【実用的IR分析 #39】 "日産化学（4021）" のIR情報から、「買うならどのくらい？」を時短で読み解く
この記事は「利益、市場評価ともに安定の中小型銘柄」のIR情報(※)を時短で読み解き、効率的に投資候補を見つけることが目的です。私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、ご活用いただければ幸いです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
有価証券報告書、決算短信、決算説明資料
Q1 どんな会社？
化学品、機能性材料、農業化学品、医薬品の4事業を展開する総合化学メーカー。機能性材料や農薬分野で世界トップクラスのシェア。液晶ディスプレイ材料や半導体関連材料が高い競争力。農薬は世界50カ国以上、動物薬原薬は100カ国以上で展開し、海外売上高比率は80％超。研究開発への積極投資が特徴で、総合職の約4割が研究職。
Q2 どんな状況？
半導体やディスプレイ市場は成長が期待される一方、農薬分野では競争激化や規制強化、価格競争が課題。長期・中期経営計画では事業領域の深掘りと拡大に注力。新製品開発、材料情報科学（MI）の活用、工場のDX化を進め、効率的な生産を実現する。2027年度の売上高2,850億円、営業利益670億円、ROE18％以上が目標。
Q3 業績と見通しは？
2024年3月期実績：減収減益
化学品セグメントでは一部の製品需要が堅調に推移し、機能性材料セグメントでは液晶ディスプレイ材料が市場シェアを維持。農業化学品分野では国内の農薬販売が安定していたものの、一部製品で減収が見られた。
2025年3月期予想：増収増益
液晶ディスプレイ材料や半導体材料の需要回復が進み売上拡大に期待。殺虫剤や殺菌剤の国際市場での拡販が収益を押し上げ。構造改革の成果が現れ、基礎化学品の需要増加を予想。全体として生産効率の向上やコスト管理、為替の安定を背景に収益拡大を見込んでいる。
Q4 見通しの信ぴょう性は？
売上予想の前年比+3%は、例年の予想水準と比較して控えめな水準。過去5期の達成度は上振れ・下振れのブレは少ない。会社予想はやや保守的な姿勢。純利益予想も、前年比+1%は控えめな水準で、過去5期の達成度は上振れが目立つ。会社予想は保守的だが信ぴょう性は比較的高く、保守的に見積もられた可能性が高い。計画の堅実性は評価できるが短期的な成長期待を抱くにはやや物足りなく、「利益の要素」に関しては中立的な印象を受ける。
Q5 市場の評価は？
EPSが上昇する中でPERも上昇しており成長期待を反映。EPS下落時もPERは大きく下がらず、市場は慎重ながら一定の成長期待を維持。 5期前と比較してEPSは増加しているがPERは高値から緩やかに低下。利益成長に対し市場評価は抑え気味でやや過小評価の傾向が見られる。 直近期のPERに極端な割高感はないが、市場期待は安定的で過度な期待感は見られず、「市場評価の要素」に関しては中立的な印象を受ける。
この先は有料となりますが、「買うならどのくらいか？」を検討するために、以下の内容をご覧いただけます。
過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出
水準をさらに絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示
どの程度リスクを許容するかの参考として、株価を決める利益(EPS)と市場評価(PER)の分析を整理
これにより、現在の株価の位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。すべての銘柄が読み放題のメンバーシップは初月無料ですので、ぜひご覧ください。
ご注意・免責事項
Q6 買うならどのくらい？
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