。
横に座っているナースさんが話してくる。
「介護士さんなんですね、大変ですね。看護師ですけど介護士さんにはなれないです。無理です。」などなどお話しする。
介護の事や看護の事、まぁまぁお話しした気がする。彼女はすごく真面目だな。あんまり一生懸命になりすぎない方が良いだろうな、なんて勝手なことを思ったり。
人間相手の仕事、特に病気や認知症など有る方の相手は必死になりすぎたらお互いに辛くなるだけだと僕は思っている。
どこかで笑いに変えながら顔を見合わせて笑えるように、そんな気持ちでやれば良いと思ってる。
ひとしきりお話しをして彼女は「ありがとうございます」と言って巡視に行ったようだった。
白衣の天使が去っていった。
僕は少し眠った。Zzz…
ん?ん?
「痛てぇ~」
僕の言うところの「硬膜外麻酔の範囲からはみ出した穴」が激痛を始めた。
嘘でしょ?聞いてないよ!
我慢しよっと(笑)
できませ~ん!
普段仕事では押されてイラッとするナースコールをついに初めて押すときが来たのか?それは今なのか?ねぇ、どうなの?
「ピーンポーン」押した(泣)
「どうされました?」優しくナースさんが来てくれた。
「すみません、お腹の傷が痛すぎて。」と弱音を吐く僕。
「全然我慢しなくて良いんですよ。背中のお薬いれますね。」と硬膜外麻酔のカプセルを活かすときが来たようだ。
なにやらカチャカチャ言ったと思ったら、背中にスウッと少し冷たい感じのものが入ってくる。管をみると何となく白っぽい液が流れている気がする。
ほえっ~効いてくる~すごーい😆⤴
痛みの悪魔を押さえつける白衣の天使。
ありがとう神様。
でもね、それも束の間、やっぱりはみ出した傷は痛むのだった。結局頓服薬として痛み止めを飲むことになる。
もう僕の身体には口からと背中からと、痛み止めがどんどんと入れられていく。
痛み止めについて説明を聞いた。
少し前まで痛み止めはなるべく少なく使って痛い間は寝て治す的なことだったけど、今は痛み止めはどんどん使って動けるときは動いて治す的に変わったらしい。なので痛いときは遠慮せず呼んでくださいとのことだった。
硬膜外麻酔を随時入れながら、毎食後にカロナールを500mg飲む、頓服としても飲む、そんな感じだった。
「明日から歩行のリハビリしますよ」
えっ👀⁉この痛みの中歩かすな(笑)
天使と悪魔は表裏一体、同時に存在するものなんだな。
今日腹切って明日は歩く…あ~あ、妙な時代だな。
朝までに何度か麻酔をお代わりした。
ちなみに僕に麻酔をお代わりさせた麻酔からはみ出した傷は、ロボットの指が貫通したわずか1cm程の穴だった。
筋肉を切るとこんなにも痛いんだね。
ちなみに、術後ずっと体温は38度辺りをウロウロしてたけど、自分では熱がある感覚はなかった。