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【実用的IR分析 #61】 "ダイセキ(9793)" のIR情報から、「買うならどのくらい?」を時短で読み解く

この記事は、「いい銘柄を、安いときに買う」ために「増益傾向の中小型銘柄」をピックアップし、知っておくべき「どんな会社で何がいいのか」と、最も知りたい「買うならどのくらいか」をまとめたものです。

これらは上場企業が開示するIR情報(※)から読み取れますが、専門的で難解で量も多いので、要点だけを時短で読めるようにしました。ざっと読んで、ピンときた銘柄をストックしておき、安いときがきたら投資を検討することが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.2期 (2023/3/1~2024/2/29)


Q1 どんな会社?

産業廃棄物を適切に処理し資源再利用を行う企業。廃液や廃油のリサイクル処理で国内トップクラスのシェアを誇り、売上はリサイクル事業が中心。独自の複合処理技術で高いリサイクル率を実現し、年間200万トンの処理能力を持つ。法令遵守を徹底し、廃食用油のバイオ燃料化や石膏ボード再利用など多角的な事業を展開。

Q2 どんな状況?

世界的なカーボンニュートラル推進や国内の環境意識向上を追い風に、廃棄物処理やリサイクル需要が増加する一方、原材料高騰や円安、厳格化する法令への対応が課題。設備投資や新技術開発で競争優位性を確保し、コア事業の国内シェア30%達成や新拠点設立を推進。2031年までに売上高と営業利益を2017年度比で3倍にする目標を掲げる。

【図表1】※は作成時点、その他は期末現在。
有価証券報告書等から作成


Q3 業績と予想は?

2024年2月期実績:増収増益
売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで過去最高を記録。特に、廃液リサイクル事業の拡大と、新規顧客の獲得が売上高の増加に寄与。効率的なコスト管理とリサイクル技術の向上も利益率の改善につながった。

2025年2月期予想:減収減益
円安や原材料高の影響、前期の大型案件の反動減、10年に1度の大規模修繕によるコスト増が主な要因として挙げられる。一方で、R&D投資や新規事業の推進を通じ、将来的な収益基盤の強化を図る計画が進行している。

【図表3】決算短信等から作成 (単位:億円)


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比-5%は、例年の増収予想範囲(+4%から+10%)を下回る保守的な水準。過去5期の達成度はほぼ安定しており、信ぴょう性は高いが予想は控えめな傾向が見られる。純利益予想の-8%も例年の増益予想(+3%から+13%)と比較して保守的。達成度は90%から113%とばらつきがあり、信ぴょう性は中程度。予想はやや控えめな傾向がある。

【図表4】予想は期初予想の前年実績比。
達成度は期初予想の達成率。決算短信等から作成


Q5 市場の評価は?

EPSが上昇するとPERも上昇する正の相関が見られ、市場は成長を積極的に評価している。5期前と比較してEPSは大幅に増加したがPERの成長は限定的であり、やや過小評価の傾向が伺える。直近期のPERに割高感はなく、直近5期の安値・高値PER平均の範囲内で市場評価は安定しているが、明確な期待の高まりは見られない。

【図表5】高安値PERは各期の高安値÷各期EPS。
平均は異例値を除く。有価証券報告書等から作成。


Q6 リスクをどう見る?

ここまでの分析から、業績予想が保守的で収益拡大への期待が低下するリスクがあるほか、EPS成長に対してPERの上昇幅が限定的で、市場評価が過小になる可能性が懸念される。直近期のPERは過去5期平均と比較して低下しており、市場期待の弱まりが伺える。これらを踏まえると、投資対象としてのリスクは中程度の印象を受けるが、業績修正や市場環境の変化には留意が必要。

最後に「買うならどのくらい?」を以下の観点から検討します。

過去の市場評価から相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために「リスク許容度に応じた3つのシナリオ」を提示します。これにより現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

この先は有料ですが、全銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。

本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

異例値を除く直近5期の安値PERの平均(16.3倍)〜高値PERの平均(26.5倍)を概ねの評価レンジとすると、

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