インテリアで、人生が変わる
大げさな題名だなあ、と思った人も多いかもしれません。
でもこれ、自分がプライベートで部屋をコーディネートしてあげた友達が言ってくれた言葉なんです。自分がインテリアの仕事を選んで良かったと一番思えた約10年前のエピソードを書きます。
自分がDINKSでインテリア業界でバリバリ働いていた頃、近所に住んでいた女友達がすったもんだの末に結婚破棄になりました。20代後半で結婚前提で同棲もしていたので、彼女の受けたダメージは相当なものでした。友人は気丈に振る舞って仕事もこれまで通り頑張っていましたが。飲みに行ったら泥酔してしまったり、すごくポジティブな性格なのにびっくりする程悲観的な事を言って感情のアップダウンが激しくなったり。はたで見ていても心配になる状態でした。
1人暮らしの為の部屋を探すという友達に、私は部屋のコーディネートをしようか?と提案。「タダで頼むなんて悪いし、高い家具なんて買えないよー」という言う友達に、「ネットやお手頃価格の店で揃えれば大丈夫。イマイチなら買わなくてOK。ギャラなんて気にしないでいいから!」と言って、25平米ほどの1Kの部屋をコーディネートすることになりました。
それまで富裕層の住居や自社ショールームのインテリア提案をメインで行っていたので、スペースの制限が厳しい条件での家具選定は意外と手間取りましたが。一緒にプチプラな家具屋さんを見に行ったり、友達にヒアリングしつつネットでサイズの合う家具を探したりするのは、すごく楽しかったです。友達も提案したコーディネートを気に入ってくれて、機能的で居心地よさそうな部屋が完成しました。
社交的でバリバリ仕事をしていた彼女は、それまで外食が多くあまり自炊をしていなかったそうですが、新しい部屋では料理をする機会が増えたらしく。休日もほぼ出かけていたのが、家でゆっくり家事をする事が苦痛じゃなくなったと言っていました。精神的にもすっかり落ち着いた彼女をみて、私も安心していました。
そんな彼女に半年ほどたってミラクルな出会いが訪れます。仕事先で知り合った素敵な男性が超ご近所(徒歩数分の距離)で、しかも独身だったのです!ほどなくして2人は付き合い始め、彼氏は彼女の部屋に入り浸るようになりました。ただ1人暮らし用にプランした部屋なので、2人で長時間過ごすと手狭さにストレスを感じるようになったそうです。
意を決した彼女が「いっそのこと、引っ越して同棲しよう」と提案すると、彼氏もすんなり同意。近所にいい部屋が見つかったタイミングで同棲しました。それから妊娠&結婚の嬉しいニュースをもらうまでに、ほとんど時間はかかりませんでした。その頃食事に行った友達に言ってもらった言葉は、コーディネーター冥利につきるものでした。
「あの部屋に引っ越して、自分の人生が変わったと思う。ほんとありがとう。それまで自分があまり家にいてなかったのって、部屋が居心地悪かったからだって事が分かったわ。そういう時って料理もする気にならなくて、外食ばっかりで貯金もできないし肌も荒れやすかったけど。今はお化粧して外食行くより、家で自炊して食べる方が楽だと思うもん。ダンナと付き合った後も、私の部屋に入り浸りになってなかったらすんなり同棲できたか分からないしね(笑)」
住む部屋やインテリアって、住む人の精神状態や行動にまで影響を及ぼすんだなあと強く感じた出来事でした。いま自分の住む家や部屋が居心地いいと思えない人は、もし家が散らかっていたら整理整頓から始めてみてほしいです。いらないものを捨てて必要なものがすぐ出てくる状態にするだけで、何かが変わるかもしれません。