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昼間の月
車を走らせて
運転に集中して
全て忘れようと
すれ違う車に
すれ違う思い
すれ違う心
そんな言葉をうかべた
違うんだよ
違うの
言いたかったのはそんなことじゃない
いくら伝えようとしても伝わらない
空がとても青かった
見上げるのは危険だ
安全運転で
と叱られるあの声を聞いた気がして
車を停めた
こんな青空に月が見えた
満月前の少しだけ欠けた月
私を見てる
少し寂しげに
少し薄く白く
私を見てた
夜の空ならピッタリで
美しく光るのに
昼間の空には似合わないと
誰かに言われたの?
昼間の空には必要ないと
分かっているかのように
少し寂しげに
少し薄く白く
何かを言いたそうに
私を見てる
あなたが必要のない月だとしたら
私も多分今の彼の生活には
必要のないものだから
同じだよ
必要とされないもの同士
同じだね
いくら光ろうとしても
太陽の光には負けるんだ
同じだね
だけど月は
誰にも負けないくらい
美しく
夜になれば輝ける
君が羨ましいよ
君には居場所がちゃんとあるよ
だから今は薄くても
白くても
夜を待とう
私の居場所はどこにあるんだろう
車でどこまで走っても
居場所はきっと見つからない
昼間の月と
同じじゃなかったね