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【実用的IR分析 #63】 "ピジョン(7956)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2023.12期 (2023/1/1~2023/12/31)


Q1 どんな会社?

育児用品や介護用品を製造・販売し、赤ちゃんや家族を支える企業。哺乳器や乳首、スキンケア商品、育児家電を主力とし、90か国以上で展開。国内で哺乳瓶86%の市場シェア、中国ではECカテゴリトップの実績を持つ。半世紀以上の研究に基づく高品質な製品と信頼されるブランドで、業界トップを維持している。

Q2 どんな状況?

少子化が進む日本や中国で市場縮小が懸念される一方、新興国市場では母乳育児推進や人口増加に伴い需要が拡大している。特にインドやインドネシアでの成長が期待される。課題として原材料価格の高騰や競争の激化が挙げられるが、高単価商品の強化や育児家電、スキンケア商品を中心とした戦略を展開し、2025.12期の売上1,138億円を目指す。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2023年12月期実績:減収減益
日本事業とランシノ事業が増収増益を達成したが、中国事業では処理水問題の影響を受けて減収減益となった。主力商品の価格改定や新商品の販売が収益改善に貢献している。

2024年12月期予想:増収増益
中国事業の回復を最優先課題とし、既存領域の強化や新規領域への成長投資を積極的に行う計画。また、新興市場での需要拡大も業績予想の根拠となっている。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+7%は、例年の範囲の上限に近いやや積極的な水準。過去5期の達成度は91%~96%だが、会社予想は現実的で信ぴょう性が高い
純利益予想の+2%は変動範囲の下限寄りであり、保守的な水準。過去の達成度は79%~92%でばらつきがあり、下振れ傾向が強いため信ぴょう性は高いとは言えない。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSは概ね低下しているがPERは大幅な変動はなく、市場は成長を慎重に評価している。4期前と比較するとEPSは減少し、PERも低下しており、評価は利益減少に伴って縮小している。直近期のPERは割安感はないが、過去4期の高値・安値PERの範囲内にあり、市場の期待が高まっている兆候は見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

利益成長の鈍化、PERの低下傾向、純利益予想達成率の不安定さが挙げられる。EPSは2020年以降低下しており、PERもこれに伴い縮小しているため、利益成長に対する市場評価が慎重になっている点が懸念される。また、純利益予想に下振れ傾向が見られることが信頼性の低下につながる可能性がある。投資対象としてリスクは比較的小さくはない印象を受ける。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために「リスク許容度に応じた3つのシナリオ」を提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(27.7倍)~高値PERの平均(49.3倍)を概ねの評価レンジとすると、

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