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日名子実三作 阿邊飛行士像



彫刻家日名子実三による、阿邊飛行士(阿邊浩)石膏像です。
台座に日名子の銘があります。

高さが50センチほどあり、私のコレクションとしては大きなものです。

阿邊飛行士は、1925(大正14)に「初風」と名付けられた軽爆撃機ブレゲー19に乗って、篠原春一郎機関士、「東風」搭乗の河内一彦操縦士、桐庄平機関士とともに、代々木練兵場からシベリア、モスクワを経由してベルリン、パリ、ロンドン、ローマを訪ねる訪問飛行を行います。
総飛行距離1万7400kmあまりだったと言われています。

そんな阿邊浩は、大分県出身。
同郷の彫刻家日名子実三に彼の全身像の制作が託され、訪問飛行の記念として阿邊に贈られたのがこの像であったと、広田肇一著「日名子実三の世界」に書かれています。

この像について、何故これほど詳しく記されているかといえば、この阿邊飛行士石膏像と同型のものが大分県立美術館に収蔵されているからです。
https://collection.opamtob.jp/admin/storage/app/media/museum/Sc-2008-0001/work_image/jpg/Sc-2008-0001_0001.jpg

それによると、制作は1926年となってます。
同年行われた第1回構造社展の出品作みたいですね。

箱書をみると「阿邊飛行士」と記されており、大分県県立美術館の作品名「安邊少佐像」とは異なっているのが気になります。
ただ、箱書の実三の銘は本人のものだと思うのですよ。

像の裏面には盛土を削った残土が見られます。
石膏型取り時に付いた物なのでしょうが、普通に石膏→石膏の型取りで付くものでしょうか?

そのところが、ちょっと不明です。
それに、これが箱書されるような、人の手に渡る作品であれば、この様な状態のままにしておくものですかね。

もう一つの可能性は、この石膏像が粘土から型取りされた最初の雄型なのかも〜?
その型を欲しいという人がいて、日名子が渡したのかな。
どうでしょうか?

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