あの日の出来事

あの日
私に会いに来てくれたあなたに
早く会いたくて
急いでいた

だけど
いつもの店がおCLOSEで
2人でいられる場所が無くなったせいで
どこに行ったらいいのか
どこが安全に過ごせる場所なのか
人に見られてはいけないからと
どうしようかと
考えて考えているうちに
私の心はどんどん疲弊してしまった

そのスピードの速さに驚くほどで
自分でもついていけないほどだった

どうして？

なぜこんなに辛い気持ちになるのだろう？

その時は考える余裕もなく
ただ会いたくて急いで
仕方なく少し離れた海沿いのパーキングに
車を停めてそこで会おう
車の中で話せばいいよ
会えるだけで嬉しいよ
その気持ちの方が大きかったんだと思う

好きなお店でアイスコーヒーを二つ買って
急いだ

時間も限られている2人だから
急いで行った

いつもみたいに久しぶりに会えたら嬉しいはずなのに
私はとても意地悪だった

もうこんなことは辞めたいと
友達に話してもみんな反対するとか
こんな気持ちを持つことが間違いだと思うとか
別れ話みたいなことしか言えなかった

離れたいはずもなく
愛おしくて、会いたくて
ずっと待っていたこの大切な時間なのに
会ったら充電しようね
なんて話していたのに

疲れていた

安全な場所を探すこと
私のいる街に会いに来てくれる彼だから
私の方がこの街のことを知っているのは当然だけど
私だけが
どこに行ったらいいのか
ふたりが安心して過ごせる場所はどこなのか
探して探して考えて
いつもの店がCLOSEなだけで
居場所が無くなる私たちは一体なんなの

なんで私ばかりこんなに
後ろめたくなったり
人の目を気にしたり
誰かを裏切っているのは同じなのに
見つかるのかもしれないリスクは
この街で会う限り私の方がずっと大きく
それなのに
あなたは どこに行けばいい？
くらいな気持ちで聞いてくることが
許せなくなってきていた
どうして私ばかり
バカみたい

そんな気持ちが膨らんで
ただただ疲れてしまったのだ

それをぶつけるところがなくて
だってあなたにしか話せないから

意地悪だったと思う

結果は簡単だ
お前が困るのは見たくないから
そう言うだろうな

私は困っていたし
でも会いたいから困っていたのに
上手く伝えることも出来ず

離れる道しか選べなかった

あなたはそれを選ぶしか無かったと思うし
そうしてと言ったのも私だったし

もっとぶつければ良かった
今ここに書いたように
私ばっかり考えて
安全な場所なんて2人にはあるはずもなく
私がこの街を知っているからと
どこに行けばいい？
じゃなくて
一生に考えて欲しかったよ
あなたを借りてる訳では無い
私とあなたは同じ立場のはずなのに
私だけが苦労してるみたいな気分だったよ

離れたい訳じゃないよ

とは言えなかった

どっちみちこれで良かったと思っている

きっとふつふつと少し前から
不満に思っていた気持ちが
この日会いたい気持ちと
混ざりあって
感情の置き場がなくなって
意地悪なことを言ったんだと思う

今更
後悔をしても仕方ないし
結果的にこれでよかったんだけど
こうするしか無かった未来のない2人だから

それで良かったけど
あなたのことは本当に好きだった
最後の恋だと言い切れる
私を自由にしてくれた
二人でいる時は自由に泳いでいた
ピンポイントでその時間だけが
満たされていた

けれどそこにたどり着くまでの
迷いや不安に
私は苦しめられてたんだ

もう誰のことも好きにはならないだろう
あなたのような人は
どこにもいないから