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究極のビビリが左卵巣腫瘍を開腹手術した話 ⑤

いよいよ、2月14日入院の日。
9時から10時の間に来て下さいとの事だった為、当たり前に9時50分くらいを目指す事にしました。(1分1秒家に居たかった)
昨夜は、これから待つ1週間の恐怖と不安であまり眠れませんでした。

起きて直ぐにお風呂のお湯を張り、この先、何日後にシャワーを浴びられるか分からなかった為、頭から足の先までしっかり洗い、お臍(ヘソ)は1週間以上前よりキレイに洗って欲しいとの指示があった為、その日ももちろん入念に洗いました。

私は温泉やお風呂が好きな方です。
外の空気を吸いながら入るお風呂は最高ですし、いい匂いのお風呂も大好きです。

あっ、バブも好きで、普通ずっと触ってたらダメなんだと思うですが、最初から溶けるまで触りすぎて指に色つけちゃうくらい好きです。

そんな私のために、前日にアロマのリラックス系の入浴剤を3種類、アワアワブクブク系のテンション上がるいい匂いがする系の入浴剤を1種類「好きなの入れてゆっくり入っておいでー」主人が用意してくれていました。

シャワーを浴びながら、少しでも明るく前向きになりたいと、アワアワブクブクのお湯がピンクに染まるお風呂にゆっくり浸かりました。

お風呂から出ると、朝ご飯はロールパンにたっぷりのレタスとこんがり焼けたウィンナーを挟んだホットドッグを用意してくれていて、至れり尽せりとはこの事だと実感していました。

主人のおかげで最高の朝を迎えた私ですが、それでもマイナスな感情を全て払拭した訳ではありませんでした。


9時半頃上着を着て、意を決して「行こうか…」と玄関に向かう途中で涙が出て来ました。ただ、その後は気持ちをしっかり持ち涙は封印しました。

入院1日目

病院に着いた時は10時の時計が回るギリギリ3分前くらいでした。

入院受付の所には6人くらいの人がすでに待っていて、その人達が私の仲間、戦友のように感じました。勝手に心の中で今日から一緒に頑張りましょう!!と全員と握手をしました。(実際にはしたら怖すぎなのでしてないですよ)

しばらく待つと名前を呼ばれ、簡単な入院の説明を受けました。
入院中の面会は、15時から19時の間の15分間との事。
主人は仕事的に、19時に帰れるか帰れないかかなり微妙な所な為、最悪手術日と日曜日に洗濯物をお願いしても間に合うよう、入院の荷物を用意しました。

説明が終わると、婦人科病棟ではなく外科病棟に入院するとの事で、外科病棟に案内されました。(たまたま婦人科病棟がいっぱいだったのか理由は不明)

病棟内のデイルームのような所でしばらく待機していと担当看護さんが病室まで案内してくれました。
窓際がいいなぁ〜なんて淡い期待をしていると、見事っ!廊下側に案内されました。笑
検温やら血圧、酸素濃度などを測り、午後から先生の診察がある事、シャワーを浴びて欲しい事、お臍のお掃除をする事等説明してもらいました。
ここで、主人は仕事に行き、いよいよ本格的に入院生活がスタートしました。

荷物を片付けていると、あっという間にお昼ご飯の時間になりました。お世辞にも美味しいとは言えるような食事ではありませんでしたが、入院日は2月14日バレンタインデーという事でデザートに苺のムースがついていて嬉しかったです。

私は結婚前10年ほど介護の仕事をしていました。ですので、あばあちゃんやおじいちゃんは大好きですし、認知症にも普通の人よりかなり知識も理解もある方だと思います。
しかし、仕事で接するのと自分がいざ入院中に同居するとなるとやはり訳が違います。
隣のベットのおばあちゃんがとにかくずーっと笑いながら何かお話しされているんです。
あと、マスクを1時間に1回くらい無くして看護師さんを呼ぶんです。そんで毎回ちょっとだけ怒られちゃうんです。
それがだいぶ気になりました。

12時50分 看護師さんに連れられ手術前の診察と言う事で、婦人科病棟の診察室に案内されました。
もちろん、想像はしていましたが婦人科病棟に入ると、お腹の大きい妊婦さん同士が談笑していたり、赤ちゃんの泣き声が病棟中に響き渡っており、
正直、「うぅ…」とダメージを受けました。

今回私は、先生の配慮のもと右卵巣と子宮は一旦温存する事になった訳ですが、
新しい命にもう時期会えるであろう幸せなお母さんたちの笑い声や、新たに誕生した命に喜ぶお母さんたち、何よりこの世に元気に生まれて来てくれた小さな小さな命たちの、この幸せが溢れている空間に、自分自身の命と向き合い治療に向かっている人や、産む機能を失う人が居るかもしれないという現実がとても残酷だな。と感じました。

天国と地獄とはこの事だとさえ思いましたが、同時に私自身も人の幸せを羨んだりしている事に嫌気がさしました。



外科病棟から、婦人科病棟に翌日の朝に移るとの事。今の隣のおばあちゃんとの距離感、婦人科病棟の雰囲気を総合して、もしも空いていて可能であれば婦人科病棟に移ったタイミングで個室に入りたい旨を伝えました。

明日は予定通りの手術で大丈夫でしょうとの事で診察を終え、おばあちゃんの隣に帰りました。

その後はシャワーを浴び、点滴の管を入れてもらい、お臍の掃除をしてもらいました。

下剤やら浣腸やら、手術後から飲むであろう痛み止めのお薬の説明に薬剤師さんが来たり、麻酔の先生が麻酔の説明に来たりと、あまり休む間もなくあっという間に夕飯の時間になりました。

夕食後は、特にやる事もなかった為本を読んで過ごしましたが、明日の手術の事を考えるとなかなか本の内容が頭に入って来ず、1ページ進んでは1ページ戻りを繰り返していました。
ずっとずっと読みたかった本だったのに、全然集中出来ませんでした。

20時に看護師さんが下剤を持って来てくれて内服しました。病院の消灯は21時。あっという間に電気が消されました。

昨夜もあまり眠れなかった為、眠くはありますが隣のおばあちゃんの声もですが、手術の事を考えると少し寝ては目が覚めるような浅い眠りを朝まで繰り返すのでした。

5時頃より昨日の下剤の効果で、お腹が痛くなり何回かトイレに通いました。

私の手術は14時頃との事で前日の21時から絶食、朝の10時から絶飲との指示があった為、10時までになるべく多く水分を取ろうと6時過ぎに自動販売機に水を買いに行きました。
翌日のお昼までは水を飲めないとの事で、24時間以上水分を取れない事に不安を感じていました。

起床後は顔を洗ったり歯を磨いたり、病棟を移動するための荷物を纏めたり過ごしていると、8時前にに点滴が開始されました。
点滴が落ちるのを見ていると、手術へのカウントダウンが始まっているようで緊張が高まりました。

8時半頃看護師さんと共に荷物を持ち婦人科へ移動しました。
病棟内に着くと相変わらず、赤ちゃんの声が響いていました。

部屋はトイレとシャワー室が着いてる個室を用意してくれました。

9時45分、念のためお腹の中を全部キレイにする為に浣腸をするとの事。
2分から3分くらいは我慢してトイレに行って下さいとの事でしたがとんでもない。1分くらいでトイレに駆け込みました。

その後はグルグル続く腹痛としばらく戦いながらトイレに行ったり、もう一度歯磨きをしたりと手術に備えてました。

14時前後の手術との事で、前日から家族は13時頃に病院に来て欲しい旨を伝えられていました。個室の為、手術前は主人が病院に到着した際にお部屋に案内してくれるとの事で、前日の外科の看護師さんにも、私を受け入れてくれた婦人科の看護師さんにも言われていました。

しかし、何故か主人が到着してからも病室に主人が通される事はありませんでした。
さっきまで担当してくれていた看護師さんとは違う看護師さんが、私の部屋に手術後に使うであろう色々な機器を病室に運んでくれていました。

「主人がもう着いてるみたいなんですけど、お部屋に来るのはまだダメなんですかね…?」少し遠慮気味に聞いてみましたが、
「面会時間外なので無理です」とあっさり言われてしまいました。
たしかに、面会時間は15時から19時の間の15分間だけとの説明も事前に聞いていました。
でもでも、個室だし…私、割と今不安だし主人の顔見たいよ??
一緒に過ごせるって聞いてたのに、何でや!?と、軽くイライラし始めてました。
(今思えば、看護師さんは、コロナ禍と言う病院で決められたルールのもとの事だと思いますので悪くありません)

また、術後は主人は部屋に入れるとの事だった為洗濯物は、ここに置いといて帰り際に持って行って貰いたい旨を伝えた所、今渡しておきます!と主人の元に洗濯物だけを運んで行かれてしまいました。
だいぶ聞いてた話と違うことや手術への不安で泣き出しそうな気持ちと、何なんだ?と言うイライラが募りつつありました。

とりあえずは、主人に明日昼過ぎに水分を取れるようになったら飲むための飲み物を買って冷蔵庫に入れて置いて欲しい事。携帯を充電器に挿した状態で帰る前に枕元に置いておいて欲しい事、時計も見える位置に置いて帰って欲しい事等、術後に困らないように最低限のお願いをラインで伝えました。
イライラしすぎて主人へのラインも絵文字も一切なく、業務連絡的なとても冷めたラインを送ってしまいました。それくらい余裕もなく、イライラしていたんだと思います。

私の前に手術をした人がもう戻って来てるとの事で、そろそろ呼ばれると思いますと言われたのが14時になる10分くらい前でした。

手術室に向かうのはベットで横になり、家族に見送られながら行くイメージもありますが、点滴のスタンドをガラガラ引き手術室まで歩いて行くとの事でした。

病棟を出るとすぐの場所にある待合室に主人は居ました。
そこで合流して一緒に手術室まで向います。
あまり主人の顔を見たら泣いてしまいそうだし、不安なことを口にしたら涙腺が崩壊して、やっぱり手術したくないぃ。と言い出しかねない私であった為、なるべく主人の顔を見ないように、なるべく平然を装い、大丈夫ですけど?余裕です!的な顔と態度を必死でしていました。
いざ、手術室の前で私の手を握って、頑張ってね、大丈夫だよ!と言った主人に、うん!!とうなずき涙をギリギリ堪えました。

いよいよ、手術。私の戦いが始まるのでした。

続く




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