「程よい関係性を作っていくのがHappyのシゴト」真夏の新人研修会レポ(後編)
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アタリマエをリノベーション
「空き家を活用しているから、建物をリノベーションしてるってことですか?」と聞かれることがあります。
そうではなくて、いま目の前にある問題に対して「これって、こうした方が良くなるんじゃね?」という概念や価値観ごとリノベーションしようということです。
じゃあ、はっぴーの家をやるにあたって、何をリノベーションしたのか?
子育てや介護に悩んでいる人が、「大家族っていいよね」「子育ても介護もしやすいから良いよね」って口にする。でも今の日本は核家族。ならば、大家族を否定ではなくリノベーションしようと。
つまり「そもそも家族とは」という価値観をリノベーションしようと思いました。そこで生まれたのが「遠くのシンセキより近くのタニン」というコンセプトです。
遠くのシンセキより近くのタニン
「血の繋がった家族との関係性が悪くても、近所の人との繋がりやコミュニティがあれば豊かになるんじゃない?」そんなことを仮説として立ててみました。
ある認知症のおばあちゃん。以前はクレーマー気質があり、子ども嫌いという方でした。普通に考えれば、ゴチャゴチャしたここの環境はベストな場所ではありません。
ところが、このおばあちゃんは子どもたちと笑顔で一緒にいます。そのように、関わる人の数を増やすことで変えられることはたくさんあると思っています。
高齢者だけにスポットを当てるのではなく、その方に関わる人物を増やし、身の回りのタニンとの関係性を増やし続けること。それが、結果的に高齢者が感じるQOLにも繋がると思っています。
違和感が3つ以上重なるとどうでもよくなる
時間的な制約、認知症や、身体的な問題や、いざこざとか、解決できない問題がたくさんある。全てを解決しようとするのではなく、それでもちょうどいい時間をつくることで最適解を見つけることが大事だと思ってます。
ダイバーシティや多様性っていうのは、お互いのことを「どうでもいい」と思える空間や状態のことだと思ってます。そういう空間だったら、何か問題が起こっても気にならない。
そのために、あえて同じ空間に3つ以上の「違和感」をつくるようにしています。
すべての人より、目の前の3人をハッピーに
「高齢者ってこんなんしたら喜ぶだろう」とか、「お年寄りってこんなん好きやろな」ってイメージはどっちでもいい。
そうではなくて、「・・さんって、こんなことしたら喜んでくれるよね」と顔の見える人のことを具体的に考えて欲しい。
広く考えるのもいいけど、まずは目の前にいる人のことを深く考えること。
なんとなくではなくて、顔の見える人や名前がわかる具体的な人のことを問うて欲しいなと思ってます。
3割きっちり
Happyでは、あえてマニュアルを作らないようにしています。でもマニュアルがないと機能しないこともある。
じゃあどうするのか。
そこで「3割きっちり」という考え方。
要するに、「3割の重要な部分を押さえることで、7割の余白で遊べるんだ」ということです。
例えば、車イスのおじいちゃんを山に行きました。リーダーはアウトドアのプロである吉川さん。どうせ行くならたくさんの人を連れて行った方が、ワイワイして楽しい。だから子どもたちにも来てもらおうと思ったはず。
だけど素人だけで行くと怪我をするかもしれないし、危険が迫る可能性がある。ここで大事なことは、みんなが楽しめるようにするために”安全面”を押さえること。
事前の準備や当日の動き方を見て「何かあったら俺が責任を取る」という覚悟が見えた。
普通の会社だと、「ここが大事だよ」ってことをマニュアで教えてくれる。だけどHappyではその時その時で押さえるポイントが違う。だから、教えてもらえない。
Happyという環境は、人生と同じで自分で考えていかないといけません。
どうにもならないことを、どうでもいいことに
オープンした当初、レビー小体型認知症のおばあちゃんが暮らしていました。
その症状の1つに幻覚と妄想があります。簡単に言うと「いないはずの人が見える」状態です。このおばあちゃんは、誰もいないリビングやお部屋で20〜30人いるって言うこともありました。
一般的には「真っ白なカーテンで穏やかにする」や「お薬を飲ませる」など落ち着いた環境に置いてあげるのが良いとされている。
確かにそうかもしれない。だけど、「自分やったら嫌やな」と思った。
じゃあ実際に20〜30人くらい見せたったらええやんと思ってこんな環境を作ってみた。
すると、「この年になって、若い人たちの話を聴きながらお酒を飲めて嬉しい」と涙を流し、この日は薬を飲まずに寝ることができました。
症状自体をどうにかすることは難しいこともある。ならば、視点を変えてみることで違う何かが起こるかもしれない。
大切なのは在り方でしかない
コロナが起きた時、多くの介護施設や病院は面会を禁止にしたりあらゆる手を打った。じゃあHappyはどういうスタンスで行くのかを考えた。
自分たちは病院でも社会福祉法人でもない。
だから良い施設を作るのではなく、あくまで「Happyな暮らしを問い続ける」会社だと。
そしてコロナ収束までは3年はかかる。
その間、ずっと部屋に閉じ込めてしまうときっとADLを戻すことはできない。それは「Happyな暮らしを問い続ける」ことになるのか?と。
3日間考え続けた結果、Happyは【感染対策をしっかりしつつも、変わらず人とのコミュニケーションをとれる日常を作る】という方向に舵取りすることに決めました。
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弱みこそ、強みである
仕事をするにあたって、ネガティブな要素をポジティブに捉え直すことが大事だと思ってます。
なぜなら、本質的な価値というのは弱みの中にあると思っている。
だから、Happyの事業では闇の部分にも光を当てて考えるようにしています。
WAGOMUクライミングジムは「壁が低い」という弱みがありました。
しかし、反対に「落ちても怪我しないし怖くない」=「子供や初心者にとってはめちゃくちゃいい場所」だと考えました。
そこで”クライミング初心者の聖地”として、初心者やクライミングに興味がない人でも入れるような場所を作っています。
街の中に自己実現のタネをみつける
マズローの五大欲求でいうと、地域やコミュニティは1番下の生理的欲求。そして医療福祉は下から2つ目の安全欲求。
でも、Happyはその上をどう作っていくかが大事だと思っています。
例えば、リビングで子どもの習い事をやってみる。それをエンタメのように楽しんでくれる。おばあちゃんは達観しているので、自分の成長のように日々関わっている人たちの成長を喜んでくれます。
他にも、街の中に自己実現のタネをみつける。
手先が器用だったおばあちゃんを、近所のイベントに連れていってみたり。いつもお花のお世話をしてくれているので、お花屋さんに連れて行ってみる。そこで社会と繋げたり、やりたいと思った事を深めたり広げてみる。そんな視点が、ケアにつながるのかもしれません。
そんな事を通じて、程よい関係性を作っていくのがHappyの仕事だと思ってます。
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