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【IR分析 #35】買うならどのくらい?を読み解く "ラウンドワン"(4680) 2024.3期

いい銘柄を、安いときに買う」ために、注目に値する企業のIR情報(※) から、知っておくべきポイントと「買うならどのくらい?」を読み解いて、投資候補をストックすることを目的としています。

IR情報は事実情報という意味で投資に有益ですが、専門的で量も多いので、時短で理解しやすいよう同じ形式で簡潔にまとめていきます。

今回は、「増益予想の中小型株」であることを理由にこの銘柄を取り上げています。

これは私自身が初期的な分析として使う手法ですが、みなさんが興味を持てる企業を見つける一助になれば幸いです。

※IR情報
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
・2024.3期 2023/4/1~2024/3/31

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


まず、この企業の利益の背景を理解します。その上で、企業自身が考える今後の見通しを確認します。


Q1 どんな会社?


【概要】ボウリング、アミューズメント、カラオケ、スポッチャを一体化させた屋内型複合エンターテインメント施設を運営。売上構成は、アミューズメントが56.2%と最も大きく、ボウリングが23.4%、カラオケが12.6%、スポッチャが7.8%と続く。アミューズメントが収益の柱となっており、クレーンゲームやリデンプション機器などの導入が成功している。

【特徴】幅広い年齢層の顧客に対応。アミューズメント分野では大規模なクレーンゲームゾーンを展開。ボウリングでは全国店舗をオンラインでつなぎ、新たなリモート対戦体験を提供。さらに、自社開発景品やキャラクターとのコラボ景品を展開し、リピーターの獲得に成功している点も強み。


Q2 どんな状況?


【環境】業界は少子高齢化とレジャー多様化で競争が激化し、国内は既存店舗の収益改善が課題。一方、米国市場は成長期待が高いが、出店コストや賃借料、人件費増に対応が必要。中国市場では収益安定化とブランド浸透が課題であり、投資効率の改善や新サービス導入で顧客獲得が求められている。

【取組】国内事業の収益改善と海外事業拡大を戦略の軸とし、国内では既存店舗のリニューアルやDX推進による効率化を進める。米国では小型アミューズメント店舗を展開し、地域密着型の強化を図る。中期計画では2025年3月期に売上高1,713億円、当期純利益170億円が目標。


Q3 業績は?


2024年3月期実績:増収増益
主要事業すべてで増収を達成。アミューズメント事業はクレーンゲームの増設や景品強化で成長し、ボウリング事業もリニューアル効果で収益を拡大。国内はコスト管理や人件費抑制で利益率が改善。米国は投資と賃借料増が利益を圧迫。中国は損失が縮小している。

2025年3月期予想:増収増益
国内ではクレーンゲームの強化や価格改定が業績を押し上げ、既存店舗のリニューアルで集客力強化が続く。米国市場では年間8店舗の新規出店を進め、既存店舗の収益基盤を強化し成長を図る。さらに、小型店舗の展開や施設改装により、売上と利益の拡大が期待されている。


次に、「買うならどのくらい?」を考えます。
株価は「利益(EPS)×市場評価(PER)」で決まるため、例年の利益予想と市場評価の傾向を分析し、それぞれの要素について考察します。


Q4 利益予想の傾向は?


【売上予想】前年比+8%は、例年の予想水準の範囲内で控えめな水準。過去5期の達成度は100%超が続いており上振れ傾向が見られる。会社予想は堅実かつ現実的な傾向が強く、信ぴょう性は高いと評価できる。

【純利益予想】前年比+9%は、例年の純利益予想と比較すると控えめな水準。過去5期の達成度はブレがあり近年は上振れが続いている。会社予想は控えめで保守的な傾向が強く、信ぴょう性は高いと判断できる。

【考察】売上予想は堅実で達成度も安定しているが、純利益予想は控えめで、設備投資やコスト増加を慎重に反映した結果と考えられる。売上成長は期待できる一方、利益面では保守的な姿勢が見えるが、過去の上振れ傾向から更なる成長余地も感じられる。総じて考えると「利益の要素」に関しては中立的な印象を受ける。


Q5 市場評価の傾向は?


【評価の傾向】EPSが上昇してもPERは低下しており、市場は利益成長を織り込み済みと判断し、慎重な成長期待を示していると考えられる。また、5期前と比較してEPSは大幅に成長しているが、PERは小幅な上昇に留まり、市場評価には過小評価の傾向が見られる。

【直近の評価】直近期のPERは13.6倍で割安感があり、安値PER平均に近い。市場の期待は低下しているが、修正余地が期待される。

【考察】EPSは成長しているものの、PERの動きは控えめで、市場評価は利益成長に追いついていない。成長期待が慎重な姿勢に留まっている点から、今後の評価修正には一定の期待が持てるものの、市場の反応は依然として限定的であるため、「市場評価の要素」に関しては保守的な印象を受ける。


最後に、「買うならどのくらい?」を具体的に検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を算出し、さらに水準を絞るために、リスク選好に応じて3つのシナリオを提示します。また、どのシナリオを選ぶかの参考としてこれまでの分析を整理しています。

これにより、現在の株価がどの位置にあるのかを把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備をしておくことができます。

あくまで初期的な分析ですが、合理的な手法だと考えています。この先は有料ですが、読み放題のメンバーシップでは初月無料でご覧いただけますので、ぜひご活用ください。


Q6 買うならどのくらい?


【概ね安い水準】異例値を除く直近5期の安値PERの平均(13.8倍)〜高値PERの平均(27.5倍)を概ねの評価レンジとすると、その中間の20.6倍以下程度が「概ね安い水準」と想定できる。

【投資シナリオ】この水準に今期予想EPS(62.9円)を当てはめると、株価レンジは868円~1,731円の範囲となる。この範囲をさらに絞り込むために、リスク許容度に応じた以下のシナリオがひとつの目安として考えられる。

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