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【IR分析 #129】 東洋水産(2875)のIR情報から、「買うならどのくらい?」を考える

本記事は、株式投資で成功するために「いい銘柄を、安いときに買う」ことを目的としたものです。

増益傾向など、興味を持つに値する企業を「いい銘柄」としてピックアップし、IR情報(※)から、「どんな会社で何がいいのか」、「買うならどのくらいか」を読み解きます。IR情報は、企業自身が投資家向けに開示する事実情報として有益ですが、専門的で量も多いので、要点だけ簡潔にまとめました。

無料部分だけでも投資候補探しに役立ちますが、有料部分では割安と判断する目安がわかるので、「安いときに買う」準備ができます。また読み放題のメンバーシップなら、同じ形式で多くの銘柄を時短でチェックできて、情報収集の手間と負担を軽減できます。まずは初月無料でお試しください。

私自身が初期的な分析に使う手法を整理したものですが、効率的に投資候補を見つける一助になれば幸いです。

(※)有価証券報告書 決算短信 決算説明資料
2024.3期 (2023/4/1~2024/3/31)


Q1 どんな会社?

即席麺、水産食品、低温食品などを製造・販売する総合食品メーカー。「マルちゃん」ブランドを展開し、国内では「赤いきつね」「マルちゃん正麺」などが人気。海外では米国・メキシコの即席麺事業が成長を牽引し、メキシコ市場では袋麺販売拡大によりシェアNo.1を獲得。ブラジルやインドにも進出し販路拡大を図る。製造から販売までの一貫体制と高品質が強み。


Q2 どんな状況?

消費者の節約志向が強まる中、価格改定後の販売数量維持が課題。物流費や原材料費の高騰が利益を圧迫し、コスト管理の強化が求められる。米国・メキシコ市場では為替変動やインフレの影響を注視。健康志向の高まりに対応した商品開発やブランド強化を進め、海外展開を加速。中期計画では2025年3月期の売上高5,100億円を目指す。


Q3 業績は?

2024年3月期実績:増収増益
海外即席麺事業が成長を続け、特に米国・メキシコ市場での販売拡大が売上増加に寄与。国内市場では価格改定が収益増加に貢献。低温食品や水産食品事業も安定的に推移。円安の影響も利益増加を後押しした。海外市場では価格改定後の売上拡大。

2025年3月期予想:増収増益
全セグメントで増収を見込み、海外即席麺事業の成長が続くと予想。米国市場では人口増加と節約志向を背景に、即席麺の需要が引き続き拡大。メキシコ市場では袋麺の販売拡大が業績を押し上げる。国内市場では、即席麺のブランド強化とプロモーション活動の強化によって売上を維持。


ここから先は、「株価は利益(EPS)×市場評価(PER)で決まる」という前提に基づいて、各要素を分析します。

Q4では、会社の利益予想の積極性と信ぴょう性を検証し、利益の要素を分析します。
Q5では、市場が会社予想をどう評価しているかを分析し、市場評価の妥当性を判断します。
Q6では、2つの要素の分析から、投資を検討する際の期待とリスクを整理します。
Q7では、過去の市場評価から割安な水準を特定し、「買うならどのくらい?」を考えます。


Q4 予想の信ぴょう性は?

売上予想の前年実績比:+4%
過去5期の予想範囲(+2%~+12%)内であり、やや保守的な水準といえる。過去5期の達成度は平均98.8%で、信ぴょう性は高いと評価できる。一方、達成度の上振れ傾向が見られるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。

純利益予想の前年実績比:+6%
過去5期の予想範囲(▲11%~+25%)の下限寄りに位置し、保守的な水準といえる。達成度の平均値は113.2%で、信ぴょう性は高いと評価できる。過去の達成度では上振れ傾向が顕著であるため、会社予想は控えめな傾向があると考えられる。


Q5 市場の評価は?

EPSとPERの相関性
EPSが上昇するとPERが低下する逆相関が見られることから、市場は利益成長を一時的なものと捉え、慎重に評価していると考えられる。また、5期前と比較してEPSは約2.4倍に増加したが、PERは低下しており、市場が利益成長を過小評価している可能性がある。

直近の市場評価の傾向
直近期末のPERは、20倍を基準とするとやや割安感がある水準。また、過去5期の安値PERと高値PERの範囲内にとどまり、市場の成長期待が高まっている兆しは見られない。


Q6 リスクをどう見る?

プラスの要素
利益予想は慎重な傾向があり、過去の達成度の高さから今期も上振れの可能性が考えられる。加えて、EPSの成長に対してPERが割安水準にあるため、市場評価の見直しが進めば株価の上昇余地も考えられる。

マイナスの要素
一方、市場は利益成長に対して慎重な評価を続けており、過小評価が定着するリスクがある。また、市場期待の停滞が続けば、成長を織り込めずPERの上昇が限定的となる可能性にも留意が必要である。


最後に「買うならどのくらい?」を検討します。
過去の市場評価から、相対的に低い水準を「概ね安い水準」として算出し、さらに水準を絞るために、リスク許容度に応じた3つのシナリオを提示します。

これにより現在の株価位置を把握し、安いと考える水準に達した際に投資を検討する準備ができます。

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本記事は開示情報等を基にした客観的な分析を提供するもので特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また期中の業績修正等は反映しておらずリアルタイムの情報ではありません。記載の数値や分析結果は参考情報であり将来の価格や投資成果を保証するものではありません。内容には十分注意を払っていますが誤りが含まれる可能性があります。また情報は予告なく変更・修正される場合があります。有料部分の「買うならどのくらい?」は、過去の業績データや市場評価の傾向を基に理論株価や目安を提示したもので、これらは一般的な投資手法に基づく参考値であり特定の価格や投資行動を推奨するものではありません。また市場環境や業績修正のなどの影響により変動する可能性があります。最終的な投資判断はご自身の責任で慎重に行ってください。投資はリスクを伴いますのでこれらをご理解の上でご利用ください。


Q7 買うならどのくらい?

過去の市場評価の範囲を基に、相対的に低い水準を特定することで、投資を検討する際の有用な目安が得られる。具体的には、直近5期の安値PERの平均から高値PERの平均をこの企業の概ねの評価レンジとし、その中間以下を「概ね安い水準」とみなすと以下のようになる。

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