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心の中のたくさんの部屋
心の中にはいくつも部屋があるんだ
小さい頃からそう思ってた
勉強して学びを蓄える部屋
面白い遊びを覚えておく部屋
好きな音楽を貯めておく部屋
大事な約束を覚えておく部屋
どんどん増える好きな人たちを
しまって大事に思う部屋
その部屋には
もっと細かい分類があることを
大人になるほどわかってきた
時代ごとに増えていく
友達を大事に思う部屋
小さい頃からずっとそこにいる人や
いつの間にかいなくなる人がいて
それから、家族を大事に思う部屋
それも昔はパパやママや兄妹だったけれど
自分が家族を持ったら
自分の家族を大事に思う部屋が増えた
それから、友達を大事に思う部屋
そして恋をしたら
恋の相手を大事に思う部屋ができた
そこにも大事な人がいる時と
いない時があった
でもいつしか年を重ねていくうちに
空っぽになってしまった
ずっと空っぽのままで
このままこの先もうずっと前に空っぽだと思っていた
君に出会うまでは
私の空っぽの部屋に君はなんの躊躇いもなく
すんなり入ってきた
私もドアを気軽に開けていた
今まで長い間誰もいなかった部屋は
君でいっぱいになってしまった
あっという間の出来事だった
それはいけないことなのか
いつも自分の心に問いかける
好きな人をじっくり思うための部屋が
君でいっぱいになることは
そんなに悪いことなのか
今の私にはわからない
別の部屋を壊すわけでも
別の部屋にまで入ってくるわけでもないのに
恋の相手がそこに入ることは
許されないことなのか
世間でも政治家や芸能人は
それを不倫と呼び
ひどく叩かれる
早く追い出せと
その部屋を空にしろとここぞとばかりに
責め立てる
そこの部屋だけを
君でいっぱいに満たすことが
そんなに悪いことだとは
どうしても思えない
その部屋に君がいることで 私が満たされて
他の部屋も大事にできるような気もするのに
君を追い出せと
周り中が攻めてきても
私にはできそうにない
君のための部屋になってしまったから
唯一それを壊せるのは
家族と呼ばれる人たちだけなのかもしれない
だから家族の部屋には
この部屋に君がいることを隠すしかないのだ
君をこんなに思っているのに
この部屋の中でしか思いを転がすこともできない不自由さと
君がそこにいてくれる限り
ずっと戦うしかないのだと思う
しっかり鍵をかけながら