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【IR分析 #23】買うならどのくらい?を読み解く "ジャパンエレベーターサービスホールディングス"(6544) 2024.3期

【この記事の要約】

独立系エレベーターメンテナンス事業で、国内主要メーカーに対応可能な技術力とサービス体制を持ち、業界トップシェアを維持している。2024年3月期は増収増益で、保守・保全契約とリニューアル事業が成長に寄与。今期も同様に増収増益を見込み、M&Aや営業体制強化を進める。

利益見通しはやや積極的で、予想の信ぴょう性も高い。市場評価は慎重で、利益成長に対してやや過小評価の傾向がある。やや割高感があり、市場の期待が高まる傾向にはない。
例年の市場評価を基に●円〜●円を「概ね安い水準」とし、利益見通しと市場評価の傾向からさらに絞ると●円以下が検討の目安となり得る。

本文では専門的で量も多いIR情報から、この流れで簡潔にまとめています。

「いい銘柄を、安いときに買う」ために、増益などの銘柄に絞り、株価を決める「利益(EPS)×市場評価(PER)」を読み解く実用的な内容です。

まずはざっと読んで、ピンとくる銘柄を効率よく見つけてください。

2024.3期 2023/4/1~2024/3/31
・有価証券報告書 決算短信 決算説明資料

期中の業績修正等は反映されておらずリアルタイムの情報ではありません。あくまで客観的な参考情報で、投資判断や銘柄推奨ではありません。投資は自己責任で行ってください。内容には注意を払っていますが、誤りが含まれる可能性があります。また予告なく変更・修正されることがあります。




Q1 どんな会社?


2024.3期末現在 ※は作成時点

【概要】独立系エレベーターメンテナンス事業を中心に展開。国内主要メーカー各機種に対応する高度な技術力と迅速なサービス体制を提供。1994年に創業し、三菱電機や日立、東芝などの大手メーカーのエレベーターに対応可能なサービスを強みとして、全国的に事業を展開。売上構成は、主に保守・保全業務が約63%、リニューアル業務が約34%を占める。

【特徴】特徴は、国内の独立系メンテナンス企業としてトップシェアを誇り、メーカー主導の価格体系に依存せず、適正価格で質の高いサービスを提供している点にある。独立系メンテナンス企業で唯一上場しており、社会的認知度も高い。また、「PRIME」リモート点検サービスや「Quick Renewal」といった独自のサービスを提供し、国内外の主要メーカーに匹敵する品質と適正価格を両立している。


Q2 どんな状況?


【環境】日本のエレベーターメンテナンス市場はメーカー系列が約80%を占める状況だが、独立系企業のシェアが徐々に増加している。オフィスビルやマンションの増加で市場が拡大しており、企業のコスト削減ニーズが高まる中、競争力は増している。

【取組】中期経営計画「VISION2027」に基づき、保守・保全事業の成長やリニューアル事業の拡大を図るとともに、全国への展開とシェアの拡大に向けた戦略を進めている。売上目標600億円、営業利益率20%を掲げ、独立系の中での成長を加速させるために営業体制や人材の充実に取り組んでいる。また、エスカレーターの保守技術強化やBCP対応の拠点整備、環境負荷軽減を目指す省エネ施設の活用も進めている。


Q3 業績は?


(単位:億円) 有価証券報告書、決算短信等から作成

2024年3月期実績:増収増益
売上高、営業利益、当期純利益がいずれも過去最高を更新。保守・保全契約の増加やリニューアル事業の拡大が収益拡大に貢献し、営業利益率も前期比で向上している。

2025年3月期予想:増収増益
保守・保全契約の台数増加とリニューアル需要の拡大を見込み、売上と利益のさらなる成長を予想している。M&Aによるシェア拡大や営業体制の強化を通じ、持続的な成長を目指す。


Q4 会社はどう見てる?


予想は期初予想の前年実績比 達成度は期初予想の達成率
決算短信等から作成

【予想の積極性】売上予想の範囲は例年8%から12%増、純利益は7%から13%増の範囲で、利益予想も売上の成長と比例している傾向にある。今期の売上予想は+11%、純利益は+13%と、例年の範囲内でやや積極的な予想と評価できる。

【予想の信ぴょう性】過去5期の予想達成度を見ると、売上は107%以上、純利益も105%以上の達成超過が続き、特に利益は計画を大幅に上回る実績がある。これにより、今期の予想も信ぴょう性が高いと考えられる。

【予想の傾向】過去の達成実績から、売上と利益の両方で予想に対して上振れする傾向が見られる。会社は控えめな予想を立てる傾向があり、特に利益面で予想を上回ることが多く、堅実な予測姿勢がうかがえる。


Q5 市場はどう見てる?


高値・安値のPERは、各期の高値・安値÷EPSで計算
有価証券報告書等から作成

【評価の傾向】EPSが増加しているにもかかわらず、PERは一貫して連動せずに低下傾向にある。特に直近では市場が慎重な姿勢を示しており、成長期待が抑えられていることがうかがえる。これは市場全体のリスク懸念や成長見通しの慎重さが影響している可能性がある。

【評価のギャップ】5期前と比べてEPSは上昇しているが、PERは低下している。このギャップから、市場は利益成長に対して過小評価の傾向があると考えられる。利益成長が進む一方で、市場評価が追いついていないため、評価の乖離が見られる。

【直近の評価】直近のPERは47.6でやや割高感がある。また直近5期のPER範囲内に収まっており、市場の期待に大きな変化はないと評価できる。一定の評価が維持されている状況といえる。


最後に「買うならどのくらいか」を、ここまでの分析を基に想定します。多くの銘柄を同じ形式で見ていきますので、初期的な分析や投資候補探しに役立ちます。

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Q6 買うならどのくらい?


有価証券報告書、決算短信等から作成

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