【IR分析 #18】買うならどのくらい?を読み解く "日本特殊陶業"(5334) 2024.3期
はじめに
有価証券報告書や決算説明資料など、IR情報を読み解くことが、投資成功への近道だと考えています。重要なポイントはほぼ網羅されているからです。ただ専門的で難解で情報量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。
「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益予想などの銘柄に絞って、投資水準を探ります。株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、それぞれの要素を読み解きます。
多くの銘柄についてざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。
日本特殊陶業(5334)
「増益予想」であることを根拠に、この企業をざっくり「いい銘柄」として取り上げて投資水準を探っていきます。この情報は以下のIR情報を基にしています。
Q1 どんな会社?
【概要】自動車部品やセラミック製品。主力は内燃機関向けスパークプラグ。電動化対応や燃料電池事業の強化に注力。内燃機関事業が全体の82%。
【特徴】自動車部品の技術力と電動化対応の新技術が強み。スパークプラグとセンサで高シェア。半導体や燃料電池など、成長が期待される分野への積極投資。
Q2 どんな状況?
【環境】 ウクライナ情勢や米中関係の悪化で供給チェーンが混乱。中国は内需低迷も電気自動車需要は増加。燃料価格の高止まりや円安が価格競争力と財務に影響。内燃機関から非内燃機関への転換や、セラミック事業の低迷が課題。
【取組】 燃料電池や半導体向け部品など、成長市場への投資を強化。内燃機関事業の収益を成長分野に投入。人材育成や次世代経営層の育成に注力。
Q3 業績は?
2024年3月期の実績:増収増益
半導体不足解消による自動車生産の回復と円安効果。中国での電気自動車需要の増加が売上に貢献。セラミック事業の市況低迷による販売減少と営業損失。
2025年3月期の予想:増収増益
自動車関連では、環境規制強化に伴う高付加価値製品の拡販が期待される。セラミック部門では、メモリ投資の回復やロジック・ファウンドリー市場(半導体製造の請負)の成長に期待。
Q4 会社はどう見てる?
【会社の期待度】今期の売上予想は、直近5期の予想水準の範囲内で控えめ。純利益予想も異例値を除くと例年より控えめ。会社の利益見通しは保守的。
【直近の傾向】売上予想は概ね安定して達成。純利益も直近では安定。今期予想の信ぴょう性は高い。純利益予想は上振れの傾向があり、会社は控えめな予想をする傾向。
Q5 市場はどう見てる?
【評価の傾向】EPSの増減とPERの動きに明確な相関性見られない。市場は成長を慎重に評価している可能性。5期前と比較してEPSは増加しているがPERの伸びは限定的。市場は過小評価の傾向。
【直近の傾向】直近期のPERは12.4倍で割高感はないが、過去5期の高値平均11.1倍を上回ってきており、過去より市場期待はやや高まっている傾向。
Q6 買うならどのくらい?
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