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【実用的IR分析 #62】 "アリアケジャパン(2815)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

天然素材を使った調味料を製造・販売する国内最大手。主力製品のフォンやブイヨンは国内シェア約6割を誇り、ラーメンスープでもトップシェアを維持。売上は国内市場が75%、アジアが16%を占め。九州第2工場では無人化・自動化を実現し、大量生産と安定供給が可能。プロの料理人と同等の味を再現する技術力も強み。

Q2 どんな状況?

国内市場の成熟化に対し、アジアや欧州の新興市場での需要拡大に注力している。健康志向や環境規制が業界の変革を促している。原材料費高騰や為替リスクが課題。中期計画では総合調味料メーカーへの進化を目指し、国内外で製品ライン拡充や拠点強化を進め、研究開発や技術革新にも積極投資。2030年度に連結売上高1,000億円を目指す。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年3月期実績:増収増益
連結売上高、当期純利益で過去最高を記録。国内外での需要拡大や外食需要回復、値上げ効果が売上増加に寄与。海外子会社の売上も好調で、中国や台湾で特に成長した。為替差益も利益増加を下支え。

2025年3月期予想:増収増益
外食需要の持続的回復や海外市場での販売拡大、新製品のリニューアル効果が利益改善に貢献する見込み。コスト上昇への懸念はあるが、価格改定や効率化の推進により、安定成長を目指している。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比+5%は、直近5期の変動範囲内に収まり、例年と比較して現実的な水準。過去5期の達成率は94%~101%で安定しており、信ぴょう性は高いと評価できる。純利益予想の+6%も過去の変動範囲内で堅実な水準。達成率には78%から107%までのばらつきがあるが、直近は上振れ傾向があり、控えめながら信ぴょう性は高いと判断できる。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが下落した場合にPERが上昇する傾向があり、市場は短期的な業績変動にも成長期待を反映する慎重な姿勢が見られる。5期前と比較するとEPSもPERも低下しており、利益成長に対する市場評価はほぼ一致している。直近期のPERは割安ではないが、直近5期の高値・安値PERの範囲内に収まり、市場評価は安定的で期待の高まりは見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

ここまでの分析からリスクを想定すると、利益成長が市場評価に反映されにくく、成長期待が抑制される可能性が考えられる。ただし、売上や純利益の予想達成率が安定して高い点は評価でき、総合的に見て投資対象としてのリスクは中程度な印象を受ける。ただし業績修正や市場環境の変化には注意が必要。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために「リスク許容度に応じた3つのシナリオ」を提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(21.4倍)~高値PERの平均(30.6倍)を概ねの評価レンジとすると、

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