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【IR分析 #132】 北越コーポレーション(3865)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

本記事は、株式投資で成功するために「いい銘柄を、安いときに買う」ことを目的としたものです。

増益傾向など、興味を持つに値する企業を「いい銘柄」としてピックアップし、IR情報(※)から、「どんな会社で何がいいのか」、「買うならどのくらいか」を読み解きます。IR情報は、企業自身が投資家向けに開示する事実情報として有益ですが、専門的で量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。

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私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

紙・パルプの製造・販売を手掛け、印刷・情報用紙、白板紙、特殊紙、パッケージング事業を展開。洋紙の輸出シェアは国内トップクラスで、売上の35.9%を海外市場が占める。主要販売先は新生紙パルプ商事や国際紙パルプ商事。環境対応力と技術力を強みとし、燃料転換や省エネ技術導入を推進する。電子部品用原紙や食品包装材の開発を進め、新規事業の拡大を図る。パルプ事業では海外子会社を活用し、供給体制を強化。


Q2 どんな状況?

国内ではデジタル化の進展により印刷・情報用紙の需要が縮小する一方、電子商取引の拡大で段ボール原紙の需要が増加し、パッケージング事業の成長が期待される。海外では中国経済の低迷で白板紙の需要が減少するが、欧州や北米では環境規制強化によりリサイクル可能な紙製品の需要が拡大し、新たな事業機会が生まれている。中期経営計画では、事業ポートフォリオの転換、コスト競争力の強化、環境対応を推進し、大王製紙との提携で効率化を進める。


Q3 業績は?

2024年3月期実績:減収増益
経営成績の要因として、国内市場では価格改定の効果により収益性が向上したが、紙需要の減少と原燃料の価格高騰が影響。海外市場では、中国経済の低迷による白板紙の需要減少、国際的なパルプ価格の低下が影響。

2025年3月期予想:増収増益
業績予想の根拠として、国内市場では印刷・情報用紙の需要減少が続くものの、輸出事業の強化による販売数量の増加を見込んでいる。パルプ価格の回復が収益向上に寄与し、海外市場においては中国経済の回復とともに白板紙の需要改善が期待される。また、2024年3月期に計上された特別損失の影響がなくなるため、純利益の増加が見込まれる。


ここから先は、「株価は利益(EPS)×市場評価(PER)で決まる」という前提に基づいて、各要素を分析します。

Q4では、会社の利益予想の積極性と信ぴょう性を検証し、利益の要素を分析します。
Q5では、市場が会社予想をどう評価しているかを分析し、市場評価の妥当性を判断します。
Q6では、2つの要素の分析から、投資を検討する際の期待とリスクを整理します。
Q7では、過去の市場評価から割安な水準を特定し、「買うならどのくらい?」を考えます。


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比:+4%
異例値を除く過去5期の予想範囲(+3%~+7%)内であり、現実的な水準といえる。過去5期の達成度は平均97.8%で、信ぴょう性は高いと評価できる。一方、達成度の上振れ傾向が見られるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。

純利益予想の前年実績比:+67%
異例値を除く過去5期の予想範囲(▲7%~+26%)を大きく超えており、非常に積極的な水準といえる。達成度の平均値は110%であるが、ばらつきが大きく、信ぴょう性はやや低いと評価できる。過去の達成度では上振れと下振れが混在しているため、会社予想はやや楽観的な傾向があると考えられる。


Q5 市場の評価は?

EPSとPERの相関性
EPSの増減とPERの間に明確な相関は見られず、市場は利益成長そのものよりも別の要因を重視して評価していると考えられる。特に、EPSがほぼ横ばいの2024年3月期にPERが急上昇しており、市場の成長期待が極めて積極的になっていることがうかがえる。また、5期前と比較してEPSはほぼ変わらないがPERは大幅に上昇しており、市場が利益成長をやや過大評価している可能性が考えられる。

直近の市場評価の傾向
直近期末のPERは38.5倍であり、20倍を大きく上回る割高な水準にある。さらに、過去5期の安値PERと高値PERの範囲と比較すると、評価が急激に変化しており、市場の成長期待が高まっていることが示されている。


Q6 リスクをどう見る?

期待される要素
利益予想は過去の達成傾向を踏まえれば上振れの余地があり、輸出拡大やコスト削減施策が寄与する可能性がある。また、PERが過去最高水準に達しており、市場の成長期待が顕著に高まっている点もプラス材料となる。

懸念される要素
一方で、純利益予想は極めて強気な水準であり、達成の不確実性が高い。PERの急上昇は市場の期待先行を示唆し、成長が期待通り進まなければ評価見直しのリスクが大きい。


最後に「買うならどのくらい?」を検討します。
過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。

これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

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本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定することで、投資を検討する際の有用な目安が得られる。具体的には、直近5期の安値PERの平均から高値PERの平均をこの企業の概ねの評価レンジとし、その中間以下を「概ね安い水準」とみなすと以下のようになる。

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