【IR分析 #7】買うならどのくらい?を読み解く "キユーピー"(2809) 2023.11期
はじめに
有価証券報告書や決算説明資料など、IR情報を読み解くことが、投資成功への近道だと考えています。重要なポイントはほぼ網羅されているからです。ただ専門的で難解で情報量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。
「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益予想などの銘柄に絞って、投資水準を探ります。株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、それぞれの要素を読み解きます。
多くの銘柄についてざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。
キユーピー(2809)
「増益予想」であることを根拠に、この企業をざっくり「いい銘柄」として取り上げ、投資水準を探っていきます。この情報は以下のIR情報を基にしています。
Q1 どんな会社?
【概要】マヨネーズ・ドレッシング類が中核。「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」を基盤に、世界の食と健康に貢献。サラダとタマゴを通じて、健康的な食生活と豊かな食文化の創出を目指す。サラダ、調味料、卵加工品を中心に内食・中食・外食へ対応。
【特徴】「サラダとタマゴ」に特化した製品ラインアップと品質重視の商品開発力。中国、東南アジア、北米で事業拡大を推進し、新工場の設立や既存施設の拡充で、グローバル展開に力を入れる。
Q2 どんな状況?
【経営環境】少子高齢化や共働き世帯の増加、消費者のニーズの多様化などが事業環境に影響。特に調理の簡便性や健康志向の高まり、ECの普及といった市場変化が、製品開発およびマーケティング手法に影響。原材料価格の上昇や為替変動が懸念。
【取組】D2C事業「Qummy」を展開し、デジタルを活用して顧客接点を強化。中期経営計画では、特に海外市場への拡大を成長ドライバーと位置づけ。2025年度を目途に北米新工場の稼働を計画。
Q3 業績は?
(単位:億円) 有価証券報告書、決算短信等から作成
2023年11月期実績:増収減益
国内外の需要回復と調味料・タマゴ商品の価格改定による単価上昇が売上増加に寄与。北米市場でのブランド浸透が進む。主原料の価格高騰が営業利益にマイナス影響を与えるも、生産効率の向上で一部影響を緩和。
2024年11月期予想:増収増益
中国、東南アジア、北米市場で「KEWPIE」ブランドの浸透と市場拡大を推進。国内市場では多様な消費者ニーズに応える製品開発と収益性向上に取り組む。設備投資や研究開発を強化
Q4 会社はどう見てる?
【予想の積極性】今期の売上予想は例年と比較してやや積極的な水準。純利益予想も直近の減益傾向からの転換が見られ、利益見通しはやや積極的。
【予想の信ぴょう性】過去5期の売上予想達成度は安定しており、純利益予想もほぼ達成されていることから、予想の信ぴょう性は高いと考えられる。
【予想の傾向】会社は現実的な予想をする傾向。純利益予想についても、上振れや下振れの明確な傾向は見られず、安定した予測精度が保たれている。
Q5 市場はどう見てる?
【利益と評価の相関性】EPSの変動とPERには一貫した反応が見られず、利益の減少時にもPERは高い傾向。市場は成長に対して一定の期待感を維持。
【評価のギャップ】直近5期ではEPS低下にもかかわらず、PERが大幅に上昇。市場は利益をやや過大評価している傾向。
【直近の水準】直近期のPERはやや割高感が見られ、直近5期の平均PERよりも高く、市場の期待は過去よりも高まっている可能性。
Q6 買うならどのくらい?
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