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【IR分析 #25】買うならどのくらい?を読み解く "ジェイリース"(7187) 2024.3期

【この記事の要約】

住居用および事業用賃料保証を中心に、顧客の賃貸保証ニーズに応えるサービスを提供している。近年は外国人向け保証や多言語対応も進め、全国に展開する営業ネットワークとIT活用で成長力を強化。
2024年3月期は増収増益で過去最高を更新し、2025年3月期も同様に増収増益を見込んでいる。

利益見通しは現実的な水準で信ぴょう性が高く、達成率も安定。市場評価は成長期待に慎重で、やや過小評価の傾向が見られる。
例年の市場評価を基に●円〜●円を「概ね安い水準」とし、利益見通しと市場評価の傾向からさらに絞ると●円以下が検討の目安となり得る。

本文では専門的で量も多いIR情報から、この流れで簡潔にまとめています。

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益などの銘柄に絞り、株価を決める「利益(EPS)×市場評価(PER)」を読み解く実用的な内容です。

まずはざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。

2024.3期 2023/4/1~2024/3/31
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料

期中の業績修正等は反映されておらずリアルタイムの情報ではありません。あくまで客観的な参考情報で、投資判断や銘柄推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。内容には注意を払っていますが、誤りが含まれる可能性があります。また予告なく変更・修正されることがあります。



Q1 どんな会社?


2024.3期末現在 ※は作成時点

【概要】家賃債務保証業界で、顧客の多様な賃貸保証ニーズに応える。主要事業は、住居用賃料保証と事業用賃料保証で、保証料収益が売上の約82.6%を占めている。近年、外国人向けの保証サービスも提供し、多言語対応のコールセンターによって入居者と不動産管理会社の利便性向上を図っている。

【特徴】地域密着型の営業体制。全国展開の営業拠点を活用して、地元の不動産管理会社やオーナーとの強固なネットワークを構築し、迅速で丁寧なサービスを提供。ITを活用して家賃口座振替の管理をデータ化するシステム「J-Collect」などを導入。エイビスの完全子会社化によるIT活用強化や、新規事業の育成も進めており、成長力をさらに高めている。


Q2 どんな状況?


【環境】少子高齢化と都市部への人口集中に伴い、賃貸住宅市場の需要は高まっている。さらに、外国人労働者の増加によって、多言語対応や文化的背景を考慮したサービスが求められる環境。一方で、コスト抑制、人材育成、システム基盤の強化などの課題が浮上。市場全体が成長傾向にある中で競争は激化。

【取組】コスト管理とAIを活用した与信管理の高度化に注力し、地域密着型の営業で信頼関係を築くことでこれらの課題に対応。中期経営計画では、2027年3月期までに売上高211億円、営業利益34億円、全国47店舗の展開を目指す。システムのデジタル化も推進。


Q3 業績は?


(単位:億円) 有価証券報告書、決算短信等から作成

20243月期実績:増収増益
売上高と営業利益は計画を上回り、過去最高を更新。特に首都圏での営業強化とプロモーション効果が増収増益を後押しし、住居用と事業用賃料保証が成長の主な要因。代位弁済のリスク管理と回収の強化も進められ、収益性が高まった。

20253月期予想:増収増益
住居用賃料保証のシェア拡大や事業用賃料保証への需要増加が収益増加の主要因と見込まれている。さらに、2024年4月に完全子会社化したエイビスのリソースを活用して新規顧客を獲得し、継続的な保証料収入を拡大していく計画。


Q4 会社はどう見てる?


予想は期初予想の前年実績比 達成度は期初予想の達成率
決算短信等から作成

【予想の積極性】売上予想は過去5期の範囲を上回る+23%で、積極的な姿勢が見られる。利益予想は例年と同程度の+6%で、現実的な水準といえる。成長余地をやや保守的に見積もっている印象がある。

【予想の信ぴょう性】売上と利益の予想達成度は安定して高く、異例値を除くと100%を超えているため、今期の予想も信ぴょう性が高いと考えられる。

【予想の傾向】過去の売上と利益の予想は、期初予想を上回る達成度を見せる傾向が続いており、会社予想はやや控えめな傾向が見られる。特に利益予想については上振れる傾向がある。


Q5 市場はどう見てる?


高値・安値のPERは、各期の高値・安値÷EPSで計算
有価証券報告書等から作成

【評価の傾向】EPSが上昇してもPERは縮小している。市場は利益成長に対して慎重な姿勢をとっており、成長期待が高まる様子は見られない。EPSが増加してもPERが上がらないことから、市場は保守的と考えられる。

【評価のギャップ】5期前に比べてEPSは大幅に上昇しているが、PERは低下しているため、利益成長に対する市場評価にはギャップがあり、利益成長を過小評価している傾向がある。

【直近の評価】直近期のPERは12.8でやや割安感がある。また、直近5期の高値PERや安値PERの平均範囲を下回っており、市場の期待は低調で大きな変化は見られない


最後に「買うならどのくらいか」を、ここまでの分析を基に想定します。多くの銘柄を同じ形式で見ていきますので、初期的な分析や投資候補探しに役立ちます。

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Q6 買うならどのくらい?


有価証券報告書、決算短信等から作成

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